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【その土俵は黒青部屋か?】セリエA 23-24 第13節ユヴェントスvsインテル レビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回は天王山ダービー!セリエA第13節ユヴェントスvsインテルのレビューです。


●スターティング

●前半-ダービー仕様は『左肩上がり』

ユヴェントスのプレビュー(的なナニカ)で「超保守的な守備」だの「クリアが多くて慎重」だの「ポジショナル成分が薄く、後方での安全なパスが多い」だの好き勝手書きましたが、本節の彼らは全く持ってそんな姿勢ではなかった。なんならロカテッリの穴埋めもニコルッシで見当違いだった。

前からプレスは高い位置で嵌めるような獰猛さではありませんでしたが、トリガーは比較的イージーで試行数をインテルよりも遥かに積み上げました。

設計はプレビューで取り上げた右IH(マッケニー)が前線に上がるやり方だったので、本記事では図解にして取り上げませんがガッティの立ち位置、そしてここぞで前に出てインターセプトする圧力の強さとタイミングが特に◎。

クリアという観点もスタッツサイトFBrefによると、これまで1試合平均21.7回(ヴィオラ戦抜けばもう少し低数値)だったのに対し、ダービーではたったの8回と多少厳しいシーンでも繋いだり、カウンタープレスを躱す心意気が見られました。

それら以上に取り上げたいのはビルドアップ

立ち上がりこそ、いつも通り最終ライン+アンカーの3-1を綺麗に保つ静的なやり方でしたが、これはブラフ

数分かました後、ダービーモードがお披露目となりました。

左高めの4-3-3的な配置でビルドアップ

端的に表現するなら『左肩上がりの4-3-3』

キエーザが左WGと化し、その分、コスティッチはやや下り目に配置し、最終ラインはスライド。ガッティが低めの右SBと化します。

最もファジーだったのはカンビアーゾ

ガッティのビルドアップサポート、最終局面で高い位置を取るマッケニーの保険、と思ったら大外でターゲットになったりと状況に応じたプレーでチームの下支えに。カンビアーゾを右で使う場合の答えは今日見つかったんじゃないでしょうか。

と、カンビアーゾをべた褒めしましたが、この設計を考えた起点はどシンプルにキエーザと見ます。

EURO予選の北マケドニア戦で素晴らしい2ゴールを上げた彼の質的優位が、最も期待値の高い殴り方と踏んだのでしょう。

彼が捕まってもそれを囮に、チャンスメイカーであるコスティッチがその左脚を振れば何かが起こる。

左の質的優位二枚看板

二段構えの質的優位がホームチームが用意したディナーメニュー。

先制点は持ち場を離れた上で不用意なトラップをしてしまったドゥンフリースのミスが原因ですが、結果論だとしても大外のキエーザが中に入れて、ヴラホヴィッチが9番してネットを揺らしたのは青写真の結実。アッレグリさんも悪い顔したことでしょう。

尚、ドゥンフリースはロスト後にダルミアンとバレッラがフォローに入っているにも関わらず、ポジションに回帰。結果、(当然ですが)後手に回り、ただただキエーザを追走する生産性皆無の判断ミスをやらかしました。喝。

遠回りで後ろから追っかける僕たちのドゥンちゃん

ロストは目を瞑るにしてもこれはダメ。バレッラがフォローに入ったギャップを最短距離で埋めていれば、キエーザからヴラホヴィッチのラインは遮断できていたかもしれません。これはドゥンちゃん猛反省してください。

●前半-大きく重い2つの因子

翻って、インテルのボール保持。

いつも通り、3-5-2という大枠の配置からチャルハノールが最終ラインに降りて左右CBを押し出したり、バレッラが『第二の心臓』したり、マッケニーが出てくると分かったらその背後でムヒタリアンが降りて、瞬間的に中盤L字ぽくなったり。

これ、もうちょっと上手くやれたはずだなー

状況とか両チームの配置に合わせていろんな手札を切る様相は今季インテルらしさがありましたが、本節がよろしくなかったのは軸に据えた手段に甘えてしまったこと。

インテルの青写真は「ユヴェントスのプレスを誘引して、盤面をひっくり返して速攻を放つ」擬似カウンター。

確かに切れ味鋭い自慢の刀ではありますが、伝家の宝刀はここぞで抜くものです。

シモーネ監督はユヴェントスの強固な撤退守備とからのカウンターをリスペクトしてたんでしょう。少しでもそのフェーズや回数を減らしたい。

ⅰ)敵陣に押し込んでも虎視眈々に徹し、いつもの連鎖的なアタックは箱入り娘。そう簡単に外に出さず、被カウンターという悪い男に捕まるのを事前防止。

ⅱ)高い位置から自陣までのやり直しを積極的に。あえてユヴェントスの陣地回復を許しプレスの余地を生む

この2つの因子の大きさがインテルにとってのダービー仕様。今宵のスペシャルメニュー。がしかし、その成果はホームチームとは裏腹に。

先ず発動したかった擬似カウンターは相手の裏返しの恐怖と代表ウィーク明けの馬力のなさでダイナミズムや人数が不足しているシーンが散見。

特にディマルコは個人戦術や技術で誤魔化していましたが、明らかに出足が鈍く、十八番のクロスも軸足が踏み込み切れておらず腰が回っていなかったりと相当厳しそうでした。

相手のプレスの誘引もユヴェントスがここ最近の潮流に反し「今日は出るよ!前から行くよ!」だったので、むしろ後押しさせてしまったかもしれません。

そういえば”文字通り”のおかえし同点弾となったラウタロのゴールは、インテリスタ各位も言及していたように、ドゥンフリースがボディフェイクを入れて縦に付けたプレーがトリガーとなっており、瞬間的に名誉挽回したことは忘れずに記載しておきます。

まぁでも全体的には良くなかったけどね!今日は加入季のドゥンちゃん!次がんばって!

●超私心-その土俵で戦わない、が最大のリスクヘッジかもよ

はい。後半はまるっと割愛します。

選手交代などによる変化もありましたが、詰まるところ全体的な応酬は前半と変わりありません

とあるインテリスタの方が試合後にX(旧Twitter)のポストに「負けられないじゃなくて、負けたくない攻防でしたね」と返信をくれたんですが、これがもう絶妙な表現だなと。

似てるようでぜんっぜん異なるニュアンスが後半の全てだったように感じます。

両チームともに「ドローだけど勝ちたかった」、「あとひとつ歯車が噛んでいれば勝てた」ともやもやが残る一戦だったと思いますが、試合は分けども勝負に勝ったのはユヴェントスと認めざるを得ません。悔しいけど。

リスクマネジメントが過ぎる、慎重過ぎるといったワードはこのダービーにおいてはインテル、そしてシモーネ・インザーギ監督が被るべきでしょう。

基本性能の高さがありながらも瞬間的に異音を奏でられるバストーニとパヴァールが離脱した上で代表ウィークの酷使もあり、勝点0を絶対に避けないといけない天王山ダービーであったことは重々承知の上ですが、僕は思うんです。

インテル×ユヴェントス=塩試合、なんですよ。しかも塩分濃度高めなやつ。

もちろんそうでない試合もありますが、本命は塩試合なんですよ。今で言えばイクノイックスなんですよ。

ただ、

「塩でもなんでも勝ち切る」

「痺れる試合に耐えて、ここぞで切って落とす」

「見応え少ないし、ロースコアだけど、でも勝点を掴む」

これって黒青部屋の土俵じゃなくて、白黒部屋の土俵だと思うんです。

そして、なんら定量的な論拠はないけど、やっぱりこの勝ち切る力こそ、彼らの見えないけど確かにそこに在る力だと思うんです。

だとしたら、その土俵で戦うのは自分達を不利にしていないか?って考えるは帰結として妥当性があると考えられます。

リスクヘッジしないといけないのは痛いほど分かる。負けて失うものが多過ぎるし大き過ぎるのも分かる。けど、もしかしたらリスクテイクすることがリスクヘッジなのかもしれません。攻撃は最大の防御。

今のリレーショニズムなインテルならそれを体現できると信じているんですけどね。僕は。

次回のダービーは「被カウンターなんざしらねぇ!ゴリゴリに攻めろ!」とは流石に言いませんが、局地局地でいつもの”らしい”即興演奏を行ってほしいと考えます。

リスクマネジメントなしでやられたらそれはそれで怒るけど笑、傾倒し過ぎず、もう少し瞬間火力出してもいいんじゃないでしょうか。

以上!少しあっさり目ですが今回はここまで。

次回ベンフィカ戦はターンオーバーパーティーですね!アウデーロのデビュー楽しみ!

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯

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