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203号室 かつ丼

2020/07/02
ものすごく久しぶりに、みそみそのふたりとクリタ氏とわたしの四人でかつ丼屋さんに行った。
ここ数ヶ月ずっとお店が閉まっていたんだけど、再開したと聞きつけて行こうよという話になった。四人での外食自体が久々で、前の日から嬉しくて、朝も昼も少なめにしてなるべくお腹を減らした。
かつ丼屋に関して一番楽しいのは、やっぱり正統派にかつ丼を食べるか、いやそれともミックスフライ定食などの定食にするかと迷っている時間だと思う。それから、かつ丼の場合は並を頼んで余裕のある大人っぽくキメるのか、かつが一枚多い上を選んで己の限界に挑戦するのかというシミュレーションも熱い。
犬待荘を出発する時、みんな空腹で妙にきりっとした顔をしていた。犯人を発表する前の探偵みたいで賢そう。でもかつ丼屋に到着したらアホになって、気づいたら私がかつ丼の上、そうへい氏がかつ丼の上(大盛り)、クリタ氏がジャンボロースカツ定食(大盛り)を注文しており、理性を手放さなかったのはヒレカツ定食を頼んだみなみさんひとりだけだった。
何ヶ月かぶりでやってきたかつ丼屋だけれど、みんなおしゃべりもせずにせっせと食べた。満腹中枢に追いつかれたら負けてしまう。しゃべらない分、自分の体に意識がいった。いつも腹八分目にしているけれど限界まで食べてみるといろいろと発見がある。普段の癖で猫背でいると胃が圧迫されて苦しいので自然と背筋が伸びることとか、耳がだんだん聞こえにくくなってくることとか、頭がしびれて向こうに白っぽい光がちらついている、みたいなこと。先に食べ終わったクリタ氏が店の奥から何か異音がするらしく人間は本当の満腹になると耳管に変調をきたして一時的に可聴域が広がるのではみたいな話をしていたがあんまり聞こえなかった。
食べ終えたらちょうどすりきり一杯に満腹だった。お昼のパスタを少なめにしておいてよかった。あと5本多かったら限界を超えていた。口を半開きにしたまま店を出て、夜道をよろめく集団になって歩いた。遅くまでやってるスーパーの前を通りかかった時に、そうへい氏がアイス、、とつぶやいて、そんな無茶なと思ったがたしかに食べたいような気がしたので、みんなで箱入りのスイカバーを買ってかじりながら帰った。

(蜂本)

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