2024年のcbdcの状況
秋なので、cbdcの現状について調べてみました。
1. CBDCとは
中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、中央銀行が発行する電子的なお金です。日本銀行の定義によると、CBDCは以下の3点を満たすものとされています:
デジタル化されていること
円などの法定通貨建てであること
中央銀行の債務として発行されること
CBDCは、現金と同じ法定通貨として認められ、どんな取引にも使用可能です。また、国家の信用がその価値を支えているため、安定した価値を持つ通貨として期待されています[5].
2. 直接型CBDCと間接型CBDC
CBDCには主に2つの形態があります:
直接型CBDC:中央銀行が消費者に直接発行する形態
間接型CBDC(合成型とも呼ばれる):民間銀行が仲介機関としてCBDCを消費者に流通させる形態
間接型は現在の紙幣や通貨の流通形態に近いモデルです[3].
3. 直接型と間接型をそれぞれ検討している国
直接型CBDCを検討または導入している国:
バハマ:2020年10月に「サンドダラー」を導入
普及状況については具体的な数字が公表されておらず、広く一般に浸透しているとは言えない状況です。ナイジェリア:2021年10月に「eNaira」を発行
約1年後の2022年10月時点で、登録ユーザー数は約100万人、取引額は約40億ナイラ(約13億円)と報告されています。しかし、人口2億人以上の国としては普及率はまだ低い状況です。ジャマイカ:2022年6月にCBDC「JAM-DEX」の発行に関する法整備を実施
間接型CBDCを検討している国:
中国:デジタル人民元(e-CNY)は間接型の要素を含むハイブリッドモデル
スウェーデン:e-kronaプロジェクトで間接型モデルを検討
ユーロ圏:欧州中央銀行(ECB)のデジタルユーロプロジェクトで間接型モデルを主に検討
カナダ:間接型モデルを含む複数のCBDCモデルを研究
日本:間接型モデルを含む複数のCBDC発行形態を検討中
4. CBDCのメリットとデメリット
メリット:
決済の利便性向上
金融包摂の促進
取引コストの削減
国際送金の効率化
セキュリティの向上
金融政策の効果向上
デメリット:
プライバシーの懸念
既存の金融システムへの影響
技術的な課題(セキュリティ、システム構築の複雑さなど)
デジタル取付けのリスク
5. CBDCを導入する上での懸念点
プライバシー保護:個人の取引情報が中央銀行に集中することによるプライバシー侵害の懸念[1]
セキュリティ:サイバー攻撃やデータ改ざんのリスク[1]
既存の金融システムへの影響:銀行セクターへの影響や金融システムの安定性への懸念[6]
技術的課題:大規模なシステム構築や維持にかかるコスト、オフライン決済機能の実装[7]
法的枠組みの整備:CBDCの法的位置づけや仲介機関の役割の定義[6]
デジタル取付けのリスク:経済危機時にCBDCへの急激な資金シフトが起こる可能性
これらの懸念点に対処するため、各国は慎重に検討を進めながら、段階的なアプローチでCBDCの導入を検討しています。
6. CBDCの技術的側面
CBDCの技術基盤には、主にブロックチェーンや分散型台帳技術(DLT)が検討されています。
1. ブロックチェーン技術:
- 取引記録を複数のコンピュータで分散管理
- 暗号化により高い安全性を確保
- 改ざんが困難で透明性が高い
2. プログラマブル機能:
- お金の利用目的や条件を予めプログラミング可能
- 補助金の使途制限や期限設定などきめ細やかなコントロールが可能
3. 処理能力の課題:
- 国際決済銀行(BIS)によると、CBDCシステムは1日当たり30万件以上の取引処理が必要
- 既存のインフラでは対応が困難な可能性あり
7. CBDCのプライバシー保護対策
各国は、プライバシー保護とAML/CFT(マネーロンダリング対策)のバランスを取ることに苦心しています。
1. 匿名性の確保:
- 少額取引に限定した匿名性の付与
- トークンベースのCBDCによる一定の匿名性確保
2. データ管理の分散:
- 中央銀行と民間事業者の役割分担
- 取得・管理するデータの範囲と条件の明確化
3. 法的枠組みの整備:
- 個人情報保護法等の既存法令との整合性確保
- AML/CFT規制との調和
8. CBDCと既存の決済システムとの相互運用性
CBDCと既存の決済システムとの統合は、スムーズな移行と普及のために重要です。
1. 二層構造の採用:
- 中央銀行がCBDCを発行し、民間銀行が流通を担当
- 既存の銀行システムとの親和性を確保
2. API連携:
- オープンAPIを通じた既存決済システムとの連携
- 民間事業者による新サービス開発の促進
3. 段階的な導入:
- 既存システムとの並行運用
- 利用状況に応じた機能拡張(例:オフライン決済機能)
9. CBDCの国際的な標準化の動き
CBDCの国際的な相互運用性確保のため、標準化の動きが進んでいます。
1. 国際機関の取り組み:
- BIS(国際決済銀行)によるCBDC研究プロジェクトの推進
- G7やG20での議論と協力体制の構築
2. 中央銀行間の協力:
- 複数国による共同実験プロジェクトの実施
- 技術的知見の共有と課題の共同解決
3. データフォーマットの標準化:
- 国際間送金を想定した共通フォーマットの検討
- ISO20022などの国際標準規格の活用
10. CBDCが金融政策に与える影響
CBDCの導入は、中央銀行の金融政策に大きな影響を与える可能性があります。
1. 金利政策への影響:
- マイナス金利政策の実効性向上
- 金利の細かな調整が可能に
2. マネーサプライ管理:
- 通貨流通量のリアルタイム把握
- より精緻な金融政策の実施が可能に
3. 金融システムの安定性:
- デジタル取付けリスクへの対応
- 金融危機時の迅速な対応が可能に
これらの要素を考慮することで、CBDCに関するより包括的な理解が得られ、記事の内容をさらに充実させることができるでしょう。
参考先
[1] https://www.freee.co.jp/kb/kb-trend/digital-circle/
[2] https://www.boj.or.jp/paym/digital/rel201009e.htm
[3] https://bitcoin.dmm.com/column/0170
[4] https://www.sompo-ri.co.jp/2019/10/23/1696/
[5] https://trade-log.io/column/1194
[6] https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202106/202106c.html
[7] https://www.boj.or.jp/research/brp/psr/data/psrb200702.pdf
[8] https://wisdom.nec.com/ja/feature/digitalfinance/2024020101/index.html
[9] https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202106/202106c.html
[10] https://sbiferi.co.jp/assets/pdf/review/review_vol01_03_202202.pdf
[11] https://www.boj.or.jp/paym/digital/rel201009e.htm
[12] https://coincheck.com/ja/article/570
[13] https://trade-log.io/column/1194
[14] https://maricablog.standwave.jp/?p=728
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