ジェノサイド条約の適用に関する、南ア対イスラエル事件において、国際司法裁判所が、イスラエルに対してガザでの軍事活動の停止を命令しました。決定の本文はこちらです。
裁判所は、既に出ている2024年1月26日、3月28日の仮保全措置命令の実施を求めた後、次のように命令を出しました。
ICJ規則76条で事情の幾らかの変更があれば仮保全措置を変更破棄できるとされていますが、ガザの惨状に鑑みその変更があったと認定されています。
そして、イスラエルの文民の退避とその安全を確保するためのその他の措置は、ラファへの軍事攻撃の結果パレスチナ人民に生じる切迫したリスクを軽減するのに十分ではないとして、結論に至っています。
ICJは、ジェノサイド条約によって保護される基本的な価値に照らして、回復不可能な損害を引き起こしうる蓋然性のある権利(the plausible rights)として、「ガザ地区のパレスチナ人がジェノサイド条約第3条で特定されたジェノサイド行為および関連する禁止行為から保護される権利と、南アフリカが同条約に基づくイスラエルの義務の遵守を求める権利」を示しています(1月24日決定・66段落;3月28日決定・27段落)。
なお、主文57(2)(a)段落の読み方については、NolteとAurescu裁判官が個別意見を付しています。ジェノサイド条約の義務に違反しうる軍事行動を停止するべきなのか、あるいはガザ地区ラファにおいて全ての軍事行動を停止するべきなのかで読み方が分かれるところ、両裁判官は限定的に解釈するべきだという立場です。
それから、各国の反応についてはこちらの便利なまとめがあります。
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