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年間予算30万円で一口馬主になりたい

はじめに

 この記事は、年間予算30万円で一口馬主になりたい自分が調べたことや、おすすめクラブを紹介します。予算が近く、これから一口馬主のことを調べようという方には参考になると思います。
(´・ω・)ノ ヨロシクデス

出資計画

①ランニングコスト

 年間300,000円が予算ですと、1か月あたりのランニングコスト(月会費+ごはん代)は上限15,000円くらいと考えています。400口クラブに加入するとして、月会費をざっくり3000円固定、ごはん代が1口あたり1,500円とすると、8口保有できる計算です。

 ランニングコストを年換算すると180,000円です。差額の120,000円は、毎年の馬代ということになります。 

 なお、複数のクラブを掛け持ちするのは、月会費で予算が圧迫されるため、まったくおすすめできせん。このくらいの予算の人は、一つのクラブに絞るべきです。

②馬代

 毎年の馬代の予算が120,000円あれば、一口60,000円の馬(400口なら総額2,400万円)を2頭買えますし、思い切って一口120,000円の期待馬に注ぎ込むこともできます。

 ランニングコストから計算した8口という上限は、年間2口ずつ買うと、4世代で満たされることになります。

2歳馬 2口
3歳馬 2口
4歳馬 2口
5歳馬 2口
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計    8口

 実際は早く引退したり、1口しか買わない年があったり、6歳以降も活躍したりと、きっちり8口に収まらないこともあるでしょうから、あくまで目安です。

③まとめ

 年間30万円という予算は、出資口数が400~500口くらいの一般的なクラブであれば、「2500万円前後の馬を毎年2口ずつ買える」規模だといえます。

クラブ選び

①募集頭数

 サラブレッドが中央競馬で1勝する割合は、30パーセントほどだと言われています。2歳6月に新馬戦が始まり、3歳8月の未勝利戦が終わるまでの1年3か月のうちに1勝できない場合、よほどの素質馬でない限りは、障害転向や地方転厩、あるいは引退となります。

 逆に1勝すれば、その先も賞金の高い中央1勝クラスを走ることができます。入着を繰り返せば、安い馬なら元を取ることができます。つまり、たった1勝が、その馬の回収率に大きく関わります。

 そこでクラブ選びの指標として注目したいのが、募集頭数の多さです。これは単純に確率の話で、募集頭数が少ないクラブほど偏差が大きくなって、安定した成績にならないためです。

 例えば、年間に100頭募集するクラブがあれば、おおむね30頭前後が勝ち上がる計算です。年によって20頭だったり40頭だったりするかもしれませんが、すべての馬が勝ち上がれない事態は考えにくいです。

 しかし、年間に10頭しか募集しないクラブの場合、そのうち2頭から4頭が確実に1勝できるのかというと、確率はそういうものではありません。偏差が悪い方に振れれば、募集した10頭すべてが勝ち上がれない事態は充分にありえます。

 こうしたことから、募集頭数は多ければ多いほど望ましいです。

2020年産の募集頭数
 キャロット 89頭
 サンデー  86頭
 シルク   84頭
 社台TC  82頭
 G1TC  62頭
 ノルマン  58頭
 東京TC  45頭
 ユニオン  44頭
 ラフィアン 42頭
 ウイン   37頭
 ロードTO 30頭
 ライオン  20頭
 インゼル  19頭
 グリーンF 19頭
 ターファイ 18頭
 DMM   17頭
 京都TC  15頭
 広尾TC  14頭
 ローレル  14頭
 友駿HC  13頭
 大樹RC  11頭
 ワラウカド   7頭
 YGG     6頭   

②競争率

 募集頭数が多いからといって、好きな馬に自由に出資できるわけではありません。出資口数は限られていますので、会員数が多いクラブは奪い合いになります。

 競争率を発表しているクラブはありませんので、実際にどれほどなのかは伝え聞くしかありませんが、社台系クラブは、募集頭数が多くとも、実際に希望する馬に出資できるかどうかは、かなり難しいようです。

 特に人気が高いキャロットとシルクは、希望の馬に出資できる可能性がとても低いようで、SNSでは退会を検討する声が絶えません。最近は競馬ブームとあって、ノルマンディー・東京サラブレッド・ウインといった、中堅どころのクラブでも、人気馬は抽選になるようです。

 募集頭数が多くとも、実質的に出資できないのでは、頭数が多い意味がありません。名門クラブでなくとも、ある程度は出資の選択肢が多いクラブが望ましいです。

③出資口数

 予算が限られる場合、出資口数も重要なファクターです。40口の馬に出資するのと、400口の馬に出資するのとでは、馬代や毎月のごはん代が10倍違います。

 年間予算が30万円の場合、400~500口のクラブの馬なら、毎年2口が出資の目安です(出資計画参照)。

 つまり、サンデーや社台Tなどの40口クラブや、ラフィアンのような100口クラブだと、基本的に予算オーバーです。

 ユニオンやグリーンファームのような200口クラブは、一応は検討に入りますが、予算からすると毎年1口しか買えないため、あまりおすすめできません。

 反対に、DMMや広尾などの2000口クラブであれば、1頭で5口買えば400口クラブと同じになりますし、5頭を1口ずつというふうに分散することもできます。出資口数が多いということは、人気馬でも満口になりにくいため、その点でもおすすめしやすいクラブといえます。

④馬質

 クラブごとに取り扱う馬の質も異なります。競争率を無視して、手っ取り早くG1ホースに出資したいのであれば、ノーザンF系列のキャロットとシルクが近道です。

 一方で、ノルマンディーに代表されるように、安く丈夫な馬を長く走らせることが方針のクラブもあります。回収率でいえば、キャロット・シルク・ノルマンディーは同等というデータもあり、こうした取り組みには敬意すら覚えます。

 ただ、自分を含むミーハーな競馬ファンは、できればG1を目指せる馬・クラブに出資したいと思っているはずです。

 そうすると、ノーザンFのように競走馬の育成に高いノウハウを持つ生産牧場から馬を仕入れる、バイヤー系クラブがおすすめとなります。

おすすめクラブ

 ここまでの考察をふまえ、「年間予算30万円の零細一口馬主だけど、いつかはG1馬のオーナーになりたい!」という、欲張りな人におすすめできるクラブを発表します。(この結論は2023.1.2時点のものです)

1位

東京サラブレッドクラブ

 バイヤー系では最多の募集頭数を誇り、一流牧場や一流厩舎との付き合いも深い400口クラブです。良血を集めるわりには大舞台に弱い印象がありますが、これは運の世界なので、いずれは超大物が出てきてもおかしくありません

 平均募集額は3,200万円(一口80,000円)と、年間30万円だと少し予算オーバーしやすいかもしれませんが、1億円の超高額馬から1000万円ほどのお手頃価格の馬まで、幅広いラインナップが用意されていますので、安価な馬から掘り出しモノを探す楽しみもあります

 ノーザンFや社台Fの馬がほしいけど、キャロットやシルクは競争率が高すぎる。サンデーや社台Tは一口価格が高すぎる。他のバイヤー系クラブは募集頭数が少なすぎる。というワガママな声に完璧に応えてくれるのは、東京サラブレッドしかなく、堂々の1位評価です。
 
 気になる点は、牡馬なら「レッド」、牝馬なら「ルージュ」の冠がつくことでしょうか。愛着という観点から、個人的には冠のないクラブの方が好みです。

 また、近年はキャロット・シルクに入会できなかったり、不満を持った人が次に選ぶクラブとして、年々人気が上がっていますので、数年後には競争率が高くなりすぎる可能性もあります。

 それと、配当面のデメリットとして、牝馬の買い戻し制度がなかったり、賞金に対する手数料(東サラの取り分)が5%と業界では高い水準だったり、優勝賞品に対する金銭相当額の支払がなかったりと、馬主が受け取れる金額は他のクラブより低めとなっています。(2023.1.3追記)

2位

DMMバヌーシー

 設立間もないクラブながら、圧倒的資金力を生かして、一流牧場や一流厩舎との取引を推し進め、早々にラヴズオンリーユーという超大当たりを引き当てた、豪運の2000口/4000口クラブです。

 頭数が少ない割に、1億円超の高額馬を何頭も用意するため、平均募集価格は4,300万円(一口21,500円)と高い傾向があります。その分、一口が安いため、少ない予算でも出資口数を柔軟に組み合わせることができるのはメリットです。
 
 イニシャル/ランニングコストが安いのでサブクラブに適しているようですが、採算を考えれば、サブクラブはおすすめしません。

 DMMで2000口募集の1口を持つ場合は、他の400口クラブで1口持つ場合と比べ、もらえる賞金も当然5分の1になります。そこから逆算するに、DMMの一口あたりの月会費880円という設定は、400口クラブ換算で実質4,400円(880円×5倍)です。他の400口クラブの一般的な月会費3,300円と比べると明らかに割高で、なんなら業界最高額です。

 DMMの一口のランニングコストは、月会費とごはん代で1000円程度なので、気にならない人も多いでしょうが、月会費を含めた回収率まで考慮するのであれば、DMMに限りませんが、サブクラブを持つべきではありません
 
 なお、DMMの月会費は4口以上で上限の3,520円になりますので、メインクラブとしての利用であれば、上記のデメリットはありません。(2023.1.3追記)

 厳しいことを先に書きましたが、DMMバヌーシーの強みは、専用アプリを介した動画配信にあり、愛馬の成長や近況を身近に感じられるサービスは唯一無二といっていいと思います。

 月会費は、愛馬のセミリアルタイムドキュメンタリー専門チャンネルと契約したようなものと考えれば、他のクラブにはない金額以上の付加価値になりますので、一転して、とてもおすすめしたいクラブになります。

 現状は募集頭数が少ないのが最大のネックですが、今後、頭数が増え、価格帯の裾野も広がっていくようであれば、メインクラブとして使いやすくなります。先々のクラブの成長を期待して2位としました。

3位

サラブレッドクラブライオン

 募集頭数が20頭ほどと少なく、なかなか大物に恵まれる機会がありませんが、ノーザンや社台の馬だろうと、出資に際して会員間の競争がないという点でライオンとしました。実績、サービス面ではかなりもの足りませんので、けっこう離れた3位です。小さな東サラといった印象の400口クラブです。

 募集価格や馬質は東サラと同等のように見えますので、実績の差は募集頭数にあると思います。東サラと違い、基本的に冠名がつかないのは個人的には加点材料です。

 20年産の現3歳世代は、頭数のわりにデビュー率や勝ち上がり率が優秀ですので、このまま募集頭数を増やしたり、動画配信サービスに力を入れるなどして、改革を進めて行けば、将来的には人気クラブの一角に食い込めるかもしれません。

番外編

 G1馬のオーナーになりたいという希望から、バイヤー系の3クラブを選びました。しかし、ノーザンF・社台Fにこだわらなければ、いいクラブはもっとたくさんありますので、以下に紹介します。

ウインレーシングクラブ

 コスモヴューファームの自家生産馬を中心とし、毎年40頭弱を募集しています。その価格は東サラよりも安く、近年はウインマリリンなどの活躍もあって重賞での存在感を増しており、かなりコストパフォーマンスに優れています。年間予算30万円なら、一番バランスがいいクラブです。東サラとDMMの間に入れたいくらいおすすめです。

ロードサラブレッドオーナーズ

 ケイアイファームの自家生産馬を中心とし、毎年30頭強を募集しています。なんといってもロードカナロアを輩出したクラブで、募集馬もその産駒が多い傾向があります。優秀な種牡馬だけに、価格はウインより高めになりますが、質実剛健な運営で結果を出す、評判の高いクラブです。

ノルマンディーオーナーズクラブ

 岡田スタッドの自家生産馬を中心とし、毎年50~60頭を募集しています。安価な募集価格、業界最安値の月会費、キャロットシルクと同等の回収率と、総じて非常に優秀です。ただ、デアリングタクトは別として、G1にバリバリ出る馬はほぼおらず、条件戦でコツコツ稼げる馬を楽しむという点では、価格帯に反してけっこう玄人向けのクラブなのではないかと思います。

インゼルサラブレッドクラブ

 2021年に設立された新しいクラブです。ノーザンFの生産馬だけでなく、海外の良血馬をどんどん競り落としてくるあたり、バブリーなバイヤー系です。それだけに人気も高く、すでに競争率が上がっています。出資の自由度の点でライオンを3位にしましたが、同率3位でもいいくらいのクラブです。

京都サラブレッドクラブ

 バイヤー系でまだまだ募集頭数は少ないですが、ノルマンディーよりも安い募集価格が特徴です。DMMのような専用アプリはありませんが、ホームページを使ってマメな動画配信をしており、お金はなくとも随所に工夫を凝らして会員を満足させようという前向きな姿勢が感じられます。馬にかけられる予算がもっと少ないなら、ここが楽しそうです。応援したいクラブです。

さいごに

 ここまで書いておいてあれですが、自分はまだクラブを決めかねています。現時点では東京サラブレッドが最適解というはわかりつつ、東サラで募集中の馬にコレという馬がいないのが最大の理由です。

 DMMバヌーシーは、なんといっても愛馬の動画配信サービスを受けてみたい気持ちがあります。募集馬の中ではウィープノーモアの2021に惹かれていますが、募集価格が高く、気持ちの折り合いがついていません。また、募集頭数が今後増えていくかもわかりませんので、クラブの将来性という点でも不安を残しています。

 結論が出たらまた報告します。
 
 このノートを楽しめた/参考になったという方は、ぜひ「スキ」を押していってください。次回のモチベーションになりますので、よろしくお願いします。 

(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾ アリガトウゴザイマス

2023.1.3追記

 ツイッターでりょおと様からご指摘いただき、東サラとDMM部分について文章を追加しました。りょおと様、ありがとうございます。


書いた人・いぬたい珈琲のプロフィール(2023.1.1更新)

 メジロマックイーン対トウカイテイオーの天皇賞・春が、競馬に関する最初の記憶。母がテレビ観戦しているところを、興味なく横目で見ていた。レース後、母は嘆いていたから、トウカイテイオーを応援して馬券を外したらしい。

 数年後、ウイニングポストやダビスタに触れ、本格的に競馬に目覚める。ナリタブライアンからディープインパクトまでの時期に熱中。一番好きな馬はヒシミラクル。2022年には牧場まで出向き、十数年越しに初めての対面を果たした。

 ディープインパクトの引退と時期を同じくしてプライベートが忙しくなり、しばらく競馬から離れる。それでもオルフェーヴルの凱旋門賞チャレンジは、リアルタイムでテレビ観戦した。

 ウマ娘ブームをきっかけに本格的に競馬に帰還。以後、予想記事を書いたり、血統を調べたり、牧場見学に行ったり、一口馬主になろうとしたりと、競馬が趣味の中心となりつつある。

 犬と馬が好き。


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