101号室 顕微鏡とブタメン
2020/06/06
蛾が飛んでいる。僕たち人間が閉じこもっていてもお構いなしに外は夏に向かっていき、そうすると生き物たちは活発になり虫だって増える。この前なんて電柱から電柱へとケーブルを器用に伝うハクビシンを見たがそんなことより今は蛾。おそらく換気扇から入ってきているんだろう。あそこは無防備に開口しているから灯りにつられて虫が飛び込んでくる。網でも貼っておけばええんやろな。と去年も思ったがついぞ貼らないまま夏が終わり、今年も夏がやってくる。
飛び回る蛾が壁に静止したのを見計らってそっと捕まえる。いつになく優しく捕まえたのにはわけがあって、スマホ用マイクロスコープつまり顕微鏡でこいつを撮影したいからだ。レンズに傘がついたような形をした簡易的なものでスマホのカメラにクリップで留めて使う。ここ数日は身の回りのものをかたっぱしから撮影しては楽しい楽しいと手を叩いて喜んでいる。
指の爪ほどのちっぽけな蛾でも拡大して眺めるとディテールは驚くほど豊かだ。額には豚毛のような粗野な毛が生えており、触覚の外側には魚の小骨みたいな突起がギザギザと規則正しく並んでいるのが見える。背中や羽はシャク(ピンクの棒だ。おじゃる丸が持っている。)の形の毛でびっしりで、濃茶から白に近い明るい色までがまだらになっていてまるでフクロウだ。虫というか獣って感じがする。
とこんな具合に観察したところで蛾が部屋に飛び込んでくる問題は解決しないのだが、コレクター的な欲求が満たされて嬉しい。明日晴れたら近所の公園の動植物を撮影しに行こう。ついでにホムセンにいって換気扇に貼る網を探しに行かないとなあ。蛾ならまだしもハクビシンが押し入ってくるとマイクロスコープでは入りきらないので困る。
(みそみそ・そ)
好きな芸人のラジオでブタメンの話をしていた。そういえばブタメンって食べたことないなと思い、ラジオを聴いた次の日に早速食べてみた。おいしかった。こんなん子供の頃に出会ってたら人生狂ってたかも。それ以来、スーパーに行くとよくブタメンを買ってしまう。しかし、もしかしたらこれはみんな当たり前のように知っている事実なのかもしれないけど、ブタメンって食べるタイミングが難しい食べ物なんですね。まずカップ麺にしては量が少ないのでごはんではなくおやつとして食べたいが、自然に身を任せると、お腹すいたおやつ食べよ、と思うのは大体夕方5時頃で、でも5時にブタメンを食べると晩ごはんに響きそうなので本当は4時が理想、となるといつも1時頃に食べている昼ごはんを早めるか軽めに済ます必要がある。ブタメンを軸として1日の食事の計画を立てないといけないのだ。そういうちょうど良い時間に食べる難しさというのがありつつ、一方でいつでもブタメンを食べたいという気持ちはあるのでこれを抑えるのも大変。うっかり夜中に食べてしまわないよう、ブタメンの上に鳥の置物を乗せて封印をしてぬいぐるみと一緒に飾り、祭壇みたいにしてみたりした。そうすると完全に飾りのように部屋の風景に溶け込んでしまい、今度はブタメンの存在を忘れてしまうという事態に。どうやったら余計な考えを捨てて自然にブタメンを食べられるんだろうか。理性を獲得した人間には難易度が高い。
それはそうと、次クリタ氏と蜂本さんに会ったら、とんこつ味以外のブタメンを見かけたら買ってきてほしいとお願いしてみようと思う。
(みそみそ・み)
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