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とうきよう407

音楽がすやすやと眠っているのを新宿で聞いている。雑多を具現化したような上澄みだらけの東京で、君は革命の前夜を待っている。

都庁もアルタ前も東京タワーの先端も、幸せそうに揺らいで見えるなんて言うけれど、地下に潜ればそこかしこから乳臭い匂いが漂っていて、先ほど食べたラーメンを戻してしまうんだ。

吐瀉物だなんて良い響きだ。さよならだなんてちんけな安い代物だ。胸に住む奇妙な母の魂は、いつか私を食い潰してやろうと好機を待ち望んでいて、私は優しいから、捻り潰すことも噛み切ることも出来やしない。

音楽がすやすやと眠っているのを渋谷で聞いている。夕闇なんて知らないあの街は、人を吐き出してやる代わりに夜を手放してしまった。君は、革命の前夜にぴったりだなんて言うけれど、人を吐き出すしか能の無い街で、革命なんて起きるものか。

スクランブル交差点も道玄坂も円山町のラブホテルも、自己消耗と美味しいお金の巣窟だなんて言うけれど、詰まらない人間が団子の様にかたまった所で生じるのは女の悲しい割れ目だけだ。

血は流したほうが良いだなんてくだらない妄言だ。安いホテルで一夜を過ごしたところでビルの群生なんて発見できやしないのだ。


#詩

もうちょっと頑張れよ、とか しょうがねえ応援してやる、とか どれもこれも励みになります、がんばるぞー。