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宣告

死にたがりのトーキョーの絶望がきぼうという言葉を繰り返して雑巾みたくしてしまった。新宿東南口のアスファルトに突如現れたポピーの大群がわたしたちを殺す日を予告した。

あした世界が粉々になっても、トーキョーは生きている。トーキョーは世界でも、そうでもない。存在すらしていないかもしれない。ただの舞台装置は息をしていない。だからトーキョーは死にたがり、そうして絶望はきぼう、と繰り返す。

雑巾で街を拭こう。きれいになるはずなんてない。アスファルトからの死刑宣告を皆当たり前の顔をして聞いている。

スマホなんて捨ててしまえ、ツイッターなんて殺してしまえ、フェイスブックなんて殴り壊してしまえ、そう口々に言い合える日が来る日を、望んでいるのはわたしだけ、ではないはずなのに。

死にたがりのトーキョーに、霧雨が降った日。死んだじじいが徘徊し、代々木駅の焼肉屋で自分を焼いた。これだから世界は粉々にならないのだと、中国人の店員が呆れながらそれを片付けた。

トーキョーの絶望がきぼうを繰り返し、繰り返し、しかし戻ることも放たれることもなく、温床としてぬくぬく育ったビル群が、いつか誰かを呼んでいる。あした世界が粉々になっても、トーキョーは手に掬った血を数えながら死を待ち望んでいる。


#詩


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