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ライブハウスメモリー(2)


こんにちはガムは飲み込むタイプのニンゲン、イヌです。

さて、前回思いの外長くなってしまったライブハウスメモリーの続きでございます。
今回は、多分長い話しにはならないと思いますが、アタクシにとってはとても思いで深い話しです。
では、早速書いていきまっす!

さて、現在のインディーズレーベルやインディーズバンドはネットのパワーもあり比較的知る機会もあるし、広告を打ちやすく興行的にもそれなりにお客さんが来る・・と言うかメジャーとインディーズの差があまりないように感じます。

当時のインディーズレーベルやバンドは自ら探さないと知る事がないようなモノが大半だったかと思います。
雑誌(dollやインディーズマガジン等)から情報を仕入れ、音源を求め新宿や高円寺辺りの怪しげなレコード屋やディスコユニオン等に行って探したりしたものです。
目当ての音源がなく、折角来たからとジャケ買いをして、とんでもないクソバンドだった時のダメージは精神的にも金銭的にも大層なモノでした。

そんな当時のインディーズシーンだったのですが、インディーズながら海外ツアーを行なっていたりもし熱狂的なファンが多くいたバンドがいましてですね、確かHEY!HEY!HEY!にも一度出演しているので、バンド名を聞いたら、ああ〜なんか名前は聞いた事あるなあって方も多少はいるかと思います。

サウンドはバチクソのロックでして、ガレージロックやパンク色もあり、見た目はダブルのライダースに革パンにグラサンと言う出立ち。
ロックの為に生まれて来たと言っても過言ではないトリオバンド。
その名はギターウルフでございます!!


・・・・んむむ〜


・・・今読んでいる方とアタクシの温度差がシベリアとサハラ砂漠くらいかけ離れているのが分かります。
読んでいる方の大半の方がギターウルフ?誰?みたいな感じなのは重々承知でございます。

それを承知の上でギターウルフがどれだけカッコよかったか今から書かせていただきます。
アタクシの拙い文章で伝え切れるか心配ではありますがとにかく書いていきます。

えーとですね、その日はたしか某インディーズレーベルのイベントだったと記憶しています。
なんせウンジュウネン前の記憶なのではっきり覚えておりませんが、ギターウルフが来ると知った日からアタクシはこの日を今か今かと首やら耳やら玉袋やらをこれでもか!ってくらいなが〜くなが〜くして待ち侘びていました。

しかしギターウルフはリハの時間になっても一向に現れなかったのです・・
んむむ〜おかしい・・・リハしませんよ的な連絡もないし、出演やめます的な連絡もない・・・んむ〜困ったなとなっていたのですが、他のバンドはみんな来ていましたしとりあえず予定通りに開演となったのです。

ギターウルフはもちろん大トリだったのですが、開演してからも一向に現れずギターウルフ目当てで来ていたお客さん達もソワソワし始めてました。
アタクシもその日はPA卓についてはいましたが完全にイチファンとして今か今かと待ち侘びており、ぶっちゃけその日のPA業務は超がつくテキトーぶりでした。

そんな華麗なる職務放棄をしつつアタクシはこんな風に思っておりました。
『ギターウルフよ来ておくれ・・・ギターウルフの為に今日は耳を温存しとるのよ・・俺が最高の音を出すからお願いしますよ・・」と。

しかしギターウルフの出番が近づいても現れない。
いやいや次よ?ギターウルフさん次だからね?ほらほらなんか前のバンドもう終わりそうよ?・・・ほぉら終わったあ〜〜・・・あ〜あ〜ギターウルフ来ないじゃないすかあ・・どうすんのこれ??

・・なんて思いつつ前バンドの撤収をお手伝いしてましたら、ライブハウスの出入り口の防音扉がバギャーン!と勢いよく開き、革ジャン革パングラサン姿の3人が楽器を持ちステージに上がってくるではないですか!!

それを見ていたお客さんからは大歓声が上がりライブハウス内のテンションが一気にぶち上がったのがわかりました。

アタクシも『ぐおおお!!なんつー現れかた!!かっこよすぎんぞ!!』なんて恍惚としてしまい、ちょっと自分の立場を忘れていましだがアタクシは言ってもライブハウスの音響さんでしたので、
おっしゃ!最高の音出してやんぞ!リハしてねえけどやってやんよ!とギターウルフに挨拶しようと駆け寄るとギターウルフのギターヴォーカルのセイジ氏が「あ、PAさんだよね」と聞いてくるので「はいそうです!」と言うとセイジ氏は一言こう言ったのです。

「全開で」

もうこの一言でアタクシはわかりました。
音が割れようと多少ハウリング出そうが全開でやれと言う事だと。

よっしゃ任しとき!とにかくデケエ音出したるで!とPAブースへ戻るなりアタクシはミキサーに向かい合い、マスターボリュームをいつもより上げ各チャンネルもギリギリに。
ギターウルフはギターとベースをアンプに繋ぎバランスなんかクソくらえ!な勢いで全てのツマミを全開。

もうこうなると常時ハウリングしていまして、はっきり言ってもう音響がどうのとかのレベルではなくアタクシはPAブースの卓の前でただギターウルフのライブを楽しむ1人の観客になっていました。

小さなライブハウス内がギターウルフが鳴らす爆音とシャウトと観客の歓声でギュウギュウのパンパン。
飛び入りのギターの方なんかも出て来てライブと言うよりは最低限の秩序がある暴動に近いような形相になってきており、ライブハウス全体がギターウルフが織りなすグルーヴに包まれたまま約40分程(記憶上)の演奏があっという間に終わってしまいました。

アタクシはPAブースの中で『どエライものを観てしまった・・』とイッテしまいそうな顔で正々堂々と職務放棄をしていますとステージからセイジ氏がこちらに向かって歩いてくるではないですか!?

『ああ・・酷いPAだったのはわかっております!怒られちゃう?あわわわわ・・』とプルプルしてますとセイジ氏が右手をアタクシの前に差し出して来ました。
アタクシは反射的に右手を差し出すとセイジ氏はギュッとアタクシの手を強く握り「PAさん最高っした」とー

数多のバンドを聴いて観てきたけどもこれほどまでにロックな人達をアタクシは見た事ありませんでした。

あーやれモニターの音が小さいだの〜ハウリング凄かったすね(呆れつつ)だの〜ボーカルもっと大きくして下さいだの〜・・・うるせえってんだよ!モニターの音が小せえのはオメエらのバランスが悪いからだ!こちとらギリでモニターに返してんだバーカ!こんな小せえ箱なんだからハウリングくらいするってえの!ボーカルをもっと大きくだあ〜?その蚊の鳴くような声をこれ以上どうデカくする事出来んだよアホか!そんなアホバカウンコバンドは一度ギターウルフのライブに来てギターウルフが織りなすサウンドに噛まれてみれば良いのさ!バーカバーカバーカウンコオオオバンドオオオ!!!!と日頃の鬱憤を爆発させられてしまうほどのロック!ロックは爆発!!ロックは衝動!!ギターウルフ最高おおおお!!!!ロックンローーール!!!!どわああああああああああああ!!!!!!!・・・はあはあ・・・アタクシとした事が取り乱してしまいました。
ちょっと外の空気でも吸って落ち着いてみようか・・・・と思いましたが今宵は満月。

満月に狼。
ギターウルフを爆音で聞くにはおあつらいむきではないでしょうか?さあみんなもギターウルフを聞いてロックンロールしませう!!わおおーーーーん!!!!!







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