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キャンディ・H・ミルキィさんへのインタビュー/第1回「私は女装"愛好家"です」
女装愛好家のキャンディ・H・ミルキィさんにインタビューしました。
フリルとレースとリボンがふんだんにあしらわれたドレスを着て街を闊歩しているキャンディさん。
衣装はご自身で手作りされているそうです。
時には失敗しながらも、自分が好きだと思えるものを作り続けてきたお話を伺いました。
動画版はこちら
プロフィール
1952年 東京都に生まれる
74年 結婚
76年 出版社「雄美社」を設立
84年 女装クラブ「エリザベス会館」デビュー
88年 アマチュア女装誌『ひまわり』創刊
以後17年間にわたって発行を続け、全盛期の部数は7千部
94年 離婚
2008年 『キャンディ・キャンディ』の関連グッズを陳列した「コレクション展」の開催を始める
17年 東京・柴又に「キャンディ・キャンディ博物館」を開設
手作りの衣装
――まず女装のお話を伺いたいと思うんですが、衣装はキャンディさんが手作りされてるんですよね?
そうなんです。
で、作るでしょう?
飽きてくると、継ぎ足すんです。
これは結構新しいケープ、マントですね、お揃で。
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生地がね、めっちゃ安かったんだよね。
もうなんか100mぐらい、ものすごい量で買っちゃって、みんなこれになっちゃったという。
こんなのを作って、夏用なんでね、これは日焼け防止で。
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いいでしょう?
で、リュックサック。
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これは違うバージョンだけど、一番気に入ってるバッグ。
![](https://assets.st-note.com/img/1714893208367-71YSyvZSkE.png?width=800)
ナースキャップ。
![](https://assets.st-note.com/img/1714893708790-HAYWjjUGGH.png?width=800)
そしてこの靴。
これはね、安全靴っていう工場なんかで履く靴なの。
![](https://assets.st-note.com/img/1714893842582-FYU41gCffU.png?width=800)
つま先に鉄板が入ってんの。
でもね、こういう風にすれば可愛くなるじゃん?
傘も、縁にレースを縫い付けちゃうという。
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普通の傘がオサレになる。
――これもキャンディさんが作ったんですよね?
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そうなんですよ。
これを着て、颯爽とオートバイに乗って疾走してたんだよ。
赤っていう色はね、汚れに強いの。
いくら漂白剤入れても落ちないのよ。
だからその頃は真っ赤な衣装着てた。
――このカツラは?
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それはドン・キホーテで買ってきた。
今は売ってないんだけど。
ドンキでね、キャンディ・キャンディフェアとかいってウィッグとか売ってたんですよ。
一時私も被ってたんだけど、あまりにもあまりにもなんで(笑)
楽しいんだよ、女装って。
旅行しても楽しいし、バイク乗っても楽しい、写真撮っても楽しいし。
何をやるんでもね、女装さえしてれば楽しいから。
――お裁縫って独学なんですか?
最初に女装クラブへ行った時はマタニティドレスみたいなのを着てた。
太ってたから。
でもそれってやっぱ味気ない。
裾にレースをつけたり、スカートに吊り紐をつけたり、胸にハンカチみたいなのをつけて胸あてにしたりした。
そんなことをしてる間に、中学校の教科書を見たら、袖襟スカートの基本の作り方があって、それから入り込んだ。
今でもそう。
ちゃんと学校だとかで勉強していればわかってることが、20年も30年も経って気づくのよ。
「あっ、そういうことだったのか」って。
自己流はそれが楽しいのもあるけど。
綿の生地の場合、1回洗濯して干してから使った方がよくて、だいたい今はその処理をして売られてるんだけど、中にはそうじゃないのがある。
それを知らなくて、洗ったら縮んじゃって、また膨らますのに大変な思いをしたことがあった。
そういうものだって知ってればね。
勉強してちゃんと本でも読んでればいいんだけど、そういうのは一切しないでやってる。
もう超いい加減。
――こっちから見たら完璧に見えます。
ちょっと離れて見るとね。
私だって、自分の顔を鏡で見るとドキッとするけど、離れて見るとどうもわかんねかなと思っちゃう(笑)
"愛好家"を名乗る理由
私はね、FLRという、LGBTではなく、フリルとレースとリボンのフェチ。
女装の人達からは、私のは女装のジャンルじゃないって言われてるんで。
じゃあもうフリルレースリボンのジャンルの人っていう風にしちゃうと思ってる。
あくまでも暫定的に「女装」という言葉を使っているけど、女装家という言葉を私はあまり好きじゃない。
女装"愛好家"なの。
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料理をやってる、テレビなんかに出てる有名な人が「私は料理学校出てるわけじゃないの。料理が好きなだけ。だから"研究家"じゃなくて料理"愛好家"なの」って言ってた。
それを聞いた時、感動した。
私と全く思想的に同じであると。
私は女装家じゃない、女装"愛好家"なんだ。
それで、あくまでも「女装愛好家」っていうのを使ってる。
もう女の子の格好をするのが好きですし、女の子が好きで好きで女の格好をしている。
それが嫌で、かみさんは逃げていった。
警察官が見守る中で
――私はキャンディさんのことを朝日新聞のインタビューで知りました。
すごくかわいいなって思って、興味を持ちました。
取材した記者がライターやってるのは知ってたんだよ。
5年ぐらい付き合ってて、いろんなこと聞いてくるから、その間にね、何か蓄積したみたい。
「新聞に載せていいか?」って言うから「おういいよ」って答えたら、何と朝日だった。
「え?朝日に関係あるの?」って聞いたら「いや私、朝日の記者」とか言うから驚いた。
「この企画の編集長が変わって、キャンディさんの記事にOKが出たから出すよ」って言うから、「お願いします」と。
――記事のコピーを持ってきました。
お手製のドレスを着た写真がかわいいです。
撮影時、遠く離れたところでお巡りが見てた。
撮る前に職質食らったの。
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「何かイベントでもあるの?」とか掘り葉掘り聞かれてさ。
「いやちょっとメディアの取材を受けるんです」って答えたら「どこだ?」と。
余計なことをと思いながら「朝日です」って言った。
もう見るからに、星1個でもってわかるんだよ、巡査だって。
若いし。
新米の警察官って、あいつに職務質問をちょっとしてこいって言われるんだよね。
~第2回へ続く~
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