「おどるポンポコリン」は現在を予言?~なんでもかんでもみんな踊りを踊る時代~
ここのところ、TikTokやYouTubeのshort動画でよく見かける「Habit」(SEKAI NO OWARI)のダンス。
全国の様々な人々が踊っているから、もはやブームと言っても過言ではない。
あまりにもよく出てくるので、メロディーや歌詞やダンスをほとんど覚えてしまったほどである。
SEKAI NO OWARI「Habit」
乗りのいいリズムに、覚えやすく鼓舞するようなメロディー、そして、強いメッセージ性のある詞。
そこにコミカルなダンス振り付けをしているから、多くの視聴者を魅了するのだろう。
もはやブームとなっているこの「Habit」に対するコメントをネット上でいろいろ見ていたところ、<「おどるポンポコリン」が現在の状況を暗示していた>といったものがあって、興味を持った。
ちびまる子ちゃん初代エンディング「おどるポンポコリン」
この楽曲が大ヒットした1990年当時、光GENJI、Wink、田原俊彦など、歌いながら踊る歌手が流行していた。
巷でもバブルで羽振りのいい経済状況が続く中、ディスコブームが起こり、クラブも台頭してきて、まさにみんな踊りを踊る時代だった。
『ちびまる子ちゃん』の作者であるさくらももこは、そんな世相を眺めながら「おどるポンポコリン」の詞に反映させたのだろう。
今、振り返って聴くと、平和と豊かさに浮かれる人々の様子が浮かんでくる。
そして、今、あのとき、さくらももこが見た景色がTikTokやYouTubeにある。
「Habit」の大流行は、まさにその象徴なのだ。
日本のトップYouTuberのHIKAKINまで踊るほど。
SEKAI NO OWARI「Habit」HIKAKIN ver.
思えば、「おどるポンポコリン」以降も、日本ではダンスが流行の一端を担い続けてきた。
1990年代から2000年代だとZOOやtrf、EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSなど。
近年でも、流行歌とともに流行したダンスは多い。
2016年にテレビドラマをきっかけに恋ダンスがブームになった。
星野源 - 恋 (Official Video)
2017年には登美丘高校ダンス部のバブリーダンスがブームに。
【TDC】バブリーダンス 登美丘高校ダンス部
2018年には、子どもたちの間で「パプリカ」のダンスが大流行。
【パプリカ】ダンス ミュージックビデオ Foorin×米津玄師 NHK
2018年から2019年にかけては、「ハッピーウェディング前ソング」で踊ってみた、がYouTubeを中心に大流行。
【踊ってみた】ハッピーウェディング前ソング / ヤバイTシャツ屋さん (オリジナル振付)
他にもPerfumeやNiziU、三浦大知、その他、様々なアイドルの楽曲でダンスの振り付けがあって、踊れる楽曲がSNSでヒットしやすい状況が続いている。
今は、誰もがスマホで動画を撮影して、ネットで世界中に公開できる時代。
しかも、踊りは、自分の体ひとつあればできるので、最も手軽にできる。
そして、動画を観る人々も、短くて分かりやすいものを好むようになってきている。
時代の流行が生み出す軽さ、薄っぺらさを1990年に風刺した「おどるポンポコリン」。
作詞したさくらももこは、「スーダラ節」のような曲を作りたい、と望んで作ったのだという。
「スーダラ節」は、ハナ肇とクレージーキャッツが1961年に大ヒットさせた曲で、酒とギャンブルと女にだらしがない日本の中年男性を風刺している。
驚くべきことに、「スーダラ節」は、今の日本人男性にも当てはまるし、「おどるポンポコリン」は、今のSNSの踊り隆盛に当てはまる。
社会の本質を的確に風刺した曲は、まるで未来を予言したかの如く、普遍の輝きを持ち続けるのだ。
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