クラウドファンディングはゴミ箱か?

多くの方に読んでいただけたJ-REITはゴミ箱か?に続くゴミ箱シリーズ(?)はクラウドファンディング。

不特定多数からプロジェクト単位でお金を集めて投資するって言うアレです。2006年には既にセキュリテ(社名変更前のミュージックセキュリティーズで)がありましたが、2010年あたりから一気に拡大し始め、昨年はコロナもあり1万件を超えるプロジェクトが立ち上がりました。

高いリターンやユニークな事業へアクセスが投資家の興味を集め、着実に認知度が広がっていますが、規制が緩い金融商品(クラウドファンディングは金融商品です)は当然のことながらハイリスクハイリターン。大手業者のmoneoやSBIソーシャルレンディングが100億円以上の延滞や損失でニュース紙面を騒がせています。

私はJ-REITはゴミ箱!と叫んだ人間ではありますが、クラウドファンディングについてはストラクチャー事業での師匠である上司のコメントが秀逸でした。曰く、

いい年して数百万円も用意できないおっさんが始める自己実現ビジネスだろ?世の中に失礼だよな。


やりがい?夢?技術がある?

人にはいろんな事情があるでしょう。でも、何をやるにもお金が必要な現代において、数百万円の資金調達に苦労しているおっさんに事業センスはないです。良いアイデアを抱えていたとして、仮にそれが世の中のニーズにマッチしてたとして上手く発射できたとしても、次のフェーズでほぼ間違いなくこけます。

小さな資金には興味を示さないメガバンクはともかくとして、地銀、信金、ベンチャーキャピタル、そして意外とゴロゴロしているエンジェル投資家は金余りです。そらみんなが下限金利で借りれるわけじゃありませんが、それは過去の経験則からこのくらいの金利が必要で、逆にそれくらいの払えないような事業はそもそもやるべきじゃないというノウハウがあるわけです。

そんな環境下で高いリターンを謳ってるクラウドファンディングには間違いなく裏があります(寄付型のクラウドファンディングはそもそも投資ですらないので例外)。募集のやり方や、実際に投資した後の対応が挙動不審。

名前は挙げませんが、自分の実例で言えば、不動産事業者向けローンなのにやたら元本償還が頻繁で投資家側からすると全然リターンにならない、太陽光ローンなんて普通にやればお金つくのに、トランシェをやたら細かく区切って少しでも募集を成立させようとしてる、とか。なんか事情があって、銀行借入できない会社が綱渡りの資金繰りしているようにしか見えない。

当初は元本がフル償還されてたセキュリテでも、途中終了や元本割れが珍しくなくなってきました。もちろん元本割れしても事業者コメントには謝罪なんてありません。

負け惜しみになりますが、そもそも何だか怪しいとは思ってたんです。最初の頃はほぼ元本が償還されてましたが、売上連動なのにそんなにぴったり100%になる?とか、事業者は他にも事業とかクラウドファンディングやってるのに、このクラウドファンディング事業だけ切り分けて管理してんの?とか。

幸か不幸か自分が投資してたファンドは投資家特典込みなら元本割れにはなってませんが、それだって投資家から預かった資金で自社商品(利益乗せた価格で)買ってあげて残額を返してもらったのと変わりません。

いわゆる金銭リターン型のクラウドファンディングは黎明期を経てもう廃る一方なんだろうなというのがこのnoteを書こうと思ったきっかけです。

微妙に生き残りそうなのは不動産クラウドファンディングでしょうか。一部の案件は「そんな金利で大丈夫か?そんなレバレッジで大丈夫か」という水準ですが、それ以外は「銀行やリース会社と面倒なやり取りするくらいなら少々高い金利でもいいか」という経済合理性があるように思います。ただ、ここから相当に規模が大きくならないとクラウドファンディング事業としてやる意味がないので、過渡期として優しく見守りたいけど会社としてやる意味あるのかは微妙なところです。そこら辺、会社に直接聞いてみたい気もします。





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