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春の朝

すうっと風が胸に溶ける朝が、単純に心地いいと思えた。微睡む街を歩いて、飛行機雲をぼーっと眺めていた。

春の訪れにときめいている日々に浮かぶのは、大切な人たちのこと。

きれいなものを見て、きれいだと思えるのはほんとうに素敵。きれいだね、と見せたい人や話したい人が居るのはもっと素敵。

命絶つ日まで決めていたあの頃の私じゃ、きっとこんな朝をきれいと思えなかった。違うかも、きれいだから憎らしくて泣いていたのかも。おまけに春は、なんだか寂しくて勝手に苦しがっていたしな。

好きな人達みんなに、等しく、静かで花の匂いがする朝が来ますように。ただそれだけ、ただ、それだけ。