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【社会起業家取材レポ #25】昆虫の力でゴミを資源化し、世界の食料不足を解消する。 ~インタビュー編~

SIACの学生が東北で活動する社会起業家の取り組みを視察・取材する「社会起業家取材レポ」。今回は、SIA2022卒業生の石田健佑さんにお話を伺いました!

視察レポート編はこちら

石田健佑さんについて

株式会社TOMUSHI代表取締役COO
高校を卒業後、東京地下鉄株式会社に就職するも、単調な日々にやりがいを感じることができず入社から1年で退職。この出来事がきっかけで父親と喧嘩をし、家出を決意する。当時19歳だった石田さん。SNSで人脈づくりをしていく中でDMM.comの社長と出会う。この出会いから一般社団法人DMMアカデミーDMM.com経営企画室に入り、経営について学ぶ。その後、弟も含めた5人の友人とSNSマーケティング等の事業を行う会社を起業するも、数か月後に意見の相違や方向性の違いから事業は頓挫してしまう。東京を離れ、秋田県大館市の祖父母の家へ身をよせる中、幼少期に「ムシキング」にハマっていた熱が再燃、弟の陽佑さんとカブトムシ取りに没頭する日々が続く。趣味の延長線上として、飼育していたカブトムシの販売事業を始めようと祖父母や友達からお金を集め「株式会社リセット&マラソン」を創設。現在は、社名を「株式会社TOMUSHI」に変更し、カブトムシとともに有機廃棄物の増加や食料資源難などの社会問題に取り組み、世界を救う活動を行っている。

インタビュー

Q:大学を辞めてまでも起業をしようと思ったきっかけはありますか?
A:僕は金銭面的に入れなかっただけですが、大学は卒業した方がいいと思いますし、大学時代は起業をするタイミングとして良いとも思っています。

僕は単に金銭面的に大学に入れなかっただけなんですけど、私の弟は、大学在学中に参加していた渋谷のインターンで出会った社長さんから起業の魅力や可能性を聞き、感化されて中退したようです。でも、僕は、大学はちゃんと卒業するべきだと思っています。起業についても大学生の時は金銭面や家庭などリスクが少ない状態なので、スモールスタートで手探りしながら始めるのがいいかなと思います。

Q:事業をするうえで課題に感じることはありますか?
A:常に課題はありますね!

事業をする中での課題はもちろんあります。そして、その課題はその時々の事業フェーズなどによってさまざまです。起業当初でいえばやっぱりお金がないこともあって、いつつ潰れるかわからないという不安でいっぱいでした。会社の規模が大きくなってからは、社内のコミュニケーション不足などが原因で、役員同士のもめごとなどの人間関係の課題が多かったです。現在もやりたい事業があるのに人手が足りないという課題があります。

Q:廃棄物処理に強い個体を育てていると伺ったのですが、この特別な個体の存在が生態系などに影響することはないのでしょうか?
A:ありません。生態系への影響も考えながら取り扱う種の選定をしています。

うちの会社では外国産のカブトムシを取り扱っていてるのですが、すべて屋内で育成しており、屋外に逃げることがないように細心の注意をしています。万が一、屋外に逃げたとしても、すべて暖かい国を原産地とするカブトムシなので日本の気候に耐え切れずに、冬にはすべて死んでしまいます。例えば、中国のオオクワガタなどは日本でも生育可能なのですが、これらの既存生態系に影響が出てしまうような種は取り扱わないようにしてます。

Q:年間でどのくらいの有機廃棄物をカブトムシで処理しているのですか?
A:年間1,200トンを処理しています。

年間で1,200トンの有機廃棄物を処理しています。しかし、世界の有機廃棄物量で見るとまだ0.0004%ほどしか処理できていないのが現状です。課題解決に向けてさらに事業を進めていきたいです。

Q:現在力を入れている事業や今後の展望があれば教えてください。
A:現在取り組んでいるのは、地方自治体と協力した形での有機廃棄物処理事業モデルを作ることです。

今まではただゴミを回収しカブトムシに食べさせていただけだったのですが、今後は、地方自治体からごみの処理費としてお金をいただいて、事業を行っていくことが目標です。ごみ処理の副産物として生まれるカブトムシの原価を0からマイナスにすることでより利益を上げることができ、さらに大きな事業へと成長させることができればなと思っています。

Q:過去の失敗を踏まえての気付きや今後チャレンジをしようとする若者に対してアドバイスはありますか?
A:何かの目的をみんなで達成するのが幸せだと言うことに気がついたことです。

昔は、たくさんお金を得ることや良い役職に就くことばかりを考えていましたが、今は、お金や役職は手段でしかないと思っています。みなさんもチャレンジする際は、目的と手段を見失わないよう意識をすること。時には立ち止まって考えることが大切だと思います。頑張ってください!

取材・執筆担当:横石瑠宇来・庄子黎

編集後記

今回の視察では、石田さんと役員の和田さんからお話を伺いました。現在はメディアなどで多く取り上げられ注目を集めるTOMUSHIさんですが、創業してから全てが順調だったわけではなく、失敗を重ねながらもここまで歩んできたのだという変遷を伺うことができました。

中でも印象的だったのは、石田さんの「人の『好き』を人は否定できない」という言葉です。ここまで様々な方から応援してもらえたのは『好き』でやっていることだからだとおっしゃっていました。一般に事業を始めて続ける上で重視される「収益性」や「事業性」とは異なる、自分が『好き』であるということの重要性を強く感じる視察になりました。

(学生事務局 鈴木)

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