エピソード1-3 タネも仕掛けも

何らかの副業を実施していると明かしたマッチングアプリの女性。遂に彼女のビジネスの内容を知る記念すべき日がやって来た。映画GotG2を観に行く時に近いワクワクを胸に迎えた朝、彼女からLINEが届く。

「先輩を連れてもいいか?」と尋ねられ反射でOKする程には短慮な私であるが、むしろ意欲を増していそいそと支度をする。

(因みに友達や先輩を連れてくる、というのは勧誘の手口としては初歩的な行為。より副業に詳しい人を連れて有利に事を進めるメリットもあれば、2対1にして牽制する効果もある)

話を戻そう。集合した場所はCaffice新宿店。価格やや高めの落ち着いた雰囲気のカフェだ。小洒落た空間でこれから起こることを想像するとギャップで胸が焼かれそうだ。

画像1

彼女から最初に見せられたのは1枚のクレジットカード。「これ、知ってる?」と指を指す先には──

── [Amway] の文字。

出た。遂にお出ましである。当時の私はそれについて“うっすらと聞いたことがある”程度の知識であった。「なんか聞いたことあるなぁ」と正直に答えると、彼女は先輩に「ねぇ!Amway知ってるって!」と嬉しそうに話す。

“聞いたことある”程度の事柄を“知ってるもの”として捉えるのは非常に興味深い。彼女らには四捨五入の捨の部分が抜け落ちているのかも知れない。

「なら説明は早くて済むね」と先輩が取り出したのはノートパソコン。Amwayについての説明をスライドにて実施しようと言うのだ。面白い。彼女らの本気が伺えるではないか。

しかし開口一番Amwayを説明する程早漏な彼女らではない。まずは前置きとして雇用、日本経済、貯蓄、老後について話し始める。

──サラリーマンの平均年収知ってる?350〜400万くらい?そうだね。じゃあ日本人全体の平均は分かる?…実は1000万なんだよ!

──麻生さんも言ってたけど、老後に必要なお金って2000万なんだよ。でもそれって最低限なの。会社員の給料じゃ絶対足りないんだよ!

明るい表情で資料と共に不安を煽る先輩。そうしていよいよ本題のAmwayの説明に入る。

Amwayとは(知ってる人も多いだろうが)会員制かつ紹介制の通販会社だ。日用品をメインに販売している外資系企業。最大の特徴は会員が商品を購入すると、それに応じて紹介者に購入額の数%がボーナスとして支払われる所だ。つまり自分の下に新規会員を増やせば増やす程、自身への利益が増えていくという訳である。

ほぅネズミ講ですか、大したものですね。誰もがそう思うだろうが先輩は付け加える。

ネズミ講では無い。→商品の質がいい、在庫を抱えない、クチコミで実績がある、それによって会員が広がっていく、と言葉を並べる。
先輩曰く、ネズミ講は在庫を抱えさせ粗悪品を売りつける。しかしAmwayは通販であり、在庫を抱えさせることは無い。そして商品の質の良さはクチコミが証明しており、皆は納得して購入するのでネズミ講には当たらない。

なるほど物は言いようである。ギリギリを攻めたこの理屈の肝は“双方合意の上での購入”にある。紹介者はネズミ講のイメージを払拭する為に奔走しているという訳だ。

更に貰えるボーナスはもう1段階ある。紹介した人からのボーナスだけではなく、紹介した人の紹介した人からのボーナスも入ることとなる(図 参照)

画像2

ややこしい言い方だが、要するに下請け分と孫請け分の利益が入るという訳だ。ピンハネ大好きなパソナもビックリである。知らんけど。そしてボーナスはAmwayから支払われる為、被紹介者はピンハネや紹介者への手数料を気にせずただ買い物を楽しむだけでOK!ということに。ほぇ〜それなりに頑張ってるのね。

先日訪れたタワマンに住む男はこの仕組みを使い、かつ極めた事で個人事業主として活動しているのである。なるほど「自営業」とはこういうことか(詳しくはエピソード1-2を参照)

先輩のプレゼンはひとまずここまで。Amwayと収益の仕組みについて知り、1つ賢くなったことを実感した。「今度ウチでAmway商品のこと詳しく教えてあげるよ」と言う先輩。「わぁ気になる〜」と答えたが、同時に(えっ家行くんか?マ??)と少し狼狽える。

まぁ良い。どんな動揺も5秒経てば好奇心が勝るのが私。面白いじゃない。ここまで来たらとことん行くしか無いね!見せて貰いましょか、Amwayさんの実力ってやつを。

───次回、先輩の自宅で気になるAmway商品の実演会!デュエルスタンバイ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?