僕は自転車で旅をする117
ぼくの不審者への注意を促すポスター5枚は、後日両親が駅、図書館、スーパー、そして警察に許可を申請して掲示されることになった。
しかも、そのままだと、雨や風に弱いしすぐ汚れる、ということで、お金をかけてパウチというツルツルの表面にしてくれた。
なんだか、お金を使わせて申し訳ないと思う。ぼくはひまわり貯金で、お金の大切さがわかっているからね。
そしてここからはとうさんとお巡りさんの話。
ポスターの最後1枚を持って、コウタの父親は公園近くの派出所を訪れた。
「その節はたいへんお世話になりました。」
派出所内でお巡りさんに向き合うあって、父親は深々と頭を下げた。
「こちらでポスターを掲示させていただけると聴いて、早速持ってきたんです。」
お巡りさんは差し出されたパウチされたポスターを受け取る。
裏表を確認して、「お、これはいいですね。長持ちしそうだ。」と感心した。
コウタの父親は笑いながら、「いえいえ、いいんですよ、ちゃんと期日通りの掲示で。
パウチは、なんていうか、親心ってヤツです。」
「いいご両親ですね。」と、お巡りさんは惚れ惚れと絵を眺めながら答えた。
「いえ、違うんです。」
思いがけない真剣さで父親が答える。
おや、と、お巡りさんは見ていたコウタの絵から、情け無い表情の父親の顔を目を移した。
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