付記試験受けてきたYo!

べんりしえぬ

 この秋に、特定侵害訴訟代理業務試験 (付記試験) を受けてきたので、記憶が割と鮮明なうちに、その模様をお伝えしようと思います。

  1. 付記試験概要
    (1) 付記弁理士とは
     付記弁理士は、特定侵害訴訟 (特許権等に係る侵害訴訟) の代理人を弁護士と共同で務めることができます。特定侵害訴訟とは、特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利の侵害又は特定不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟をいいます。
    https://www.jpo.go.jp/news/soshodairi/shiken-annai.html

(2) 誰がなれる?
 能力担保研修を修了した弁理士に受験資格があります。ただ、能力担保研修は、登録後約1年後じゃないと受けられないみたいです。逆に、最も早ければ、登録後1年で能力担保研修を受けられて、弁理士登録後2年以内に付記弁理士になれるみたいです。

(3) 試験科目
2科目の記述式試験です。試験時間は午前午後共に3時間です。
a. 午前
 特許の訴状または答弁書と、民法及び民訴法の小問 (穴埋めと論述) です。
b. 午後
 商標、意匠 (???) 又は不競法の答弁書または訴状と、民法及び民訴法の小問 (穴埋めと論述) です。

(4) 費用
少なくとも、能力担保研修に20万円必要です。
その他、民法と民訴法の専門知識 (修了経験等) がない場合、民法及び民法の基礎研修 (e-learning) を受ける必要があります。

(5) 期間
能力担保研修: 4月~9月
本番: 例年10月半ば-下旬

2. なぜ受けたか?
 前から、「付記試験て何だろう」と気になっていました。
試験に受かった人に聞いているうちに、「そんなに気になるなら取ってしまえ」ということになりました。

3. 実際どんな勉強をしたか
(1) 民法及び民訴法の基礎研修 (弁理士会の e-learning): 2万2千円
 村西大作弁護士によるe-learningです。民法、民訴法それぞれ11000円だったかと思います。
 2月から9月くらいまで、毎日30分-1時間ずつ勉強していました。
 この基礎研修のテキスト (書籍) が 民法、民訴法それぞれ4000円でした。本試験直前に過去問をつぶしてから気づいたことですが、このテキストには本試験の過去問がふんだんに盛り込まれていました。
(2) 能力担保研修: 20万円
 4月から9月まで、3週間おきに、半日から終日の研修を受けました。全10回くらいでした。
私は週末コースだった分、土曜日にまとまった時間で受講する必要がありました。平日コースの場合、毎回の受講時間は少ないものの、週末コースより受講回数そのものは多いものとなっていました。
毎回、現役バリバリの弁護士さんによる座学でした。コロナ禍ということでフルオンライン開催でした。
実務の生々しい話が聞けてとても興味深かったのですが、宿題がめちゃんこきつかったです。
訴状や答弁書の起案問題も宿題として出されていて、毎回提出がきつかったです。本試験より難しかったと思います。特許法102条の「損害額の算定」はだいぶ理解進みました。

(3) 村西ゼミ (オプション、希望者のみ): 14万3千円~
A. 全9回のゼミ (主に起案対策): 14万3千円
 訴状及び答弁書の書き方について丁寧かつ実践的な講義が3週おきくらいに行われました。能力担保研修のスケジュールを意識して、いい感じに補完しあうような関係でした。村西先生の講義はとても良かったです。僕の表現力はしょぼいので、興味おありの方は個別にお問い合わせくださいませ。

B. フォローアップゼミ (民法・民訴法の小問対策): 3万3千円
 民法民訴法の小問について、過去問から先生がピックアップした問題の講義と、全ての過去問の解答例が配られました。法改正にも対応した問題・解説になっていて、非常に勉強になりました。

(4) 自主ゼミ: Priceless
 村西ゼミの仲間5人くらいで自主ゼミを無理のない範囲でやりました。全部で10回弱だったかと思います。
村西ゼミの仲間に声をかけた理由は、自主セミでは起案問題の過去問を皆で解いて、互いの解答例を共有しあい、皆が書けそうなところ、書けなさそうなところを掴むことを目的としていたので、過去問の解答例が配られる村西ゼミの仲間に限った方がよいだろうと思ったからです。自主ゼミは、勉強習慣を自分に強いる点でやってよかったです。仲間がいると思うと自分だけサボるわけにはいかないし。

(5) 規範 (一部条文、判例、解釈) 丸暗記
 規範をAWSのPollyによって音声化して移動中ずっと聴きつつブツブツ唱えながらコツコツ暗記していきました。弁理士試験の論文口述のときから、最終的には力技の世界であるとも思っていました。
Polly: https://aws.amazon.com/jp/polly/

4. 本番
(1) 午前 (特許)
 民法民訴法の小問から始める人が多かったみたいだけど、やり方を急に変えるのはよくないと思って、これまで通り起案から書いていった。
 均等論の問題が出て概ね対応できたけど、第1要件でしくじったか。「非本質」は、特許発明側の構成要件なはずのに被告側の部分を書いてしまった。痛い。でも、自主ゼミ仲間と答え合わせした感じだと、他は概ね対応できたかな。特許の問題は例年と傾向が少し変わって、損害賠償のところで民法の共同不法行為を思いっきり絡めてきた。規範をばっちり憶えていたのが災いして気合入れて書きすぎて時間食ってしまった。
 民法で同時履行の抗弁について難しい問題が出て間違えたけど、周りもみんな間違えていたからここで差は付かないと思う (と願う)。
論点: https://www.jpo.go.jp/news/soshodairi/soshodairi-mondai/2022.html

 時間切れということもあって民訴法は半分くらいだろうか。小問の出来は5-6割といったところだと思う。午前の部終了直後は手応えがあった (けど、均等論でしくじったことに気づいていなかったというおめでたさが恥ずかしい)。

(2) 午後 (意匠と (営業秘密) 不競法)
 午前に手応えがあったので割と気が抜けていた。問題文が配られると妙に分厚い。「触るな」と言われていたから、横から厚さを見てみたら、解答用紙 (7枚?) の4倍くらいあった。何じゃこりゃ。
 すると、今年は不競法の年かと思いきや、開けてびっくり意匠法!
 午前、起案で時間食った反省と気分転換を兼ねて、午後は小問から解いた。気が抜けていたのが功を奏してリラックスして臨めたとも思うが、のんびりし過ぎて時間食ってしまった..
 意匠は、類否判断の規範書かされた。宮口先生に教わったゴロ「ぶにるけ認定、きょうさい認定、個別、全体」が脳裏に焼き付いていて、「ヨシ」と思ったけど、どうやらこれは審査段階の規範だったようだ.. ouch
 結局、不競法の19条 (適用除外) のところをしくじって空欄1個まるまる落とした気がする。でも、終わった後、自主ゼミ仲間と答え合わせしてみたら、小問はほぼ出来ていたっぽい。
(3) 手ごたえ
 これまでいろいろ試験受けて受かったり落ちたりしてきたけど、経験則上の感覚的には今回はイケたんじゃないかな..合格発表は12月22日だって!

5.  何のために
 さて、付記取って何の役に立つんでしょうか。色々な先輩に聞いてみると、付記取ったからって直接実務に役立つことはないっぽい。でも、個人的には下記の点で、真面目に勉強してよかったと思う。
(1) 民法民訴法の考え
 民法民訴法では、割と日常生活の掟みたいなのが明文化されていて、学んでいて面白かった。特に、民訴法の「弁論主義の3大テーゼ」とか「既判力」の考えは、夫婦喧嘩含め私生活にも (使い方要注意) 割と使える気がする^^;
(2) 法的三段論法
 規範、あてはめ、結論をきつく意識づけさせられて、判決文の読み方が少しわかったような気がする。ここがもっとできていれば、弁理士試験の論文試験はもう少しやりようある気がした。
(3) 今後の機会
 この勉強を通じて、今後何かお仕事とかの機会は増えるんじゃないかな。減ることは無いだろう..

6.  これから受ける方へ
(1) 学びは楽しい
 学びは純粋に楽しいから、迷ったらぜひ。特に、能力担保研修と村西先生の講義は、内容を考えると破格だと思います。20-30万円なんて、ちょっとヨーロッパに旅行したと考えれば、あり得ない学びがあると思います。
(2) 法文集
 弁理士試験の論文試験でもらえる法文集は、民法民訴法が付いているので重宝します。弁理士試験に受かって合格した方も、合格後、即売り払うのはやめておいた方がいいと思います。知財法と民法民訴法がまとまった法文集は市販されていないので、付記試験対策には重宝すると思います。

7.  まとめ
 学びは楽しいし、色々覚えてダメ答案書いて、特に自主ゼミ仲間と議論したプロセスはかけがえなかった。お金は30万円以上かかったけど、充実した時間に充てられたからよかった。この過程を通じて得られた知識と仲間は、今後僕の将来を楽しくしてくれるはずだよね!

8. Disclaimer
 後半は朦朧として書いたので今後修正する可能性があります。本日、朕の誕生日につき大目に!
グンナイ。

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