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『ニア』vs金沢(9/19)A レビュー

・金沢戦レビュー

クロスが合わずもどかしい展開が続き、一瞬の隙から失点。
その後余計なプレーで退場し、10人に。
何とか生え抜き3年目榎本のゴールによって振り出しに戻し、勝ち点1を拾った。

この試合から得たヒントを次に活かせるよう、ポイントを整理したい。


・クロスの先には

ボール保持から前進に関しても課題は山積みではあるのだが、なんだかんだ金沢が引いたことや、間延びしてセカンドボール回収が容易だったことも手伝い、押し込む展開を作り、シュートも打てていた。
前半だけでシュート7本、枠内5本。
試合を通してアタッキングサードへの侵入ということは出来ていた。

今回の問題はその先。
クロスに待っている選手が、ゴール中央からファーサイド付近に走り込むことが多く、ニアに誰も走り込んでこない。
その割にクロスボールはニアにとんでいくので、跳ね返され続けてしまう。

マリノスの試合前練習を見たことがある方なら分かるかもしれないが、ニアとファーで2人以上走り込むのは鉄則。

また、ジュビロ磐田の中山雅史コーチが、FWにしきりにニアに飛び込むように要求していることが話題になった時期があるが、ニアに走り込むことで、相手よりも前で先にクロスに触れる可能性が高まり、シュートへと繋がりやすい。

磐田戦のルキアンや今節の丹羽など、ニアに飛び込まれて失点している山雅ならその重要性は痛いほど理解出来るはずだ。

ただ、山雅は試合を通じてクロスからシュートを演出する確率が低かった。
それはFW陣がクロスに飛び込むデザインが完成していないことと、属人的なポジショニングに頼ることで、効果的な位置に走り込めていないという要因がある。

属人的なポジショニングで今節特に目立ったのは国友。
アウェイの磐田戦でのヘディングゴールがあるが、あれはキーパーが出れない速度のボールがファーに飛んで、ゴール前で合わせたもの。
いいイメージがあることはいいことではあるが、そこで拘ってしまうと結果はついてこない。

ニアに走り込むということ自体は意識だけで変えることが出来、実際にクロスが飛んできている現状、勿体ないことではあるので、国友だけでなくFW陣全体として取り組むことで、決定機の創出に繋がるのではないかと感じた。


・退場後のスムーズさ

退場後変則的な4-1-2-2のような形を敷いた山雅は、左サイドを中心にボールがまわり始める。
パウロが左肩上がり、平川が落ちながらのプレー。
その直前に佐藤を下げて3-1-4-2にシステムチェンジしていたところから最終ラインを1枚削ったと捉えていいだろう。

この交代により、フィールド中央でセルジーニョと河合が自由にボールを受けて前を向くというシーンが増加。
人数が少ないことも手伝い、スペースへのランニングやサポートが容易になったことも大きかったか。
(もちろん連戦で固定メンバーの多い金沢の疲労も考慮しなければならない)

ただ、このようにスペースがあって自由に持てるのなら、11人揃っている時には、FWの1人ないし2人が最終ラインを掻き乱し続け、フィニッシュワークに集中するというアプローチも有効である。
また、ビルドアップ時に狙われている橋内のポジションを無くし、4バック化するという選択肢も可能ではある(守備面での問題はあるが)。

今節の収穫として、退場後のプレーに関してはポジティブな面が多く見られた事がひとつ挙げられる。
このポジティブな面を11人フィールドに居る時に発揮することが出来れば、今後の試合の勝利に近づくのではないだろうか。


・最後に

基本的に即効性のあるアプローチに重視し、ふたつのポイントに今回のレビューは絞りました。
もちろん、属人的なビルドアップ等は今後改善しなければならない課題ではありながら、現状手をつけることが出来るものでは無いと考えています。

新しくスタメン争いに食い込む選手の躍動に期待しながら、1.2試合の勝利でひとまず抜け出せるこの状態の打破に向かって気持ちを強く、共に挑みたい。