学芸員のつながり
こんにちは。休館中なのですが、ここのところ何かとバタバタしていまして、ノートの更新ができずにいました。久しぶりの登場です。
さて、本日は、本来なら既に開幕しているはずの展覧会「愛媛県美術館コレクションによるおでかけ美術館」について紹介させてください。
当展覧会において、五百亀記念館が選んだテーマは「女性」。それは、彫刻家・伊藤五百亀が、生涯をかけて取り組んだテーマでもあるのです。
「作家が女性を描いたり作ったりすること、それって普通やん」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、伊藤五百亀の場合、とっても意義深いことなのです。なぜなら、彼は、均整のとれたたくましい男性像を作ることで高く評価された彫刻家だったからです。男性像というのは、「ただ単に、筋肉ムキムキの力強い身体を作ればいい」のではない、そこに難しさがあるのですが、表面に見える筋肉の窪みと盛り上がりを通して、目に見えない骨と筋肉を、まさしくその中に存在するかのように表現しています。その骨と筋肉の関係を、今度はそれらを覆う形で、新しいテーマに挑んだのが、女性像だったのです。
という話は長くなるので、また今度。
あぁ、でも、これだけは言いたい!
具象ではあるけれど、ある程度美化する、それは、造形的にということではなく内面的に、それが、五百亀彫刻の神髄です。
そういう目でみると、銅像鑑賞って、とっても面白いんです。
「彫刻のいろは」みたいな展覧会、できたらいいなぁ。
しかし、、、悩みました。なぜなら、巡回展に近い今回のようなケースでは、展示する作品の事前調査を行わないので、目にしたことのない作品については、配置設計図を作成するうえで、作風やバランスなどのイメージがなかなか掴みにくいからです。
こんなに悩むか?と思うくらい悩み、くじけそうになったとき、K学芸員さんが当館を訪れてくださり、こう言ってくれました。「あれもこれも貸してって言えばいいんです!」と。
勇気づけられた藤原、復活です。
調子に乗って、あれもこれもとわがままにお願いし、無理難題を言ってしまったのですが、愛媛県美術館の担当学芸員さんは、一つ一つ丁寧に冷静に対応してくださり、結果、とっても素敵な展覧会場となりました。
伊藤五百亀の女性像も展示しています。
休館が明けたらぜひ、ご来館ください。(6月1日より)
「欲張ったねぇ」
「…はい。」
今回、他館の学芸員さんより、たくさんの励ましのメールやお手紙などをいただいたのですが、いつのまにか学芸員同士のつながりができていた…というと大変おこがましいのですが、そうやって手をさしのべてくださる仲間がいてくれていることに気が付きました。
学芸員のつながり、私の宝物です。
改めて、「学芸員」という重みと誇りを感じました。大切にしていきたい。
ではまた。
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