ASKA「Breath of Bless」を30名超がリモート演奏するオーケストラが衝撃
2020年7月9日に、YouTubeのCHAGE and ASKA公式チャンネルが登録者10万人を達成しましたね。
一切、活動をせずに6年間かけて地道に登録者10万人を積み上げるなんて、他に類を見ないでしょう。
CHAGE and ASKA Official Channel
そして、今週は、藤原いくろうさんがアップした動画に驚かされました。
何せ30名を超える演奏家の方々とリモート演奏で「Breath of Bless~すべてのアスリートたちへ」をレコーディングしているのですから。
これは、フルバージョンがアップされたら、世界を驚かせるほどの衝撃を与えるのではないでしょうか。
Breath of Bless Special Orchestra 「Breath of Bless (ASKA)」 Teaser Movie
この映像を観たとき、ふと、谷川俊太郎さんとASKAさんの対談を思い出したんですよ。
あの対談の中で、谷川俊太郎さんは、こうおっしゃっています。
「僕は、詩よりも音楽の方が上だと思ってる人間なんですよ。音楽がいちばん偉くて。
意味がないから。音楽には。
意味がないところで人を感動させるでしょ。
(中略)
言葉は、困ったもんだとずっと思ってるんですよ。嘘もつくし、変な誇張もする。音楽は、そんなことが一切ない」(13:14頃から)
【ASKA書きおろし詩集】谷川俊太郎×ASKA 奇跡の対談
実を言うと「Breath of Bless~すべてのアスリートたちへ」には、私は、あまり注目していませんでした。シングルのカップリング曲で、アルバムタイトル曲でもあるにもかかわらず……。
明らかに、圧倒的な制作期間と音楽としての完成度を誇っているにもかかわらず……。
私は、オーケストラが奏でる高尚な音楽よりも、歌詞と歌声がある方が分かりやすいので、どうしてもそちらを好んでしまいます。周囲のファンの中にも、そういった方々は、結構多いです。
そもそも、インストルメンタルは、昔からなかなかヒットしません。CMやテレビ番組でヘビロテされない限り。
しかも、最近は、YouTubeやサブスクが全盛となってきて、楽曲のイントロまで削られる傾向にあるとか。
5年前までは、楽曲のイントロが平均20秒あったのに、今の楽曲は平均5秒にまで落ちてきているそうです。
言われてみれば、一昨年最も話題となった米津玄師さんの「Lemon」はイントロ無し。昨年最も話題となったKing Gnuの「白日」もイントロ無し。
ともに、いきなり歌声から始まっています。
一般大衆は、まず歌詞ありきで、意味のある言葉を聴いてようやく楽曲が理解できるっていう証明ですね。ぱっと聴いての分かりやすさ重視なんです。
でも、藤原いくろうさんの映像を観て、谷川俊太郎さんのお話を思い出して、もうちょっと「Breath of Bless」を聴いてみようと思ったのでした。
ASKAさんのアルバムに収録されたバージョンは、下記動画の13:24頃からです。
ASKA New Album『Breath of Bless』(Audio Teaser)
ASKAさんは、アルバムの中で、「Breath of Bless」がイチ押しのようですが、いろんなインタビュー記事を読んでも、インタビュアーが「Breath of Bless」についてあまり質問しないんですよね。
だから、「Breath of Bless」について書いてある記事が極端に少ない……。
でも、こうやって、ブログで取り上げようとして、なぜなのかが分かりました。
歌詞がない=質問や文章にしにくい。
谷川俊太郎さんの言うように、意味がないから、もはや自分の中で湧き上がる感動を楽しむしかないんです。
ASKAさんは、この楽曲を、日の丸が棚引く絵から始まり、アスリートの戦う姿がオーバーラップしていく、というイメージで制作されています。
オリンピックの開会式から試合、そして、閉会式に至るまでを描いていると、とらえることもできるし、1つの試合を始まる前から終わった後までを描いているとも、とらえられます。
そして、この楽曲をASKAさんと共作した矢賀部竜成さんは、最近、新アレンジへの挑戦をされています。
新アレンジで「Breath of Bless」を作ってみた。制作段階 VOL3
どんどん作品の幅が広がっていっていますね。
他の音楽家の方々も、新しいアレンジを施した動画をアップされています。
まずは、映像作品としても楽しめるHomemade Custard Clubの作品。
ASKA / Breath of Bless (re-arrange)
演奏技術が素晴らしいのがnamiural. comの作品。
1人のエレクトーン演奏で、ここまで重厚な音楽を奏でられるんですね。
ASKAさんの “Breath of Bless” を、弾いてみた
私は、ピアノ演奏が好きなので、ピアノだけのシンプルなアレンジにも魅かれます。
ASKA『Breath of Bless』をピアノで弾いてみた
アレンジや演奏のタッチが心地良い響きなのは、もちろんですが、映像としても、顔出しNGな映像で始まっていながら、徐々にカメラが音の振動で動いていくところが見どころです。
そして、音の振動のいたずらで、カメラがくっきりと顔を映してしまい、サプライズの顔出し演奏となるオチがつきます。
私は、まだこの程度しかこの楽曲を語ることはできませんが、いつか谷川俊太郎さんのように「バッハが自分を正してくれる。自分にある規律を与えてくれる」なんてふうに、語れるようになりたいものです。
以上、今後も、どんな「Breath of Bless」が作られていくか、注目していきたいと思います。
言葉がない音楽だけに、国境を超えて広がっていくとしたら、こういう楽曲なのかもしれませんね。
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