Aquarius
今は無きMAXFACTORという化粧品会社がひと昔前にありました。
真紅のパッケージで有名な 「SK-II」は、元々はMAXFACTORの商品でしたが 今ではブランドが独り立ちしてしまっていますね。
音楽や香りはその時代や大切な時、何気なく過ごしていたけど
あとからやけに残る風景や感情などなど..
様々なシーンを思い出させてくれるアイテムですよね。
今夜はMAXFACTORが元気だった頃。昔、お気に入りだった香りの話です。
写真の水色のパッケージたちはMAXFACTORのAquariusという商品名のシリーズです。アクエリアスと読んでしまいそうですがアクアリアス、です。
推定するに、もうかれこれ30年以上前のヴィンテージものですが、どうしてもあの香りが気になり探し続けていました。海外サイトでようやく見つけ、取り寄せしました。便利な時代です(しみじみ...)
上記の写真、左上の缶の中にはバスキューブが入っています。今で言うところの「花王のバブ」のような商品です。真ん中のボトルはボディミルク。
真ん中の金色の懐中時計のようなものはコンパクト式になっていて中には練り香水がセットしてあります。そして右上はボディパウダーです。
化粧品の中古など購入したこともないし、買いたいと思ったこともないけれど、廃番で手に入らないとなると...しかもそれが香りとなるとふと思い出したときにどうしてもあの香りに再び包まれたいと思うものです。夜中に昔大好きだった曲が脳裏を横切り、あれはなんて曲だったかしら?と判明するまでスッキリ出来なくて検索しまくって夜ふかししてしまうのと同じような状態です。
この商品との出会いは...実は私、昔々、そのMAXFACTORさんでお勤めしていた時期があり、初めてのお給料で購入したのがこのAquariusシリーズだったのです。正直、慣れない仕事で心細くて泣きそうになりながら、毎朝通っていたことを今でも覚えています。子供だったんですよね、まだまだ。
他の新人さんたちは口紅やアイカラー、それこそSK-IIを社員価格で嬉しそうに買っていました。綺麗になるために、また、自らのお顔に使用して勉強するために。それなのに私はといえば...まだ若かったくせにきっと疲れていたんですねw入浴シリーズを全商品揃えました。
研修を終えて、店頭に立ち、3週過ぎたあたりでしょうか、すごく精神的にも慣れない立ち仕事や接客にも疲れ、なかなかメイクも上手に出来なくて心が折れかけていた時期だったような気がします。
だから本当に癒やされたいという理由だけでチョイスしたのだと思います。
上の写真にはありませんがバスジェリーという商品もあり、バスキューブが液体になったようなものなのですがそれをバスタブに流し込みAquariusのボディソープで体を丁寧に洗い、匂い立つ湯船にゆったり浸かり、お風呂上がりには同じ香りのローションやミルク、バスパウダーで仕上げ明日のためにゆっくり眠る...そんな毎日をすごしていました。このシリーズ、本当に香りが素敵で、翌朝、通勤中もお店について開店前の準備などでふとした動きをする際も自分から芳しい香りがふわふわとしているのです。
自分からこのような香りがしていると、なんでしょう、自然に自信がつくのでしょうか、とにかくこの香りと出会ってから仕事が楽しくなりました。同時に会社の化粧品全般が大好きになり、いっぱいお化粧品、売れましたよ。
若者は単純ですよね。
なんと表現していいのか当時からわかりにくかったですが、とにかく邪魔にならなくて優しくて爽やかさもありながら甘くて懐かしさもある不思議な香りです。
30年以上前の、しかもUSED。おいそれとは期待通りにはいかないだろうと覚悟はしつつも、懐かしいあの、水色にもう一度会いたい。
すっとそう願っていたので今回の入手はとても嬉しかったです。
アメリカの出品者さんから海を超えて届いて、ようやく香りと対面しました。最初に練り香水を箱から出してクンクン。
あれ?...こんなんだっけ?
バスパウダーに関してはさすがに古すぎ?香りが飛んじゃっててシッカロールとあんまり変わらないような💦
まあ、ヴィンテージだし仕方ないよね。でもパッケージだけでも再会できてよかったよね、って言い聞かせ半ば諦めかけてましたが....バスキューブ!
これが全然香りが変わらず健在でした!
そうそう、これこれ。
泣きながら職場に行った頃の切なくて胃がキリキリするような緊張感、その後、職場や仕事が楽しくなって華やぐ毎日。
両方の感情が入り交じるシーンにいつもこの香りが一緒にあったのです。
あの頃の感情が蘇りました。頑張ってたよね、自分。
そんな優しい気持ちになることが出来ました。
そして今夜もこの香りのお風呂にゆったり浸かって
これからの自分、明日からの自分、未来の自分も頑張れ。
そう思いながら....おやすみなさい。