2023.4月結熱海銀座劇場

4月は色々あって参っていた。耐え忍んでも、ただ動いても解決するわけではなく、動き方を考えて気持ちを自制し、より慎重に熟さなければならない時期だった。

4月の後半になり、問題の一部を解決できたので、大型連休直前の熱海銀座劇場へ行く。

香盤順は、
1:新井見枝香さん
2:浅井ひなみさん

体感としては1年振りのように感じる観劇だが、実際は約1ヶ月振りで、私の観劇のペースとしては普段通りだった。

気持ちが参っていた私の脳に、お二人のステージはとてもポジティブな刺激を与えてくれた。

新井さんはビジュアルのまとめ方が本当に上手い。初観劇した池袋ミカド劇場から、その印象は変わらない。世界観や物語が視覚から分かりやすく、かっこよく伝わる。そのセンスに、新たに身に付けたスキルや磨き上げてきた表現力が加わって、演目にメッセージ性やストーリー性が強く込められていても、重くなりすぎずにスッと入り込んでくる。

初見となる3周年作と新作はとても素晴らしく、著書に書かれていた「さらけ出す」ことへのエピソードを思い出した。
新井さんを構成する要素が盛り込まれた周年作。血肉が通いドン底から起き上がる希望に満ちた新作。
軽快なリズムに合わせて繰り広げられる新井さんのステージは、私の鈍麻した脳にも負担をかけずに入り込み、擦り減っていた気持ちに自然と活力を与えてくれて、少し泣いてしまった。

浅井さんのプリンをモチーフにした演目は、浅井さんの凄さを感じ、ステージを追うきっかけになった演目のひとつであり、初めて拝見した大和ミュージック劇場での姿が重なった。

新作はハンバーガーをモチーフにしていて、初見では漠然とポジティブなメッセージが込められているように感じたが、仔細な部分に注意を払うと、休業へ入る前の浅井さんが、お客さんやストリップの世界に対して送るメッセージや愛情や願いのようなものが込められているような気がして、感じ方が鮮明になった。

浅井さんの演目は、モチーフやテーマを大胆に落とし込んだ衣装や登場の仕方が多い気がする。プリン、カウガール、女子小学生など、新井さんとは異なる形でとても分かりやすいように工夫している。
でも、それを出オチにさせないのが浅井さんの表現力やステージの凄さのひとつだと思う。

出オチにさせないと言うことは、当然だが最後まで見ないと気付けない。どの踊り子さんにも、演目にも当てはまると思うが、どこで、何がきっかけで自分に刺さるかは、考え、または感じながら最後まで観劇しないと気付けない。

4月は私にとって厳しい1ヶ月だった。この先も苦難は必ず起きるし、苦難の上書きもあるだろう。
私の状況では、ストリップは気軽に足を運べる遊びではないが、だからこそ、観劇に行けたらステージから得られる何かを掴んで、糧にして、日々に立ち向かいたいと思う。そして、還元できるようにしたいと思う。時代は助け愛。

追記
この文章を書いていて、昨年の熱海で浅井さんが「子どもでもわかる演目作りを心がけている」と話していたことを思い出した。ならば、なおさらステージの凄さや楽しさに気付けないままでは勿体無い。

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