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【データ考察】スタッツで見るバレッラの評価

こんにちは!TORAです🐯

今回は「【データ考察】スタッツで見るバレッラの評価」と題しまして、その名の通りバレッラにフィーチャーした記事となります。

本記事、ややこしいというか細かいというか。とっつきにくい内容ですのであらかじめご了承頂けると幸いです。

●結論

という訳で。
先ずは結論から述べます。

バレッラはスタッツで見てもチームのホロンだ
ホロン:部分でありながら全体としての機能、性質を持ち、全体と調和して機能する単位。

以前、3-4-1-2システム考察記事内で

「コンテ監督が求めているのでチームのホロンになり得る人材=バレッラでは?」

的なことを説きました。

今回のデータ考察はそれを後押しする結果に。

まぁ、早い話が「万能」に限りなく近いんです。

「なんでもソツなくこなす」
ではありません。

「あらゆることに優れている」
です。今季ここまでのスタッツからはそう言い切っていいかと思っています。

では中身を見ていきましょう。

●前置きと内容

・前置き
本記事のきっかけとなったのは下記のツイート。

ツイートの伸びも嬉しかったのですが(僕の中では伸びた方なので)、それ以上にインテリスタのみなさんの反応。バレッラへの関心と期待に目が向きました。

というのも、本ツイートは僕が勝手に意義深いと思っているスタッツをピックアップしまとめたものですが、バレッラが最もトップの比率が多かった結果だったんですよね。

便宜上、「スタッツキング」というなんともネーミングセンスない冠を付けさせて頂きます。
実は昨季や一昨年はこの「スタッツキング」はブロゾヴィッチでした。

僕がnoteやTwitterインテル垢をスタートさせたのは2020年6月なので、記事やツイートにしている訳ではありませんが、以前アップしたスタッツベースで選手評価をした記事で”っぽい”内容がありましたので切り取って置いておきます。

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それが今季のセリエA第14節時点ではバレッラがスタッツキングの座を奪うことに。

ものすごい自分勝手な妄想をします。

インテリスタは肌感でなんとなく
分かっていたのではないか?

バレッラは昨季ですらマスターピースと呼べるパフォーマンスでしたが今季は端的な表現では説明できないほどの万能性でチームを支えています。

インテリスタのみなさんも当然それを肌で感じていて、スタッツという後押しがあったから、反響があったのかな、と。

しかし、ツイート本文にもありますが、バレッラは今季フィールドプレーヤーでは最も出場時間を得ているので累計のスタッツが上位に来るのは当然だし、この手のスタッツはボールに関わるプレーが多い中盤の選手が稼ぎがちです。

したがって、スタッツが真に活躍に値すると証明するには精度も見ていかないとなんですよね。

・内容
前置きが長くなって申し訳ありません!笑

本記事は先のツイートでご紹介したスタッツの精度、つまり成功率を確認し、

「実際のところバレッラは質もいいの?件のスタッツは量あってこその結果じゃないの?」

という当然かつ的確な疑問に対し、自分なりの解釈をアウトプットしたい!という内容になります。

●注意事項

✔︎ スタッツはセリエAのみを引用。チャンピオンズリーグは加味しておりません。

✔︎ツイートのスタッツは累計でしたが、本記事では比較の為、1試合平均のスタッツを用いています。

✔︎ツイートでは様々なスタッツをピックしましたが、今回は成功率を確認できる(試行回数とその結果がどちらも見れる)もののみを取り上げています。

✔︎スタッツはバレッラと同じ中盤の選手からブロゾヴィッチ、ヴィダル、ガリアルディーニ、エリクセン、センシ。
計6選手分を確認、比較していきます。
(ナインゴランはあまりに出場時間が少ないので除外)

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参考)6選手の試合数、スタメン数、出場時間


✔︎ 便宜上、出場時間数1046分でトップのバレッラを基準に、

その半分以上の出場時間を満たしているブロゾヴィッチ、ヴィダル、ガリアルディーニをレギュラークラス

満たしていないエリクセン、センシをサブクラスにカテゴライズします。

サブクラスは分母が少ないので1試合平均のスタッツ精度は荒いことをご周知おきください。

●ボール保持

ボール保持に関するスタッツから見ていきましょう。中心となるのはパス関連のスタッツ。

ⅰ)パス総回数

ⅱ)パス総成功率

ⅲ)パスによるボール前進距離(ヤード)

ⅳ)各レンジの成功率

の4点を確認します。

・FBref.com(データ提供はSTATS BOMB)によるパスレンジの定義
ショートパス▶︎5ヤード(4.57m)以内のパス
ミドルパス▶︎5~25ヤード(22.09m)のパス
ロングパス▶︎25ヤード以上のパス

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パスの総成功率、レギュラークラスだけで見ればわずかながらバレッラが最も低い値ですね。

これを

「なーんだ、バレッラはパスの試行回数が多いからボール前進パスやキーパスが相対的に多くなってるのね」

「バレッラと比較してブロゾヴィッチはチーム1の試行回数なのに成功率も中盤トップで安定してるなー」

見るのはNoと考えます(ブロゾヴィッチ単体の評価は妥当ですが、バレッラとの比較が危険)。

ここでタスクのお話。バレッラとブロゾヴィッチの攻撃タスクはものすごーく端的に表すと、「ビルドアップも崩しも」と「ビルドアップメイン」が最も分かりやすいかな、と。

どちらが良い!とかはないですが、タスク的にもポジション的にもバレッラの方がより相手の守備包囲網=プレッシャーの多いエリアでのプレーが多いはずです。
3-5-2の場合、バレッラは右IH。インテルが依存している右ビルドアップ側なので尚更。

ここで紹介スタッツが2つあります。

・アタッキングサードでのボールタッチ、プレス下でのパス回数
=どれだけ相手のプレッシャーが強いエリア、シチュエーションでプレーしているのか?

・FBref.com(データ提供はSTATS BOMB)によるプレス下でのパス定義
相手からプレスを受けている状態でのパス回数

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レギュラークラスの中ではバレッラが両スタッツで高い値、つまり最も相手のプレッシャーが強い中でプレーしていることが分かります。


・SCA(Shot Creating Actions)、GCA(Goal Creating Actions)
=フィニッシュワークにどれだけ貢献しているか?

・FBref.com(データ提供はSTATS BOMB)によるSCAの定義
シュート直前の2つのプレー関与。シュートに繋がるドリブル・パス・シュート(途中で味方が触ったり、ポストに当たったケースなど)、セットプレーからシュートに繋がった被ファウルを指す。GCAはそのゴールバージョン。

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こちらもレギュラークラスではバレッラがわずかながら頭一つ抜けているでしょうか。SCAはブロゾヴィッチと同数値ですが、GCAはバレッラがわずかにリード。

ただ、ポジションやタスクを考慮すれば、むしろブロゾヴィッチを褒めるべきかもしれませんね。
所謂レジスタながらその豊富な運動量と戦術眼でフィニッシュにも絡めるということですから。

相手の圧が強かったり、フィニッシュワークに
絡む機会が多いと相対的にプレー精度が落ちる。

はい。当然ですね笑

ずっとレギュラークラスで話を進みていましたが、サブクラスのエリクセンとセンシのスタッツを見るとよく分かります(繰り返しますがデータ精度は荒い)。

彼らのテクニックの高さはデータなんか見るまでもありませんが、よりフィニッシュワークに絡むタスクなので成功率的なところはどうしたって悪く見えてくるってことでしょう。
と、なるとバレッラの成功率はむしろ評価すべきだと考えます。

ボール保持におけるバレッラの評価と課題は以下の通りと考察します。

✔︎そのタスクやシチュエーションを鑑みればショート&ミドルパスの精度は高いと言える=たしかな質が伴っている。
✔︎ロングパスは比較的、圧が強くないシーンが多いハズなので精度のブラッシュアップが必要かも。
✔︎フィニッシュワークは結果が出ていると言えるが、もう一皮剥けて欲しいのが本音か。

●ボール非保持

続いてボール非保持です。
タックル、被ドリブル突破阻止、プレスの3項目が確認できます。

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これはもう見たまんまかな。


バレッラが全項目で1位という圧巻のスタッツ。

ちなみにタックルとインターセプトは「完璧に(綺麗に)ボールを奪ったスタッツ」と捉えています。
当noteでも2つを合わせて”ボール奪回”と表現したりするのですが、この”ボール奪回”の項目だとヴィダルがチームトップ
ヴィダルはパスブロック数もチームトップですし、パスを刈り取るスキルに長けていますね。

守備に定評のあるガリアルディーニのスタッツが散々なのは彼のプレースタイルに起因していると推察します。
絶妙のポジショニングで周囲と”面”をつくり、時には的確な”点”で対応。相手のプレー精度を落としたり、ミスやインシデントを誘発するオーガナイズドな守備はスタッツに反映されにくいのかなぁと。

ボール非保持におけるバレッラの評価と課題は以下の通りと考察します。

✔︎対人守備の性能は中盤随一。
✔︎欲を言えばインターセプトやパスブロックなど、相手のパスを刈り取るプレーがもう少し欲しい。


●おまけ

ドリブル突破の試行回数と成功数、成功率です。

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バレッラがすごい。

このグラフだけだと、一見どんぐりの背比べ感がありますが、1試合平均、実数値で1回以上ドリブル突破を保証してくれるのはドリブル突破が極端に少ないインテルにとって、大きいファクトです

今季のセリエA第14節時点において、インテルのドリブル突破成功数の累計はリーグワースト3位。
試行回数を積み重ねて尚、高い成功率を保っている選手は貴重。

その点でバレッラは優秀。ここはおまけということで枠を広げてセリエAの他チーム選手と比較してみましょう。

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本グラフは試行回数ベースなので累積で算出しています。

同ポジションで言えば、フィオレンティーナのカストロヴィッリが近しい試行回数でした。が、成功率は圧倒的にバレッラに軍配が上がります。

試行回数と成功率の両方で近しく、かつ、ポジションを問わないのであればアタランタのパプ・ゴメス、ユヴェントスのクリスティアーノ・ロナウドが参考になりそうです。もう少し頑張れば手が届きそう。

と、このように見ていくと、バレッラのドリブル突破のスタッツの凄さが分かりますね。

✔︎ドリブル突破すげぇ。

●おまけのおまけ(12/31追記)

表だけ作成して取り上げるの忘れてました笑

空中デュエル戦のスタッツ詳細です。

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こちらも重要なのは試行回数を積み重ねての勝率だと思うので累計で算出しています。また、せっかくなので全選手分、用意してみました。

ごめんなさい、ツイートしたスタッツでは空中デュエル戦勝利数15回でバレッラとラノッキア同率3位にしていましたが誤りでした。3位は16回でバレッラのみ、ですね。

ルカクとラウタロの勝利率を見るに、こちらもやはり相手のプレッシャーや体勢&態勢の不利有利の影響は大きそう。

となると、バレッラは可も不可もなくって感じかな?(他チームの選手と比べても見ても同様の感想です)
けど、ここは身長もあるので高望みできないですね。むしろ、試合に出続けてくれてしっかり競り合い、5割を越す勝率を叩き出してくれてることには一定の評価をしないといけない、と考えます。

✔︎空中デュエル戦はポジション、身長、継続性など様々を要素を考慮し、一定の評価を与えるべき。空中デュエル戦はそのポジションや身長を考えれば一定の評価を与えるべき。

ちなみに、ガリアルディーニはさすが高身長なだけありますね。脅威の勝率を誇るエリクセンも面白い!笑(試行回数が少ないので全く参考にならない)

●まとめと雑感

スタッツで見るバレッラの評価、まとめです。

✔︎そのタスクやシチュエーションを鑑みればショート&ミドルパスの精度は高いと言える=たしかな質が伴っている。
✔︎ロングパスは比較的、圧が強くないシーンが多いハズなので精度のブラッシュアップが必要かも。
✔︎フィニッシュワークは結果が出ていると言えるが、もう一皮剥けて欲しいのが本音か。
✔︎対人守備の性能は中盤随一。
✔︎欲を言えばインターセプトやパスブロックなど、相手のパスを刈り取るプレーがもう少し欲しい。
✔︎空中デュエル戦はポジション、身長、継続性など様々を要素を考慮し、一定の評価を与えるべき。
✔︎ドリブル突破すげぇ。

さて、インテリスタの方やセリエAに詳しい方、サッカーに精通している方が思い描く「バレッラ評」のイメージに割と近しい結果だったのではないでしょうか?
それを客観視できるデータで裏付けできたことは価値があったかな、と自負しちゃいます。

イメージに近しいと言えば、実は中盤の他選手もなんですよね。

ブロゾヴィッチのパス試行回数や成功率は彼のタスク評価を上げる一方で、致命的な被ドリブル突破の阻止率から、「やっぱり、スピードやフィジカルなどの質でゴリゴリ来られるの苦手なんだろうなぁ」と思ったり。彼の守備の得手不得手がパキッとしてるのが伝わりますよね。

ヴィダルは”ロングパス成功率が突出して良好”、”ドリブル突破の成功率は良いが試行回数が少ない”などを考慮すると、「おそらくバレッラが上がった際にうまくバランスを取っているんだろうなぁ」と思ったり。
少し矛盾した表現ですがバレッラと補完性のある万能性を感じます。が、そのタスクを考慮すると守備のスタッツはもう少し色が欲しいところ。

ガリアルディーニは個人的に最も興味深かったです。
パス成功率は無難ですが、総回数とボール前進距離が中盤の選手では群を抜いて低い。
やっぱり彼はクルソーレ的なタイプなんでしょう。「やっぱり、ボールを持って何かをするタイプの選手ではないんだなぁ」と再認識したり。

昨季ELファイナルでは後半、インテルは彼にボールを持たされたことでビルドアップがフリーズしましたがそれも納得ですね。
(これはガリアルディーニを貶めているのではなく、”そうさせた”セビージャを褒めています)

決定力があるのは今季のデータにも表れていますし、GCAが低い訳ではない=ゴールシーンには絡めているので機能はしていますし、彼の良さも出ているとは思います。
いやーガリアルディーニはスタッツで測りにくい選手ですね。面白い。

エリクセン、センシはデータの分母が少ないので何とも言い難いところではありますが、センシのSCAとGCAの高さはやはり目を惹きますね。
「試合に出ればシュートやゴールのシーンをとことん創る、とことん絡むなぁ」ってのがデータでも示されてますね。うん、実際のプレーともリンクします。

以上。

なんだかかなりマニアックな内容になってしまいましたが、バレッラだけでなく、他の中盤選手の特徴や評価も薄っすら見えたことは、非常に意義深いものではないでしょうか?
とは言え、あくまで考察ですのでひとつの解釈として捉えて頂けると幸いです。

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯

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