見出し画像

PIG DESTROYER 来日中止ざんねん記念 2008年5月12日 新大久保アースダムLIVEルポ

 本日2020年3月14日、新大久保アースダムで予定していた、グラインドコアバンド、PIG DESTROYER10年ぶりの同会場での来日公演が、巷を賑わしているウィルス蔓延の影響で、中止となった。

筆者は、最前列を確保できるような超良番の整理番号のチケットを引き当てていたので、不測の事態とはいえ、中止は本当に残念。

さりとて新大久保アースダムのような地下の350人程度の密閉空間のキャパで、人間が密集して体液飛びまくり揉みくちゃ汗だるまになるような音楽のライブなので、やむなし…。

 しかし、ただ単に中止を受け入れるのもつまらないので、筆者が12年前にmixi日記で書き記した、2008年5月12日(月)に新大久保アースダムにて行われたPIG DESTROYER来日公演のルポを再掲載。

12年前、あの日あの時の記録と記憶の残像をフラッシュバックして、
いつか来る再来日公演に備えて、モチベーションを維持していく。

基本、当時の空気感をそのままに、文章自体はママイキで。
当時交流のあったマイミクの名前は伏字にし、誤字は修正する程度にとどめて読みやすく整えた。

この当時の自分の文章、我ながら本質をもったいぶって書かず寄り道ばかりするし、文章をひねくって笑わそうという浅ましさが垣間見えて、自分で読んでてイライラくる。
誰かに読まれる事を全然意識していない、脳内で思いついた言葉をキーボードを叩く指へ直送されたようなベトベト脳汁ドクドク溢れた、長いだけで内容の無い文章でお目汚し失礼する。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

画像1

 ここ1、2年の間においらがはまった音楽ジャンルは色々ある。

スウィングジャズ、演歌、80年代ガーリー・ポップス、アフリカンファンク、チカーノファンク、フレンチポップス、アングラフォーク、世界各地の民族楽器などなど数え切れない。

 そうして好んで聴いていた音楽ジャンル内で、最も即物的攻撃的であり、強烈な衝撃性を孕んでいたのは、グラインド・コアと呼ばれる類の音楽であろう。


とびきり凶悪に病的に瞬間瞬間を爆発させる激情をわずか1曲数十秒~1、2分内にぶち込む生き急ぎぶりである。


そのプロレスラーみたいな面白いバンド名と興味をそそるグロいジャケから興味本位でTSUTAYAの半額セールで借りてしまったのが、すべての始まりである。

 アメリカはヴァージニア州出身の3ピースのこのバンドは、ピッグ・デストロイヤー(以下、ピッグ)という。
おいらが最初に借りたのは彼らの「prowler in the yard」というアルバムで本編22曲に加えてボーナストラック38曲を追加した
全60曲76分収録という、もはや全部聴くだけで1,2キロは痩せそうな、このボリューミーなアルバムだ。



真夏日に、暖房を付けてちゃんちゃんこを着てチゲナベを食いながら(ドリンクはコーンポタージュとくず湯のみ)、ピッグを聴いていたら確実にダイエット出来ると思うよ。
体重が気になるあなたはやってみるがいいと思うよ。

 時々、身体に害毒が伴うかもしれない危険性が強い刺激は、最初は身体的拒否反応から、生理的な嫌悪感を催すが、次第にその刺激から催される恍惚の魅力に気付き始め、いつの間にやらその刺激を次から次へと貪り求めてしまう自分がいる。



倫理的道徳的な面を無視貫徹した残虐性や猟奇性、または自分の中にふだんは眠っている元来、生物の持つ闘争本能を刺激し、それを聴いている間、脳内において無政府主義的非現実的解放が可能となるのだ。



グラインド・コアのジャンルの恐ろしさはその表面的な衝撃力だけでなく、こうした人間の深層心理を音速ドリルのように深く鋭くエグる貫通力もある。


普通に聴いているだけでは、まず聴き取り不可能なのだが、英語で歌われる歌詞には、精緻に綴られたリアリティに満ちた人体破壊描写など、想像するだけで不快感を催す文章表現がてんこ盛り。



だが、男から女への純真でひたむきなラヴ・ソングもあり(その女は腐った死体なんだけど)深みのあるリリックが更に音の深みを増すのに役立っている。

「トラウマってセクシーだな」

という歌詞が、その中でも鮮烈で考えさせられる表現として頭に焼きついた。
いや、音からは聴き取れないんだけどね。

 そんな彼らが初来日したのが2004年1月。
「Extreme the Dojo vol.7」というライヴイベントで、出演がナパーム・デス、ナザム、アナル・カント、そしてピッグという今のおいらからしたら、ヨダレとか色んな体液が勢いよくあふれ出ちゃうちゃうほど、ハイブリッドで極激レアなメンツである。


上記のバンドは全部、愛聴してるので今なら絶対に観に行ってた。

特にナザムに関してはこの2004年末に、
リーダーのミエツコ・タラーツィクがスマトラ沖地震の津波に飲み込まれて30歳という若さで亡くなり、そのまま解散という痛ましい事件があっただけに、目撃できた人は一生の思い出になっただろう。

そしてピッグは今回のEXTREME THE DOJOに出演が決定したわけだが、出演バンドが5つもあるため、チケ代が9000円とバカ高い!

ピッグしか特に観たくなかったので(ディリンジャーは02年のフジで観たし)
さすがに野口9枚は出せないなぁ…と悔しくて枕を綺麗なTEARで濡らして、小指の爪を噛みながらスンスンしていたら、マイミクの●●●●くんの日記のコメント情報から単独公演の存在を知って、(ホントこれ読んでなかったら知らなかった、心からありがとう)今回、新大久保アースダムに出向こうとしたわけでありやんす。



 当日夜、新大久保駅に着いたおいらは、
駅から降りた瞬間、ぴゅ~っと突き抜けた寒風とともに即座に漂ってきた街全体の雰囲気の淫靡さと、底知れない不穏な匂いを身体で嗅ぎ取った。そして、その街の驚くべき光景を目のあたりにする事になった…。

 初めて訪れた新大久保。
新大久保駅から降りると街全体がなんとも
コリアンティックな雰囲気に包まれている。
韓国に行かなくてもインスタント韓国気分が味わえる。


「明らかにお前、整形しとるやんけ!!」ていう顔した妊婦のホステス嬢(韓国人だろな)と通りすがりに見つめあう。

やっぱり韓国映画の「カンナさん大成功です!!」(傑作!)みたいな成功例ってあり得ないのかな。

韓国居酒屋の前で番犬している、ちっこい柴わんこがめちゃくちゃ挙動不審でブルっていて、こちらもしゃがんで、
しばしまんじりと見つめあう。

ダメだ、人間の一挙一動に対し、ビクつく視線を見せてる。
居酒屋の店主のおばちゃん、この柴わんこを叩き過ぎだって(妄想)!!

活気に満ちていて、なかなか刺激のありそうな街である。
猥雑な昭和の雰囲気が色濃く残ってる感じ。
24時間営業の韓国製品しか売っていないスーパーとか面白かったな。
店員も客もコリアンしかいねー。


せっかくなので記念に韓国の怪しいジュースを2本買う。
もち米のジュースと、ニッキとショウガのジュース。

とりあえず、もち米ジュースをその場で飲む。
口に含んだ瞬間、一気に広がる甘酒から
アルコールを除いたような甘ったる~い味。

一言で言うとマズイ!
ニッキとショウガジュースに至っては怖いので、いまだ未飲。

 なんじゃかんじゃで、遂に着いた新大久保アースダム。

が、しかし!
入口にいきなり開場時間が30分遅れるとの張り紙が。


なにゃーー!!
よっしゃほなら、あちらこちらに構える韓流スター・グッズの店でペ・ドゥナとユン・ウネの非公式グッズ買いまくるぜーー!!

と、勢い勇んで何ヶ所かお店に入るが、
どこもかしこも眼鏡の奴とか似たような名前の野郎モノばっかりしか置いてねーじゃねーか!!



しかも、入ってくるお客がおばちゃんだらけなのに対して、まるでおいらが韓国の男優好きなミーハーみたいになっとるが!!

女優のコーナーは、チェ・ジウとイ・ヨンエのみ。
なんならーちくしょー!!!
まぁいい。
とりあえず、店員に聞こう。



犬吉「ペ・ドゥナのグッズありますか?」
店員「ございません」
犬吉「じゃあ、ユン・ウネのグッズありますか?」
店員「ございません」


…さて、お話を豚さんに戻します。

 ビルの地下の階段を降りると、今度こそホントに着いた新大久保アースダム。
周りの壁にはフライヤーが汚らしくベロベロに貼られていて、いかにも健康優良不良青年が集まるゴリンゴリンで不健全なハードコア系のハコっぽくて大変よろしい雰囲気。
こういう素敵な環境で赤犬が観てみたいなぁ。

今回、豚さんの4年ぶりの来日公演で何よりビックリしてあまりにも良心的で、うれ失禁しそうになったのが前売チケット料金。


に、に、に、2800円(1ドリンク込)!!
あら、素敵!


えと、一応ピッグ、アメリカはバージニア州から
はるばるやって来た外タレさんなんですけど!!
赤犬や曽我部のチケより安い!!

ピッグだったら4~5000円出しても良いところだったんに!

やるじゃない!!

 会場に入ると、薄暗くて天井が低くてハードコアな感じでこれまた大層、よし。
まるで三田佳子の次男のパーティー会場みたい。


鼻ピアッシングタトゥーモヒカン姉さんとか、年齢不詳なオールド・ハードコアな人から、会社帰りのスーツ姿のリーマンども、
何のバンドのかわからないTシャツ着てる人などが集まっていた。


こういう人たちが集まる環境でGGアリン観てみたいなぁ。(本人死んでるけど)
ここはライヴスペースとは別室になるドリンクスペースがあるのだが、ここのドリンクがライヴハウスにしては安い!!

通常のカクテルがなんと300円とうれP価格!日本酒が何故か充実してる!
注いでくれるドリンクガールかわいい!
と、なんだかここのハコ好きになりそうだ。
よーし飲むぞー1人で!




この日は、ピッグの前に3バンド出るとの事。先が長そうなので文章は箇条書きで。
本日1杯目の麦酒インシュをして、まずは1バンド目、PIGMEN。

ボーカルの人がぴょんぴょん跳ねてて楽しそうだった。
演奏時間18分。


そして2杯目の麦酒インシュして2バンド目、マッハトリガー。

こちらも速い音楽でした。
演奏時間18分。
ちょいと気取ってジントニックを飲む。


3バンド目、ギャルハマー。
バンド名はメイヘムのドラムの人、ヘルハマーから取られてるらしい。

女子3ピースバンドのブラックメタル系のバンド。
意外と素顔はかわいい感じだのに、
2週間溜まった宿便を一気に放出するかのように
顔を歪ませてゲロ吐くようなデス声かましてるのって何か素敵★

ドゥーミーでクリーピーなサウンドに酔い初めし身体は
左右にふらふらとゆれ動く。
カッコよい!
メロイックサインを出すお客たち。
ブラックメタル界のキャンディーズですな。
演奏時間20分。

さて、ギャルハンマーを観て、おいらのテンションも徐々に高まり、
いよいよ真打ちの登場です。

既に前の方はぎゅうぎゅう状態。
おいらは左側のスピーカー付近の前から2列目に位置する。

楽器のセッティングはピッグのメンバー本人がやってるらしい。

らしい、というのはおいらは実はメンバーの顔をよく知らないまま今回のライヴに臨んだのである。
メンバー、ご対面~ん。

★軍人のようにピチピチTシャツでむきむきマッチョなおヒゲさんがギター。
★遂に高田万由子に三下り半を突きつけられて、
逆切れして凶悪になっちゃった葉加瀬太郎みたいな人がヴォーカル。
★深夜の通販番組のフィットネスグッズの使用効果前BEFOREみたいな肉々しい人がドラム。
★サポート・メンバーに、お金持ってなさそうなビル・ゲイツみたいな人が
変な機械でノイズ出してたよ。

さて、入念なセッティングの後に、
ずいぶんと待った待ったライヴ。
遂にスタート!
さぁ来るぞ来るぞ爆音がーーー!!
お客さんも興奮気味!
おいらも鼻息荒げに興奮!
皆、屠殺場の豚のごとく興奮!!

 …「あっ」と言う間の45分。


なんだ、こりゃ。
初めて経験する音楽体験。
凄すぎる…。


ライヴ中、頭を振りまくって、ずっと笑顔で発狂して原始的に叫んでたよ。

アンコールもやってくれて結局何曲やったかもわからんちんだけど、そんなこたぁどーでもいい。


45分と書くと短いと思うかもしれないが、
グラインドコアのバンドのテンションは45分くらいが丁度良い。



あと、おいらが意外だと思ったのは、
肉々ドラムの人の超高速ブラスト・ビートが、速く叩いてるように見えなかった事。


おいらの頭の中ではもう身体中からあらゆる体液という体液を放出させ、白目を剥いてベロを出しながら、キチガイみたいにドラムを叩くのかと思ってたけど、手首と足首だけが高速だった。



たいてい、曲が秒単位で終わるのにしっかりセットリストがあるのにも驚いた。
(当たり前か)

 ライヴ終了後、あまりの体験に圧倒されてにやけながら階段を登ると、自分の身体にある異変が起きていることに気付く。



な、なんと、左耳が完全に聴こえなくなってる!!!


そりゃそーだ左のスピーカー前に寄ってたからな!

しかし、このライヴでの音量、これまで色々体験した中でもなかなかのデジベル数を誇るラウドネスだった。



3日くらいしたらようやく正常に聴こえ始めたが、
それまでは、あゆもビックリの難聴具合だった。


ま、ライヴが良かったからいっか!!


豚さん、またいつでも帰って来いよ。

<了>

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

上記の来日公演の5か月後のオーストラリアでのライヴの模様。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?