2023.9月頭熱海銀座劇場

8月の最終日、稼業に関する大きなプレッシャーが解消される吉報が不意に舞い込み、肩の荷が降りた軽い足取りで8月結から立て続けとなる熱海銀座劇場へ向かった。

香盤順は、
1:永瀬ゆらさん
2:黒井ひとみさん

開場時間より早めに熱海へ着き、涼を得ようと海へ向かう途中、劇場の前を通ると既に開場待ちのお客さんが数名いた。お二人のSNSで事前にチームショーの告知があったが、その効果だろうか。

場内はほぼ全員がストリップのお客さんで満員となっており、街場の劇場さんで見かけるようなお馴染みの雰囲気になっていた。

1回目はお二人のチームショーで、谷崎潤一郎原作の「卍」が演じられた。原作は未見未読だが、作品の雰囲気や物語の内容は、1演目時間内にギュッと凝縮されていてしっかりと追うことができた。

現代とは異なるドロっとした人間の有様を、チームショーという形で、2人の人間が文字通り肌を合わせながら演じる様が、熱海銀座劇場の真っ赤なステージとも相まって、作品の登場人物の内面を露にしているように見えた。
また、お二人のキャリアを踏まえると物語中の関係性も新鮮に感じられて、台詞のない場面でのパフォーマンスからは奇妙で愉快な感覚に襲われた。

チームショーの後は、お二人が交互にソロで出演された。

ゆらさんは以前から熱海銀座劇場のステージで拝見したいと思っていたが、真っ赤なステージ上で踊る姿が想像以上にかっこよく、座組でパフォーマンスをする場面では、ステージ床へと新たに設置された照明に全身が照らされる姿が凄くきれいだった。

黒井さんも、チームショーとは打って変わってコミカルな演目を披露され、場内の緊張感を緩和させて客席から笑いが起こる楽しい雰囲気を作っていた。上手く説明できないが、袖に戻る時にお客さん全員へ手を振る仕草そのままに、場内のお客さんを全て把握し、どのように場内の緩急をつけるかを見通して1日のステージを構成しているような、そんな凄さを感じた。

先日のeyeさんの登板でも思ったが、熱海銀座劇場は設備や環境が他の劇場さんと比べて特殊であるが故に、踊り子さんの人間力がより感じられる気がする。
そして、それと同じように客(特にストリップのお客さん)の人間力が試される場面も多いと思う。

そんなこんなで、とても楽しく、また色々と感じて学ぶことの多かった熱海銀座劇場で過ごす時間がとても良く、ゆらさんのステージをまたゆっくりと堪能したくなり、落日に再度お邪魔した。

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