ひらけゴマ

ぼくが料理をするのは週末か、平日ごくたまに非常に早く帰宅できたときに限られているし、そもそも独身の頃は自分で料理なんかしたこともないので、妻に教えてもらったものをベースに、インターネットで都度作り方を見ながらやっている。

子どもたちから人気があるのは天津飯で、これは餡さえうまく味付けできればどう間違ってもだいたいうまい。

天津飯の餡に欠かせないのはオイスターソースとごま油で、これがあればどう作ってもだいたいうまい。

特にごま油というのは、一体誰が発明したのか知らないが、まあすごいものだ。

冷蔵庫に残った野菜の切れ端やらなんだかよくわからない余り物は、ごま油とにんにくを弱火であたためたやつで炒めて適当に調味料をふるだけで、なんとも香ばしくて食欲をそそるおかずになるし、塩胡椒とごま油をぐるぐるとまぜたやつ、これをなんと呼ぶのかは知らないが、とにかく何にかけても絶対にうまい。

絶対にうまいといえば、ぼくの実家はにんにくを使わなかったのだが、妻は何にでもだいたい使い、なかでも鳥もも肉のステーキにはたっぷりと入れる。

これはもちろん外はこんがりと、中はジューシーに焼きあがった鳥もも肉がメインの料理なんだが、ぼくはこれに添えられたにんにくが大好物で、オリーブオイルと鳥もも肉の脂がしっとりと染み込んだ、きつね色の焼きにんにくをつつくだけでご飯が進む。

鳥は肉も好きだが皮のほうが好きで、焼き鳥も皮ばかりを食べる。

適度に歯ごたえがあって、シンプルな塩味と、十分な脂が摂取できる食べ物が好きなようで、ポテトチップスの塩味も大好きだ。

じゃがいもは大きく切ってフライドポテトにするのも好きだ。

パセリやハーブと一緒に焼く。

基本的に舌がバカだし鼻も悪いし技術もないので、わかりやすいものしか作らない。

また、妻のように何品も同時に作れないから、一汁一菜、場合によったら一菜だけ。

そんな程度でも食事としては成立する。

結局、料理なんてのはなんとでもなるし、時間がなければ買ってきてもいいし、やる気が起きなければ外食してもいいのである。

問題は後片付けとか、いつでも気持ちよく料理を始められるようにキッチンをきれいにしておくとか、あるいは何もせずにゆっくりくつろげるように家の中をスッキリさせておくとか、そっちのほうがずっと大事だし、難しいと感じる。

これだけ文明が進んでも、そこが劇的に変わらないあたりに何か違和感を覚える。

ぺんぎん氏に聞きたいのは、掃除や整理整頓は好きですか、ということである。

ちなみに、ぼくはとても苦手である。

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