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京都・六道の辻

『六道の辻』とは六道の分岐点。あの世とこの世の境と信じられ、冥界への入口とされている場所です。
今回はその六道の辻について少し書いてみます。

1.『六道』とは

仏教では、人は亡くなったあと6つの苦しみと迷いの世界である「六道(生命が生まれ変わる6つの世界の概念)」に輪廻転生するといわれています。

地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天上道の6つのことです。
ではひとつずつ見てゆきましょう。


①地獄道

・悪行を積んだ者が生まれ変わる世界
・もっとも辛い苦しみを受ける場所
・無間地獄、黒縄地獄、大呼地獄など様々な地獄が136つある

②餓鬼道

・貪欲な者が生まれ変わる世界
・何も飲み食いできないので、常に飢えと喉の乾きに苦しまなくてはならない
・餓鬼は「過去に贅沢を極め、他人のものを奪った者が生まれ変わる」といわれている

③畜生道

・生前に悪いことをした、無知な者が生まれ変わる世界
・畜生とは「人間以外の動物」を指す
・この世界の生き物は知恵がなく、常に飢えと渇きや寒さと暑さに苦しむ

④修羅道

・戦いを好む悪神「阿修羅」がいるとされる世界
・瞋恚と戦いの多い世界
・修羅は戦いに明け暮れ、他人を倒すことでしか満足できない存在

※瞋恚(しんい)とは
瞋恚は仏教用語で
「瞋」・・・怒りと悲しみ
「恚」・・・憤りや怨み
これらをあわせて「煩悩」のひとつとされています

瞋恚は、他人に対して憎しみや怒りを抱く心の状態。
この状態になると、人は他人を傷つけたり自分自身が不幸になるとされています。
また、仏教ではこの瞋恚を捨て、慈悲の心を持つことが重要視されています。

⑤人間道

・我々が生きている人間世界のこと
・善行と悪行が混在する者が生まれ変わる世界
・苦しいこともあれば楽しいこともある
・六道の中では、唯一仏教と出会える世界とされている

⑥天上界

・善行を積んだ者が生まれ変わる世界
・人間道よりも苦しみが少なく、一番楽だとされる世界(まったく苦しみがないというわけではない)
・この世界の住人は過去の善行によって天人として生まれ変われる


2.背景と場所

六道の辻は、平安京の葬送地として制定された『鳥辺野』へ至る道筋で、この地で「野辺の送り」をされたことにより六道の辻伝説が生まれました。

鳥辺野は、京都東山の六道の辻が入口です。
清水寺の南の阿弥陀ヶ峰の山麓付近が中心で、今熊野神社や今熊野観音寺にかけての広い地域のことをいいます。

六道の辻の場所は、六道珍皇寺(寺前に六道の辻の石碑がある)・西福寺(六道の辻の標識があり、六波羅蜜寺のほぼ隣にある)のあたりとされています。
本来「辻」は十字路のことを言うのですが、六道の辻は一点の十字路ではなく、その周辺なのだと考えられています。

今の松原通は平安時代の五条通で、その道は鳥辺野に通じていました。
その道は左右に、六道珍皇寺・六波羅蜜寺・愛宕念仏寺もあったので、昔の人々にとっては「この世とあの世の境目」のエリアだったのではといわれています。


3.ちなみに

六道珍皇寺とは臨済宗のお寺で、盂蘭盆の8月7日~10日までの間に「六道まいり」があります。

この境内にある井戸から冥界へ行った(死の六道)とされるのが、小野篁(おののたかむら)です。
ご存知の方もいるかもしれませんが漫画「鬼灯の冷徹」にも小野篁が登場します(この作品で小野篁を知りました笑)。

冥界へ行った小野篁がこの世に戻ってきた出口は福正寺とされています(生の六道)。

また、死体を供養するために建てられたのが六波羅蜜寺です。
六波羅蜜寺といえば念仏を唱えて民を救った空也上人が有名ですね。

まとめ

この記事を書いている数日前に、実は六道まいり(六道珍皇寺や六波羅蜜寺など)へ行っていました!
それについてはまた後日まとめますね。

それでは!

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