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FARFETCH 2020.Q3の決算を解説!

今回は初めて決算の解説をしてみようと思います。解説するのは、もちろんタイトル通り、FARFETCHの2020.Q3の決算です。リリースから既に2週間以上経ってしまいましたが、FARFETCHに投資されている方、もしくは投資を検討されている方は一読の価値ありですので、是非最後まで目を通してもらえればと思います。

結論から言うと、FARFETCHの2020.Q3の決算は、

「世界中で実店舗の営業が再開した中で、ガイダンスの数字を全て上回り、全体的に強い数字を記録。NGGの買収の成果、着々と黒字化へ進んでいることが確認できた良い決算」

と筆者は判断しました。

それでは、もう少し具体的に解説したいと思います。


予想を上回る結果も、GMVと売上高の見方に注意が必要

FARFETCHの決算で、まずチェックすべき項目が流通総額(=GMV)と売上高(=Revenue)です。FARFETCHは高成長企業であり、成長度合いを測る上で、これらの数字の伸びが重要だからです。

それでは、事前にガイダンスが出されていた項目から見ていきたいと思います。Digital Platform GMVは$588-609m、Brand Platform GMVは$90-95mという数字が、それぞれガイダンスで提示されていました。

これに対し、結果はDigital Platform GMVが$674m、Brand Platform GMVが$112mと、両項目ともガイダンスを10%以上、上回りました。

次に、全体の成長率を見てみましょう。GMVと売上高がそれぞれYoY(前年比)+62%、+71%となっていますが、前年同期の数字を見ると、それぞれYoY+59%、+90%で、今年は前年に比べGMVの成長率はやや増、売上高の成長率は鈍化しているように見えます。

また、売上高に関しては、前Q(2020.Q2)の成長率がYoY+74%ですから、前Qと比較しても成長率は鈍化しているように見えます。

しかし、このGMVと売上高の数字を見る上で、注意しなければならない点があります。それは、FARFETCHが昨年2019年8月に買収したNGG(ニューガーズグループ)の業績が、2019年8月より数字に反映されているということです。

この買収を機に、NGGの売上高がそのままFARFETCHのGMV及び売上高に計上されるようになりました。FARFETCHの2019年1年間の売上高がおよそ$10億だったのに対し、NGGの売上高は$3〜4億と言われていて、かなり業績に与えるインパクトは大きいです。

また、FARFETCHのGMVと売上高には倍くらいの差があり、NGGの売上高が加算された時の変動を%ベースで考えると、当然、額の小さい売上高の方が倍大きくなります。今年も昨年も売上高がGMVより大幅に伸びているのは、この買収が理由です。

今回2020.Q3のGMV、売上高(成長率)を前年同期もしくは前Qときちんと比較するには、以上のことを考慮しなければなりません。というか、そうしないと誤った解釈をしてしまうことになります。


GMVと売上高の本当の成長率は…

では、これを踏まえて実際に売上高(成長率)を比較してみたいと思います。

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