三田誠広「いちご同盟」

本との出会いは、いつも違う。

知り合いにすすめられて、クラスで流行ってて、たまたま学級文庫においてあって、話題作といわれてて…

今回は先輩が「整理するからほしかったらあげる」と言われて手に入れた。この小説が中学の教科書にのっていたことも思い出した。

私が傑作だと思う基準に、「何回でも読み直せるかどうか」がある。だいたい年1,2冊ほどそういった本が現れるが、「いちご同盟」は何回でも読み直せるだろう。社会人になったら、子どもが生まれたら、そのときに読み返せばまた違った面白さがあると思う。

主人公は進路に、生き方に悩む15歳だ。ある日野球部のエースを通じて難病の少女を知る。物語は3人を中心に回っていく。

中学の教科書に載っていたのは、この物語の一部だった。

私はそのころ、登場人物が同年代の現代小説が嫌いだった。彼らは生き生きとしていた。全力で悩み、全力で何かに打ち込んでいた。対して私は何もなかった。だから、登場人物に嫉妬してしまうし、何もないことに自己嫌悪していた。

いちご同盟も例外でない。暇つぶしに読んだが好きになれなかった。

年を取るにつれ、ほとんどの人が小説のような体験はしていない、となんとなく知った。フィクションはありえないから成り立つし、青春小説を書くのは昔の思い出を美化する、本当の学生時代を思い出せない大人たち。学生時代は大人が思うより地味だと思う。

しかし、私はまだ大学生。これから社会人となり、もしかすると親になるかもしれない。そのときには、中学時代も生き生きとした思い出へと変化するかもしれない。

だから将来、私がさらに年をとったらこのnoteを見返し、いちご同盟をまた読んでほしい。

若い時の文章なんて、恥ずかしくて読めないかもしれないが。

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