京都市「空き家税」導入 不動産市場への影響は?

 3月22日の共同通信のニュースに、京都市が導入を目指している空き家税に対して、総務省が近々同意する見通しという記事がありました。
 
 自分は空き家税のことを知らなかったのですが、京都市は以前からこの税の導入を目指していて2026年からの課税を考えているとのことです。

 初の「空き家税」、国が同意へ | Reuters

 この記事を見ますと、空き家を所有していると、従来からかかっていた固定資産税の1.5倍の税金がかかる、と書かれていますので、単純に想像すると、固定資産税の0.5倍ぐらいの費用が毎年かかる、ということになるようです。固定資産税を年間8万円払っている人は、1.2万円になる、ということでしょうか。これは結構痛い出費になりますね。

京都市のホームページには、これまでの経緯などの情報が載っています。しかし文章が分かりにくく、実際のところどのぐらいの金額が上がるのかよく分かりません。
京都市:非居住住宅利活用促進税の導入に向けた取組について (kyoto.lg.jp)

 京都には、自分も物件を所有しているので、今後、売買市場や賃貸市場にどのような影響が出てくるか気になっているところですが、大学の定員が全体的に減になっていて、ワンルームマンションが、だぶついている印象です
ので、家賃下落が起こるのではないかと懸念します。

 一番反発が大きそうなのは、セカンドハウスとして利用している場合です。富裕層が年に数日利用するために不動産を保有している、ということのようなのですが、そのような暮らし方をすることが不利になってしまいます。

 ちなみに、自分はこの話を最初に聞いたとき、現在国で進められている、「二地域居住」の動きに逆行するのではないか、ということが気になりました。京都市の答申にも二地域居住のことは以下のように触れられていました。

〇「経済財政運営と改革の基本方針2020」では、「二地域居住・就労が無理なく可能になるよう,兼業・副業,子育て支援の活用,地方税の納税の考え方など,住民から見た制度上の課題を早急に洗い出し,産官連携して移住や二地域居住に向けた取組を推進するための工程を明確化する。」とされている。
〇将来的に,二地域居住を行う者についての地方税の納税の考え方が整理されたときに,今回検討した法定外税についても改めて検討が必要となる場合があるものと考えられる ことから,この動向を注視されたい 。
〇また、 一定の期間を定めて 新たな税の導入による効果 や他の税目を含む
税収の状況 を検証するとともに, 社会情勢の変化に対応し、必要があると認めるときは, 適宜制度の見直しについて 検討され たい 。

要は「まだ国の側で特に決まったことはないから何か動きがあったら考えたらいいのでは」ぐらいの意味になりますでしょうか。

必要であればホテルに滞在すればいいのでは?という疑問がわきますが、ホテルでは生活用品をずっと置いておくこともできませんし、お金も出て行ってしまうだけになりますので、デメリットがいろいろありそうです。

 ちなみに、空き家税(非居住住宅利活用促進税)の対象(「非居住住宅」の定義)は、京都市が公表した資料を見ると、以下のような定義のようです。

・自宅として利用していないもの(住民票の登録のないもの)が対象
・住民票の有無に関わらず、居住実態の有無により判断する。
・賃貸に出している場合は、入居者がいればOK、入居者がいなくても、募集
から1年以内の場合はOK(1年超えたら課税される)
 
 京都市は、空き家が10万戸以上あるようなので、半分の5万戸がこの税の対象として、それが1戸あたり8万円税金を取られるとすると、ざっと40億円という計算になります。
 
 まあすごい額とは思いますが、京都市は財政の悪化がひどいようですので、これでどれだけ財政が楽になるのかはよく分かりません。

 この衝撃の「空き家税」、導入は令和8年の予定とのことですが、現時点ではまだあまり情報がないので、今後も注目して見ていきたいと思います。



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