10年データを使った暴落の歴史分析
過去10年のデータを分析し、どの程度の下落が過去に起きていたのかを可視化します。
分析方法
S&P500の過去10年のデータをこちらから取得し、終値ベースでの変動幅を分析します。
1営業日の下落ベスト10
下の表は1営業日前との下落率ベスト10です。
2020年は勿論コロナの影響です。2011年は米国債ショックと呼ばれる下落です。Wikipediaでは以下のように説明されています。
米国債ショック(べいこくさいショック)とは、アメリカの格付け機関スタンダード&プアーズ(S&P)が、2011年8月5日にアメリカの長期発行体格付けをAAAからAA+に格下げしたことによる、世界の株式・債券・通貨市場へ与えたショックのことをいう。
引用:Wikipedia
より背景を知るには大和証券が出しているこちらが良いかと思います。米国経済の先行き不透明感、悪化懸念、欧州の債務問題、新興国の減速懸念が背景にあり、米国債の格下げがトリガーとなったようです。興味深いのは格下げが8/5であり終値が落ちているのが8/4であり1日早いというところかと思います。これは以下のような状況下にあったために、発表前に先に株価が反応したのではないかと思われます。
S&Pは7月14日、米国債の格付け見通しを3ヵ月以内に引き下げる可能性が50%以上ある「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」とし、財政再建の実行に信頼性の高い赤字削減額は4兆ドルとの見通しを示していました。一方、オバマ大統領と米国議会は先週、債務上限金額を引き上げるとともに財政赤字を2.4兆ドル削減する妥協案に合意、同法案が成立しました。しかしながら、その金額はS&Pが適正と考える金額に満たなかったことから、今回の格下げに繋がった模様です。
引用:三菱UFJ
2020/6/11はコロナ第二波によるもので、パウエルFRB議長の発言がトリガーとなっているとされています。
参考:大和アセットマネジメント
ここまで見てきたように、経済の悪化懸念、不透明感あたりを背景とし、統計や要人発言などがトリガーとなるのが典型的な暴落パターンなのではないかと思います。気をつけないといけないのは、トリガーとなる事象の結果が明らかな場合は先回りして株価が反応しうるというところかと思います。
(間違いなどあれば指摘コメントいただけると嬉しいです。当時はほったらかし投資しかしていなかったため過去のニュース漁る方法でしか状況がわからず。)
ちなみにベスト11以降も見ていくとVIXショックがあり、雇用統計が予測を上回ったことを背景としたFRBの利上げペース加速懸念が原因のようです。
今まで見てきた情報をもとに単日の下落を可能な限り避けていく、というのが必要な戦略となるかと思います。
1営業日の下落ベスト10の翌日変動幅
こちらは先ほどの表に翌日の変動率(G列)を追加した表です。
3/11は翌日の方が大きな下落となっていますが、かなりリバウンドで株価が戻ることも多いようです。
11-20位でも半分が上昇に転じています。
ただ翌々日を見るとほとんど下落しています。本物の下落がきた時はすぐに買い向かうのはあまりよい選択ではなさそうです。
3営業日の下落ベスト10
3営業日での下げ率の表です。
興味深いのは先ほどまでの表にはなかった2015年の下落が含まれている点です。
三井住友DSアセットマネジメントは以下のように分析しています。
8月11日の中国人民元の切り下げをきっかけに中国の景気下振れ懸念が強まり、世界同時株安が進行しました。中国が政策金利と預金準備率をともに引き下げたことや、米国の9月の利上げ観測が後退したことなどから、世界的に株価の下落に歯止めがかかりました。
引用:三井住友DSアセットマネジメント
ショック型の下落ではなく、連日下落し、原因への対処がなされるまで株価が下がり続けるタイプの下落だったようです。
この表からもう一つわかることは、1営業日の下落率よりも3営業日の下落率の方が大きいということです。
5営業日の下落ベスト19
中途半端ですがベスト19です。ほとんどがコロナですね。コロナ以外では2011年の米国債ショックが上位に入っています。すでに見たように一日の下落が10%を超えたのはここ十年で一日のみです。にも関わらずここに並んでいるのは10%を超えるものばかり。ショックが起きると下落方向にそのまま進んでいくことがわかります。
60営業日の下落ベスト19
ほぼ1Qに相当する60営業日の場合は以下です。S&P500ですらコロナでは44%という凄まじい下落です。ここで買いに行けた人は相当今稼げていますね。
2018年が唯一ベスト入りしています。意外にもここまでで登場してきたショックは60日以内にある程度回復した結果ランク外となっているようです。そして代わりにこの2018/12/24がランクインです。
チャートの形は下の通りです。
大和アセットマネジメントは12/20時点でこれを「懸念材料が重なり下落加速、市場心理が落ち着けば米国の強さを反映へ」と説明する記事を挙げています。上のグラフからわかるようにクリスマス頃を底とし急回復しています。
最後に10年グラフです。今後中国との覇権争いもより熾烈になっていくかと思いますが、チャートで見る限り非常に強い10年を過ごした米国経済のようです。いくつかもショックも乗り越えショック前の軌道に短期間で戻っています。
本物のショックがくると、しばらく下落が続き、また、最後に紹介した2018のクリスマス底などもあり、たしかにブルな期間もあります。しかし、”過去の話だけをすれば”、米国株を信じるものは救われる10年だったようです。インデックスを持ってるだけで3倍ほど資産増加です。
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