ここからいなくなる私へ
慎ましく生きていきましょうと先生が言った。
反芻する。
噛み切れないほどべたべたと舌に絡まるので、
やっぱりトイレに籠りきり。
右目の下に刻まれた深い皺は汗と涎で変色したが、
誰も教えてはくれなかった。
骨を削って生きていきましょうと友達は言ったけれど、
未熟な筋肉は淫らなだけで余剰分は無いはずじゃないか。
十七歳の私が座るJRの車内には、
もしかしたら落ちているかもしれないが。
でも希望的観測なので、
期待には沿えないよとへらへら笑ってみる。
十七歳の私。
反芻する。
悶悶とする。
布団に溜めこんだ腫瘍を誰にも見せられず、
渡せず、
髪の毛だけは綺麗に整えていた。
液晶ディスプレイを舐めとって笑っていたあの頃は、
JRのホームも友達だったのかもしれない。
もう会うことのない千鳥格子の制服は、
確か胃液の匂いがした。
足並み揃えた二つ結びの女子ども。
横浜のラーメンは美味しいよ。
渋谷のラーメンはどうなの。
藤沢の地下道はネオンの匂いがするよ。
新宿の地下道は男の匂いがするの。
メリークリスマスもハッピーニューイヤーも軋んで笑ってみせるよ。
もうちょっと頑張れよ、とか しょうがねえ応援してやる、とか どれもこれも励みになります、がんばるぞー。