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【2024松本山雅】vs福島(3/17)A レビュー


・福島戦

正直なところ、危機感を持った方がいい。
これを流行りに乗ったと思って笑えるか、言葉として受け取れるかは世代によるかもしれないが、残念ながら楽観視できる程の状況ではないだろう。
これが危機感のままで終わり、危機にならないために、今何が起こっていて、何が課題なのかをしっかりと確認したい。

・メンバー

ルヴァンカップからはスタメンを8人、前節からは3人変更。
ここまでスタメン出場が続いていた常田、浅川がベンチスタート。負傷の高橋が復帰している。
また、サブに開幕戦以来のメンバー入りとなる菊井が戻ってきた。

福島は前節と同じスタメン。ルヴァンカップからは5人の変更。

・序盤の失点の原因は

山雅は早い時間帯からミドルプレス気味になり、一瞬の隙で縦パスを通され、失点してしまった。
守備ブロックの4-4-2のそれぞれのラインで噛み合わない状況ができた理由を考えたい。

出れなかった2トップ

早い段階からミドルプレス気味になったのは、人選と構造の2つが理由になっている。
まず人選だが、安藤と山口はお互いこのポジションでの出場は今シーズン初めて。さらに、元々はサイドハーフとして計算されてプレシーズンを過ごしていた。
そこで、プレスのスイッチの入れ方、追い方というところの練度は菊井・浅川と同等のレベルに居るとは言えない状況だった。
安藤に関しては2トップでの出場はあったものの、浅川とのコンビであり、スイッチを入れていたのは浅川だった。

そこに加えて、福島のIHが流動的にアンカー脇に顔を出してボールを受けてくる。
もちろんそこにボランチが出れればいいのだろうが、人数的には足りない。特に、左CBの堂鼻からアンカーの加藤に1度遊びのパスが入ったことで、山雅の2トップが反応。これにより、福島に様々な選択肢が生まれ、山雅の中盤がどこに対してアクションするのかはパスの出しどころ待ちというような状態(簡単に言うと棒立ち)になってしまった。

そのため、CBがフリーでじっくりと前線の駆け引きを待ち、パスを供給できる土壌ができてしまった。

軽いように見えた最終ライン

事前に福島の間合いを作られたことを差し置いても、2CBの対応は確かに軽かったと言うしかない。

組織の話をする前に少し野々村の対応に言及したいのだが、まず、この失点の布石はあった。
元々フットワークが軽いタイプでは無いため、ボールが離れた所を狙いに行くことが多い野々村。
また、昨シーズンからちょこちょこあったことではあるが、高い位置へのアタック(簡単に言うと胴体)が多い。
この試合も相手の胸の当たりに手を当て、対応するシーンが複数回あった。

そのため、来たボールをそのままワンタッチでフリックする矢島のプレー選択は、特に相性が悪いと言える。

そのような個人の弱点を一発で突く状況はなぜつくられたのか?

そもそもCBが守るエリアに対しては、IHやWGなどが流動的に入ってきて、頻繁にマークマンが変わる状況が発生していた。

このシーンのタイミングがどうだったかは分からないが、野々村と矢島が対峙しているところよりも内側に左WGの森と高橋のマッチアップが発生。

この辺りは初動の遅れに繋がるだけでなく、先ほども言及したように個の1vs1を作り出す事が出来る。
しかも山雅の高いラインがもたらすスペースを使ってだ。

この活かし方として、組織をうまく使った例と言えるだろう。

・ギアチェンジに苦しむ山雅

さて、そんなこんなで1失点した山雅だが、どうにもギアが上がらない。
アタッキングサード侵入に関してはある程度チャレンジが見えたのだが、問題はプログレッションの部分。
対角のボールも飛ばない、裏にも飛ばない、SBに付けに行くと縦を切られ、預ける先のボランチで回収される。
恐らく説明が要らないほど、にっちもさっちもとはまさにこの事という状態だった。
さて、なぜそのようになっていたのか。福島のプレスを解説したい。

福島は中盤3枚に技術力のあるメンバーを用意出来ていない分、最終ラインのスライドによりカバー。
システムの構造上欠陥があると感じるが、パスが各駅になりがちだった山雅に対しては十分だった。

ここで、SB(別にWGでもいいが)が高い位置をとり、SBをピン留めするようなことが出来ていたら流れは違ったかもしれないが、そうはならなかった。

また、序盤は自陣深くからGKを入れたビルドアップで前進ができていたため、やはりここもGKをナチュラルに組み込めれば話は変わってくるのかもしれないと感じる。

・見えるマネジメント課題

さて、ではこれをどのように修正するのか。
結論、修正には時間がかかると感じる。理由は、選手の裁量が広いこと。
柔軟さを求めるとこういう問題は起きがちだが、本来は原則があるはず。
ただ、例外を推奨して、判断を広げ始めた瞬間にやり方は無限に広がる。

例にあげると今節は高橋から樋口へのパスで複数回ミスが発生していた。
もちろん高橋が初の左ということもあったのだが、樋口が本来の高さにポジショニング出来ていない側面もあった。

ではこのように原則から外れて上手くいかない時に誰が整えるのかと言われると、これだけ中に委任して難しいのであれば、外からガイドしてあげる必要があるのではないかと改めて思う。

個人個人が工夫していること、ポジティブなミスとしてとらえていることは、チームの共通認識になっているだろうか?

今年はチームを作るフェーズではなく、勝利を追い求めるフェーズであるはず。

ここまで何も出来ずに敗れた試合を糧にできるのか。

修正のための時間は短い。

ツヨクナル