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【パーフェクトゲーム】セリエA20-21 第20節インテル−ベネヴェント レビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はセリエA第20節。シーズン後半戦開幕のインテル−ベネヴェントのマッチレビューです。

●選手起用

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・インテル選手交代
64分バレッラ▶︎ヴィダル
74分ラウタロ▶︎サンチェス
74分シュクリニアル▶︎デ・フライ
80分ガリアルディーニ▶︎センシ
80分ルカク▶︎ピナモンティ
・ベネヴェント選手交代
60分カルディローラ▶︎パスティーナ
60分ヴィオラ▶︎スキアッタレッラ
70分ヨニツァ▶︎テージョ
70分インプロータ▶︎フォーロン
76分カプラーリ▶︎インシーニェ

●前半−むしろ良かったベネヴェント

4-0というスコア。被シュートなんと0本=得点期待値も0。

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得点期待値はシュートチャンスを評価する指標なので、シュートがなければ当然期待値も0ですね笑
ちなみにインテルの期待値は1.66。オウンゴールをのぞく実得点は3なので期待値以上にゴールを決めました!素晴らしい決定力。
understatより引用。
(ちなみにFBrefはインテル1.8でした)

ということで、”完勝の中の完勝”って感じでしたが、後半ブラックアウトするまでのベネヴェントは決して悪くない、というかむしろ良かったです。

特に守備。ボール非保持は興味深いものでした。

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✔︎ヨニツァは前線と中盤を繋ぐ、中間的な位置取り。
✔︎ツートップと3枚でインテル3CBとエリクセンに圧をかけつつパスコースを切るのが基本。
✔︎その為、5-2-3(もしくはアシメの4-3-3)のような配置が多め。
✔︎中盤の2枚のタスクは変わらず。

重めのブロック守備+ゾーンディフェンスがベース。ハイプレスが目立ったシーズン前半戦とは対照的なアプローチですね。

もうすっかりお馴染みとなった”対インテル攻略法”にベネヴェントも乗っかってきたのでしょうか。
しかし独自の工夫はありました。5-2-3になった際の中盤2枚がポイント。

3枚の時とあえてタスクが変わらない

ヘテマイは対面のバレッラをしっかり監視、ヴィオラは中央に鎮座しつつ、適所でサポートに入ります。

これで何が起こるかと言うと、ガリアルディーニ(左IH)がちょっと浮くんですよね。

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インテルの左ビルドアップの不備は当然見抜いているでしょうから(もしかしたらその上でガリアルディーニだったから浮かせた、ってのもあるかもしれない)、

「ここをある程度捨てて、ビルドアップの入口と右の崩しのプロテクトに重きを置く!」

って算段だったと推察します。

自陣重めのブロックだったのでインテルがボールを持つのは必然ですが、ベネヴェントのアプローチは効果的でボール前進に苦心。

ベネヴェントは最終ラインのスライドもぬかりなかったので、ルカクに1+1でケアできていたのが大きかったですね。

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そんな中、インテルのスイッチとなったのはバレッラ。
持ち前の運動量でボールをハント。
持ち前の推進力でボールを運び、パスを縦に付け、自身も上がる。
多くのインテリスタの方も賞賛しているように本節”も”圧巻でした!

が、崩し切るまでには至らず。
スコアこそ1-0で優位でしたが、前半はベネヴェントのプラン通りだったように思えます。

難しい状況にあって、33分に個のインスピレーションとスキルでチャンスを演出したエリクセン(ハキミがヘッドを合わせ切れなかったシーン)には、今後の可能性が垣間見えました。

こういったプレーはエリクセンならではですね。今回のような引いた相手にはむしろブロゾヴィッチよりハマるかもしれません。

●後半−伏線回収、再び

ここで、インテルのボール非保持を取り上げます。

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✔︎バレッラが1列上がり、ベネヴェント3CBそれぞれをケア。
✔︎その為、3-4-3のような選手配置に。

相手が3CBだともはや定番化しつつ前からプレスの形ですが、本節はWBも積極的でした。

・本節のアタッキングサードのプレス回数は両WBがトップ
ハキミ➤17回
ペリシッチ➤9回(途中交代)

と言っても、上述の通り、ベネヴェントは自陣重めのブロック守備だったので攻撃に転じてもWBは低めスタート。
必然、インテルWBが高めで圧をかける割合が多かったことはスタッツと紐づいているはず。

ただ、それだけでもないかと。
特に右サイドに関しては即時奪回の志向も強めに見えました。高い位置でプレッシャー浴びせ続けることで相手GKの事故を誘うのは昨季のシャフタール戦を思い出します。

その裏をカウンターで狙われるシーンも散見されましたが、本節はリスクよりもリターンが上回りましたね。

今回も伏線は回収された

■僕はシーズン前半戦にプレビューを軽く呟いたのですが、その中でベネヴェントGKモンティポの足元を指摘しました。

■シーズン前半戦は見事に伏線回収。

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シーズン前半戦のレビューより抜粋。

■そして今回も。

インテルの3点目はモンティポのリスタートをラウタロがインターセプトしたことで生まれました。
ラウタロの頑張りも見逃せませんが、モンティポはあまりに不用意でしたね。

まぁ2試合ともモンティポにミスが出たのは偶然で、「これを最初から狙っていた!」は流石に乱暴ですが、本節のアクティブさから察するに、もしかしたら絵面はあったのかもしれません。

●後半−得点のストーリーが良き

これでベネヴェントの集中は切れたように見えました。

ボール非保持のタスクがぼやけ始めると、1列落ちるサンチェスの存在がパズルのラストピースになった感。ポジティブな数的優位が生まれるようになりました。

右で組織的にボールが前進できるようになるとベネヴェントに歪みが発生。78分、4点目のシーンはこの歪みをインテルが突いた形です。

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✔︎ヴィダルが外に膨らみ、サンチェスが降りる。
✔︎この際、グリクはまだ最終ラインにステイしているものの、前(サンチェス)への意識が強い。
✔︎ヴィダルが中に絞りシャドーの位置へ。
✔︎グリクが反応。実質ポジションチェンジ、サンチェスの代わりにヴィダルを捕まえに行く。
✔︎ルカクすかさず出来たギャップへ。サンチェスも呼応し、パスをジャストに通す。

ここまでの3点は流れの中で生まれたものではありませんでしたが、この4点目は一連のプレーに狙いがしっかり内包されたポジショナルプレー。

繰り返しますが、ベネヴェントは特に前半、割とプラン通りに進んでたゲームだったと思います。

しかし、

ⅰ)事故の側面はあれど、エリクセンのキック精度とラウタロの決定力が由来となり、局面を打破。

ⅱ)モンティポの足元問題を再現させる。

ⅲ)3点差でベネヴェントのプランが瓦解すると、そのポイントを的確に狙い撃った。

このストーリーを描いたインテルは手放しで賞賛ものです。

パーフェクトゲーム

この後のユヴェントス、フィオレンティーナ、ラツィオ、ミラン戦。
強敵、難敵ラッシュにこれ以上ない形で臨めそうですね!

・スコア
インテル4-0ベネヴェント
(7分インプロータOG、57分ラウタロ、67分ルカク、78分ルカク)

●雑感−データ覗き見

完勝過ぎて逆に書くことがないので、本節のデータで気になったものを取り上げてみます。皆さん興味がありそうなエリクセンについて。

先ずはxG chainというデータです。

・xG chainとは?
端的に説明すると、シュートに繋がった一連のポゼッションに関与した選手全員にxG(得点期待値)を割り当てて、シュートチャンスにどれだけ絡んでるか、貢献しているかを評価する指標です。

understatによると、両チームトップの値はエリクセンの1.0(ベネヴェントはシュートがないので全員0です笑)。

また、前項でご紹介した通り、本節のインテルの期待値は1.66。つまり、エリクセンは

90分で1点分のシュートチャンスに繋がるプレーの質と量
またそれは全体のシュートチャンスの実に6割

ということになります。

「おぉー!」とインテリスタの方のどよめきが聞こえそうですが、注意事項です。
紹介しといてなんですが個人的にxG chainは致命的な弱点が存在すると思っています。

ⅰ)一連のポゼッション全てに関与した選手に期待値を割り振ってしまうので、プレッシャー下にないパスや仕切り直しのバックパスをした選手も値を得ることができる。

ⅱ)ボールタッチ、パスの回数が多いレジスタタイプは必然、値を稼ぎがち。

・読まなくていい蛇足
その為、ここから派生して「じゃあ、効果的なパスを出した選手のみをピックアップしたら!?」とか「いっそ全部のポゼッションに値付けたらいいんじゃね!?」的な研究も進んでいます。が、僕は微塵も理解してない領域。どなたか教えてください…。

なので、いつも以上に「あくまで参考まで」でお願いします。

しかし、圧が少なかったとは言え、インテルの攻撃を司っていたことは実際の試合を見れば確かですので、数値で見ると安心感が生まれませんか?ということで、あえて紹介させて頂きました笑

同じ理由でレジスタタスクは値を稼ぎがちという前提はありますが、エリクセンは他のスタッツでもトップが目立ちました。
せっかくなのでブロゾヴィッチのシーズン平均と比べてみましょう。

・エリクセンがトップだった主なスタッツ:ブロゾヴィッチの平均
パス総回数 116:80.5
ボール前進パス 13:7.6
キーパス(*バレッラとタイ) 2:1.94
FBrefを参照。
パス系のスタッツは割とエリクセン無双でした

ポゼッション率がインテル61%とオンザボールの機会が多かった故、相対的にこういったスタッツは伸びてきます。
したがってブロゾヴィッチの値は参考にし難いですが、なんの比較対象もないのは流石に意味がない!と思ったので抽出してみました。

やはりいつも以上に、あくまで参(以下略

とは言え、数値で見れば安心感が(以下略

スタッツは積み重ねないと何とも言えませんが、それでもミラン戦のドラマティックなFKを経て、本節も及第点以上のプレーを披露してくれたことはデータ面からも疑いようがありません。

おそらく冬のメルカートは深夜のままクローズする可能性が高いので彼のフィットはなによりの上積みになりそうですね!

以上です。

最後までご覧頂きましてありがとうございました🐯

尚、第21、22節を目処にシーズン前半戦のデータ考察記事第2弾をアップを予定しています。
その為、コッパ・ユヴェントス戦のレビューは
スキップさせて頂きます(どうしても時間が足らず…)。

第1弾のGK考察記事よりも注力している記事ですので、是非ご覧頂けると幸いです!

FORZA INTER!!⚫️🔵


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