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高橋周平の「フォルム」を高く評価していた和田一浩の隻眼

和田一浩が現役時代、「中日の若手選手で誰が一流になりそうか?」と聞かれて、迷いなく「高橋周平」と答えていた。

その理由は、打者としての「フォルムがいい。ひと目でいい打者だと分かる」と。

私は、ずっとその言葉が引っかかっていた。

野球では、打撃フォーム、投球フォームといったふうに、「フォーム」という言葉を使うのが一般的だ。

調べてみると「フォルム」は、フランス語で、「フォーム」は、英語である。
原語は、ほとんど意味に差異がないそうだ。

しかし、日本では、「フォルム」は、「形」、「フォーム」は、「運動しているときの姿勢」と、使い分けをしている。

フォームは、一連の動作をまとめて言う場合が多く、フォームを矯正するとなると、選手にとっては、大がかりな変更となる。

一方、フォルムは、構え、打席での仕草、打つ瞬間の形姿、フォロースルーの形など、その一瞬一瞬の形を切り取ったものだ。
和田一浩が語った「フォルム」は、まさに「形」の意味である。

「フォーム」が動画だとすれば、「フォルム」は、写真や静止画と言っていいだろう。

思えば、私が好きな一流打者には、打席でのどの瞬間を切り取っても絵になる素晴らしい形があった。落合博満、イチロー、松井秀喜、清原和博、秋山幸二、タフィ・ローズ、中村紀洋など。

もちろん、和田一浩も、その1人だ。独特のオープンスタンスで、バットのヘッドを効かせるように、そして、バットの重心の重さを感じ取るかのように揺らしてから構え、バットの遠心力を最大限に生かすスイングで低い弾道のライナーを放つ。
1球ごとにバッティンググラブを締め直す姿も含めて、私は、和田一浩のフォルムが好きだった。

和田一浩の発言以降、私は、高橋周平にずっと注目している。
なかなか覚醒しない高橋を見ては、和田一浩の発言を疑いそうになってはいたが、今年は、5月に入って絶好調になり、ここまでレギュラーとして3割を超える打率を残してきている。

今年、この調子で高橋がレギュラーとして好成績を残し、日本を代表する選手に成長していくなら、和田一浩のあの予言が再び脚光を浴びてほしい。

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