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四四七二

また今年も、「今年が終わる」のだと思い馳せる。雪が舞う深夜、山の中の宿で重たい布団にくるまれながら。

終わってしまう、の方が近いかもしれない。けれども、やり残したことはあるか、と問われればこれと言って無い。そうじゃなくて、今年1年があまりに色とりどりすぎて、祭りみたいな年が「終わる」のが寂しい。何にしても、始まってしまえば終わることへの寂しさは、私の中で常に居座っているけれど、この丸々1年は特に寂しいかもしれない。

生きててよかった、と泣くのが、22年生きて一番多かったし、初めてだった。ほんの数年前は、命を絶つ日まで決めていたのに、ちゃっかり生き延びて今に至る。生きててよかったなんて結果論でしかない。あの頃の私にとってはさくっと死ぬことが正義だったし、そこに正しさなんて求めない。それでも、どうしようもなく単純に素直に、生きていてよかったと思うの。

別に清廉潔白な人間ではない。人に言えないことも墓場まで持っていくこともそれなりにある。そもそも根っこはわがままだし、努力するのも苦手だし。こんなだから尚更、誰彼彼の中にいなきゃ今頃死んでただろうな。褒めてくれる人、好きだと言ってくれる人がいなきゃ。その前提で、叱ってくれる人、喧嘩できる人がいなきゃ。寂しさは人を殺すと、身をもって知って。

この1年、急激に好きな人が増えた。それをきちんと喜べるようになったのも、私にとっては大きな変化。来年が、明日が楽しみだなんて言えるようになったのは、あなたのおかげです。あなたに会いたくて生きてこれたと言っても、過言では無いでしょう。あなたが私を私として、あたしとして、日常に、あるいはステージに立たせてもらえてると思っています。来年も、もっとね。

2024年もどうぞよしなに。