見出し画像

【まつわる話】投資に不利な勤務先

◆投資をする(しようとしている)人は増えている

ここ数年で、投資している人や投資に興味を持つ人の割合は大きく上昇しているそうです。(とは言ってもまだ20%程度ですが)

かくいう私も、新社会人であった2017年に投資を始めたので、その中の一人に入っています。

投資をすることは一般的になってており、今は会社員として働きながらも「いつかはFIRE」なんてことを夢みている人もいるのではないでしょうか。

そこで「個人として投資を行うことに制限がかかってしまう勤務先がある」ということは知っておいていいことかと思い、ちょっと書いてみます。

というのも、私自身がそう言った企業に勤めており、正直不便さや不利を感じているからです。

◆自由に投資ができない勤務先がある

投資が自由にできない勤務先がどんなところかというと
・金融機関(銀行や証券会社)
・監査機能を持った会社
・これらの関連会社

です。

これらの企業の従業員は、金融商品取引法などの法律によって「投機的利益の追求を目的として有価証券の売買その他の取引等をすることを禁止」されています。

なぜなら、これらの企業の従業員は業務を通して、株価に関わる企業の"重要事実"を知り得る立場にあり、インサイダー取引をし易い環境にあるからです。

※"重要事実"とは、ざっくり言えば「その企業の株価に影響を与えそうなニュース」です。例えば決算や合併・買収の情報などです。

本来顧客の利益や資産形成の成功を第一に考えるべき金融機関の社員が、仕事を通して得た情報を元に私腹を肥やすなんてけしからん。それどころか、証券・金融ビジネス全般の信頼を貶めてしまう、、、ということなんでしょう。

さて、具体的にどんな制約があるのでしょうか。

◆①:勤務先以外の金融機関に証券口座を持てない

社員がどんな取引をしているのかをすぐに把握できるように、金融機関は社員が持てる口座を自社に制限します。

「こっそり作れないの?」と思うかもしれませんが、証券口座を開設する際には自分の勤務先情報を渡す必要があるので「あなたはA証券会社の社員さんですね。弊社で口座は解説できません。」という感じで、断られます。

ネット証券を使えば非常に低い手数料で取引できる時代なのに、勤務先が実店舗を持って対面営業をしているような金融機関だと、この制約のせいで高い手数料を取られてしまいます。

※まさに自分のことです。まじめに計算してみたところ、大体約定価格の2~3%が手数料として持っていかれていました、、、これはあまりに不利です。

◆②:取引できる金融商品に制限がある

「投機的利益の追求を目的とした取引の禁止」なので、投機的とみなされるような方法での取引はできません。

代表的なものとして、信用取引やオプション取引などが禁止されます。

初心者がいきなり手を出すようなものではありませんが、ある程度投資経験を積んだ方であれば、こういった取引方法によって資産形成を加速させることができるので、そういった人にとっては不利な制限となるでしょう。

◆③:取引できる金融商品であっても、実際に取引するには条件がある

インサイダー取引の防止が目的ですので、インサイダー取引になり得るような条件での取引は禁止されます。

例えば「前回の取引から6ヶ月経過しないうちの反対売買は禁止」などです。

この場合、一度購入すると半年間は売却ができないので、半年間未満の短期取引で利益を出すようなことはできません。

また、購入した直後に暴落したような場合であっても、半年間は塩漬けにするしかありません。

◆具体的なルールは勤務先に確認しよう

冒頭で紹介した金融機関や監査機能を持つ企業は、社員が違法な取引が行わないよう社員に対して「会社としてのルール」を定めますが、その具体的な内容は企業によって異なります。

「ルールを守っているなら個別株の取引を認めよう」という企業もあれば、「社員がルールを守っているのかをチェックするのが大変なので、個別株の取引自体を禁止しよう」という企業もあります。

投資を始めたり、続けたいと思うのであれば、具体的なルールは勤務先や転職先、内定先に確認しておくのが吉です。

◆最後に

政府は「一億総株主」なんてスローガンを掲げてまで国民に投資を勧めようとしています。

加えて、日本は給与水準が長年上がっていないので、所得を増やそうと思ったら、投資は大きな選択肢になります。

にも関わらず、勤務先によって投資が制限されるというのは、金銭的な機会損失が生じていると言っていいでしょう。

政府として国民に投資を勧めるのであれば何かしらの手当がされてほしいなと思いますし、勤務先を選ぶ上ではその機会損失を考慮した上で決定すべきなのかな、と思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?