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今週「太陽と埃の中で」がiTunesシングルランキング8位になった理由に迫る

今週、世間は、ASKAさんがフジテレビ『ラフ&ミュージック』に出演し、最新版「太陽と埃の中で」を披露した話題でもちきりですね。

「お笑いと音楽の融合」をテーマにしたテレビ番組の中で、あの「太陽と埃の中で」は反則でしょ。
一切、笑いの要素を排除した、日本を代表するシンガーソングライターの迫真の歌唱と、日本を代表するバンドの演奏を聴かせるなんて…。

震えるような感動のあと、スタジオにカメラが切り替わって、中居正広さんやお笑い芸人の方々の固まってぽかんとした表情に笑ってしまいました。完全に圧倒されて、お笑いを忘れてしまってる表情でしたね。

これも、音楽とお笑いの融合。
あの場面が一番面白かったかもしれません。

どんなステージだったかというと。

このステージを観てしまうと、強烈な印象を植え付けられてしまいますよね。お馴染みのASKAバンドのメンバーもプロ中のプロばかりですから。

このステージの影響力は絶大で、Twitterではトレンド入りし、あまりの歌唱表現力に口パク疑惑まで拡散。

翌日にはiTunesシングルランキングで「太陽と埃の中で」が8位にランクイン。さらには「YAH YAH YAH」「LOVE SONG」「SAY YES」までもが100位以内にランクインするという社会現象に発展しました。

まあ、そうなりますよね。
35歳以下の人たちは、「太陽と埃の中で」のヒットをリアルタイムで知らないわけですから。

これから、また若いファンが増えそうです。

それにしても、「太陽と埃の中で」は、長い年月をかけてどんどん進化を続けてますね。

この曲がアルバム『SEE YA』(1990年8月29日)のラストに収録となってから、はや32年。
最初は、日清カップヌードル「レッドゾーン」のCM曲として人気が出て、ライブツアー『SEE YA!』で大きな話題となり、シングルカットされ、テレビ番組『TIME3』のエンディングテーマになり、ロングヒット。

その後、2002年のセルフカバーアルバム『STAMP』では、ラストを飾り、そのアルバムの最高傑作と評されました。

そこから、なかなかステージで披露されない期間もあったのですが、大きく動き出したのは2021年。

この南行徳中学校合唱部の動画がアップされてからですね。

SNSで話題となって、ASKAさんがこの動画を視聴。
そのとき、ASKAさんは、自らに依頼が来ていたお笑い賞レース番組『G-1グランプリ』のテーマ曲として、「太陽と埃の中で」再録を決断。

再アレンジを施しての『G-1グランプリ』テーマ曲起用を経て、さらにアレンジを強化して、今年の『ラフ&ミュージック』披露となったわけです。

「太陽と埃の中で」は、ずっと夢を持ち続けて生きる魅力とその困難さの両方を内包する名曲です。

学生が歌うには、うってつけの楽曲でもあり、夢を追い続ける芸人たちへの応援歌としても、うってつけ。

こうやって、多くの人々に寄り添い続ける楽曲を普遍の名曲と呼ぶのでしょう。

今回のステージを視聴して、改めて感じたのですが、あのアウトロは、日本一のアウトロですね。

「DAY AND NIGHT TIME,RAIN AND SUNSHINE」は、きっと宮沢賢治さんの名詩『雨ニモマケズ』を意識したもの。
宮沢賢治さんは、あらゆる欲を排した悟りの境地への願望を記していますが、「太陽と埃の中で」のアウトロは、少し異なります。

「I SEEK MY DREAM EVERYWHERE」
つまり、自らの夢をどこまでも追い求め続けると宣言するのです。

ASKAさんは、具体的な「夢」の内容は詞に記さず、あくまで聴く人々それぞれの夢を想像させるような構成にしました。
宮沢賢治さんのような、自らが悟りの境地に達する「夢」ではなく、一般庶民が子供の頃から持つような欲望としての「夢」なのです。

教科書に載っている宮沢賢治さんの詩のような高尚な生き方がすべてじゃない。自分なりに描いた夢を追い続ける生き方でいいじゃないか。

そんな想いがこもっているからこそ、永らく人々の心に響き続けるのでしょう。

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