2020年にYouTubeでよく聴いたカバー曲ベスト10
例年であれば、その年にYouTubeでよく聴いたオリジナル曲ベスト10をやる時期ですが、今年は、その前にYouTubeでよく聴いたカバー曲ベスト10を発表したいと思います。
YouTubeの広告費がテレビの広告費を逆転し、YouTubeでテレビの音楽番組級の動画が上がるようになってきました。
そして、メジャーレーベルもインディーズレーベルも関係なく、いい音楽がSNSを通じて広がり、人気が集まる傾向にありますね。
YouTubeでは自前の演奏ならカバー曲をアップOKですから、いろんなタイプのカバー曲を視聴できるようになりました。
2020年に私が視聴したカバー曲ベスト10。楽曲単位で紹介しようとすると、特定のアーティストに偏るので、1アーティスト1曲に絞ってのご紹介とさせていただきます。
①「cry」ASKA(黒田有紀への提供曲セルフカバー)
ASKAさんのセルフカバー曲の中でも、絶大な人気を誇っています。
今年、YouTubeにアップされた『Made in ASKA』バージョンは、ASKAさんが風邪をひかれていたので、今回は昨年アップされた『My Game is ASKA』バージョンでご紹介です。
かつて、私は、カバー曲なんてカラオケでしょ、という思い込みがあったのですが、2005年の『My Game is ASKA』ツアーでASKAさんの「cry」を聴いて、認識が大きく変わりました。
アレンジや歌唱表現によって、楽曲に新たな命を吹き込むことができる、と。
若い女性の失恋を描いた歌なのですが、ASKAさんの歌唱とASKAバンドの演奏によって、原曲よりも遙かに、女性の気持ちが伝わってくるようになっていますね。
②「パプリカ」畑中摩美(米津玄師・Foorinのカバー)
今年、YouTubeでのカバー曲視聴にはまった最大の原因は、畑中摩美さんの「パプリカ」を聴いてから。
これを視聴するまでは、Foorinバージョンの「子供が自然の中で遊び回り、夢を抱く姿を応援する曲」というイメージ。
しかし、大人の畑中摩美さんが抜群の表現力で歌うと、懐旧の旅へ連れていってくれます。
2度と戻れない幼少時代の仲間や一緒に過ごした人々との日々への憧憬が呼び起こされます。
まさに、新たな命を吹き込むカバー曲の神髄。
この曲は、幼少時代に原爆で亡くなった友達を歌っている、という説もあり、聴く人が歌唱者の表現によって、どこまでもイメージを膨らませられる名曲ですね。
③「このまま君だけを奪い去りたい」織田哲郎(DEENへの提供曲セルフカバー)
1993年、突如現れて一気にトップアーティストになったDEENのデビュー曲です。織田哲郎さんが楽曲提供していると知って、そりゃ売れるでしょ、と思ったものです。日本一ヒット曲率が高い作曲家ですから。
今年、織田哲郎さんは、YouTubeでストリングスアレンジ&自らのピアノ弾き語りというスタイルでこの曲をカバーしました。
「YouTubeでやるレベルじゃないですよ」というコメントのとおり、もはやテレビ番組の企画として成立するレベルの動画となってます。
④「奏」JUJU(スキマスイッチのカバー)
スキマスイッチの代表曲をJUJUさんがカバーして、YouTubeの急上昇ランキング入りしました。
このカバー曲の圧巻は、大サビで、それまでの演奏が一切止まって静寂に。そして、打ち寄せる波の音のみをバックに、JUJUさんがアカペラで絶唱。
海辺の映像、波の音、歌声。これらが三位一体となって、至高の音楽を響かせています。
鳥肌が立つほどの表現力です。
このカバーには、JUJUさんがテレビで共演していた三浦春馬さんへの想いが詰まっているとも言われていて、その想いを想像すると、さらにこの楽曲の情感が伝わってきます。
⑤「心の友」蒼莉奈(五輪真弓のカバー)
現在、20歳のシンガーソングライター蒼莉奈さん。
オリジナルソングにも才能を感じますが、カバー曲でもシンガー・ギターリストとしての才能を存分に発揮しています。包容力ある女性の純真な心を透き通った歌声の弾き語りで表現しています。
選曲も秀逸。この曲は、1982年の五輪真弓さんのアルバム収録曲で、日本では有名ではありませんが、インドネシアで第2の国歌と言われるほど人気の楽曲。
蒼莉奈さんのカバーは、インドネシア国民の間で大人気となり、既に400万回再生を突破しています。
⑥「罪と罰」宇海(椎名林檎のカバー)
澤近泰輔さんとのコラボでお馴染みの宇海さんは、ミュージカルの舞台出身で、磨き上げたボーカル力が光ります。
この「罪と罰」は、椎名林檎さんご本人よりも毒気が強くないか、とさえ感じるほどの迫力で歌いあげています。
いつかASKAバンドのコーラス隊に加入してライブツアーに回ってくれたら、と思うほど魅力的なボーカルです。
⑦「えんとつ町のプペル」永田MOVIE(西野亮廣のカバー)
カバーと言っても、いろんなタイプがあって、今年、一番笑ったのが会社員YouTuber永田さんの「えんとつ町のプペル」。
ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード、コーラス3人がすべて永田さんです。
しかも、それを動画として、本当に8人でやっているように見せています。
歌唱、アレンジ、映像編集のすべてが高いクオリティーであるとともに、コミカルな要素もふんだんに取り込んで、最高のエンターテイメントに昇華しています。
このカバーが生まれたきっかけは、キングコング西野さん作詞作曲の楽曲「えんとつ町のプペル」をカバーしてYouTubeにアップすれば、西野さんがネットで拡散してくれる、という企画。
「こういう才能を広めたいなぁ」という想いと「その才能を応援すればするほど、西野が得をする」というビジネスを融合させたのがこの企画だそうです。西野さんの企画力も、天才的ですね。
⑧「香水」瑛肩[チョコレートプラネット](瑛人のカバー)
今年最大の話題曲と言えば、瑛人さんの「香水」。
TikTokから火がつき、YouTubeで膨大な再生数を稼ぎ、有名無名問わず、多数のカバーが生まれて、社会現象になりました。
中でも、お笑い芸人チョコレートプラネットがカバーしたバージョンは、音楽としては精巧さを追求しながら、映像は、本家のパロディーという、音楽性+エンターテイメント性を兼ね備えています。
しかも、既に3200万回再生を超える大ヒットカバーとなっています。カバーでここまで再生されるというのは、異例中の異例です。
⑨「負けないで」柴山サリー(ZARDのカバー)
ZARD坂井泉水さんの歌声にそっくり、と話題になっていた柴山サリーさん。
ちょっと似てるだけでしょ、と思っていましたが、聴いてみてびっくり。
本人かどうかを聴き分けるクイズがあったとしたら、絶対にどちらか分からないでしょう。
コメントに「99.9%ZARD」とありましたが、私の中ではもう100%ZARDにしか聴こえません。
今年、新生WANDSが話題になりましたが、私としては、柴山サリーさんで新生ZARDを復活させてほしい、と期待しています。
⑩「Breath of Bless」Breath of Bless Special Orchestra・藤原いくろう (ASKAのカバー)」
衝撃の大きさという意味では、このカバーが最大でしょう。
何せ30名を超える演奏家の方々とリモート演奏で「Breath of Bless~すべてのアスリートたちへ」をレコーディングしているのですから。
コロナ禍だからこそ生まれたカバー動画と言えるのではないでしょうか。
これは、もうそのまま東京オリンピックの開会式で使えるんじゃないかというくらいの作品ですね。
ASKAさんも「牧歌的」と絶賛されています。
以上、「2020年にYouTubeでよく聴いたカバー曲ベスト10」でした。来週は、「2020年にYouTubeでよく聴いたオリジナル曲ベスト10」を特集する予定です。