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【これぞ、グループステージ】チャンピオンズリーグ21-22 GS第3節インテル-シェリフ レビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はチャンピオンズリーグGS第3節インテル-シェリフのレビューです。

尚、私事で恐縮でございますが、10月から仕事が多忙となりまして…当面はカロリー低めの記事で失礼いたします。

尚、シェリフ戦に関してはプレビューを書いています。

”ありき”の内容ですので未読の方はぜひご一読ください!

●スターティング

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●実際の配置から見える両チームの狙い

インテル3-5-2vs4-2-3-1シェリフ。

互いに基本的なフォーメーションはあるものの、プレビューで予想した通り、試合の対局はボールを握り攻め続けるインテルvs徹底撤退守備で耐え忍び蜂の一刺しを狙うシェリフ、です。

この試合展開の中、実際はどのような陣形が主だったのかを見ていきましょう。

結論から言えば、本節はここに全てが詰まっていたと思っています。

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✔︎インテルはCB、特に左のディマルコの攻撃参加で兵量を確保
✔︎3−2−5ではなく、2−4−4のようなイメージ
✔︎シェリフは右SHブルーノが最終ラインに降りて5バック化
✔︎5−4−1(5−3−1−1)のブロックを組む

まずはアウェイのシェリフ。5バックの作り方に着目。

先の2試合ではボランチのアドかティルが最終ラインに吸収される形でしたが、本節は左SHのブルーノの役目でした。

中盤ではコロボス、アド、ティルがしっかりとラインを組み、状況に応じてカスタニェダも吸収されるような構成。

意図はどシンプルに考えるべきと思っていて、「先の2試合よりもカウンターの火力を犠牲に守備ブロックを強固にする!」でしょう。

・シェリフのプレスについて
アタッキングサードでの回数は18。全体のプレス回数は164、割合はなんと9%。極端に少ないパーセンテージで徹底して前から行かないことが読み取れます。
FBrefを参照。

こちらもプレビュー通りですが、シェリフとしてはドローでも御の字だったと推断します。

一方でインテルもまた、この試合にしっかりと標準を合わせてきました。

まずはすっかり今季の武器に昇華した左CBディマルコの攻め上がり。
シェリフの人数をかけた徹底リトリートに対抗すべく、インテルも後方の選手を上げて兵量を確保します。

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・ディマルコのクロス回数
52分に交代したにも関わらず、両チーム断トツトップとなる10回のクロス回数。攻撃参加を裏付けるスタッツです(2位はペリシッチとクリスティアーノの5回)。
FBrefを参照。

本節は相手陣内に押し込んだ際、5トップ化するのではなく、ツートップと両WBでの4トップ風味が印象的。

通常はトレンドをなぞる形。
どちらかのIHが前線ユニット入りして(主にバレッラ)、アタッキングサードで5レーンを埋めますが、本節のバレッラ&ヴィダルは中盤の位置を保つ場面が多かった。

目的はシェリフがばちくそにレーンを埋めたリトリートをしてくるので「ならばコンビネーションで同レーン上に数的優位を見出してやるぜ!」だと見ます。

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✔︎ジェコのポストプレーを中心に2列の攻め上がりを促す
✔︎レーンの縦移動で瞬間的な数的優位を確保
レーンを横ではなくて縦に使った

縦の入れ替わりはシモーネ流インテルの特徴(最近は薄れてきているけれども)。

しかし、今回は入れ替わりではなく『入れる』。前線を呼び水に局地的な数的優位を見出す手法。とにかく再現性がありました。

今回もしっかりとデータに現れております。

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・各選手の平均的な立ち位置を比較
画像上が本節、画像下がCL前節のシャフタール戦です。
前者は前線がツートップとWBの4トップ風味。ヴィダルとバレッラは横並びの関係であることが分かります。
対して後者はIHが斜めの関係。試合展開により具合に差はありますが、押し込む時間が長い試合はこれがスタンダードです。
SofaScoreを引用。

インテルの2点目。

高い位置でのポジティブトランジションが起点だったので”押し込んだ際”の条件には当てはまりませんが、要はポストプレーから2列目の飛び出しですからね。

毛並みこそ違いますがチームの意図が実ったと言えるでしょう。

突然ですが僕は本節のMOMにジェコを挙げます。

仮にゴール&アシストがなくても激推ししますね。『前線を呼び水に』の観点で彼は特別なマスターピースでした。

●ゴールは意図が結実

前項で「インテルの2点目はチームの意図が実った」と評しましたが、正確に言えば本節の全てのゴールが両監督の計算範囲内だったはずです。

アタッキングサードを効果的に攻略し続けることで深い位置でのセットプレーが増えること。

シモーネ監督は至極当然、ひとつのポイントに設定していたでしょう。

CKからの2得点はどちらも個人由来な側面もありますが、詰まるところは『狙いが結果に昇華したもの』

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シェリフもまた同様。

あのFKはティルのゴラッソですが(レアル戦のゴラッソといい長距離砲うますぎぃ!)、高速カウンターから良い位置でファールを引き出すのはユーリ監督の作意でしょう。

とはいえ、あのシーンではファールを与えてしまったことよりも、カウンタープレスで数的優位にも関わらずボールを奪い返せなかった点が痛かった。純度高めの落ち度ですね。

●無策ではない

被カウンターについては試合後のインタビューでシモーネ監督も言及していましたが、決して無策ではなかったんですよね。

重複になりますが本試合は、ボールを握り攻め続けるインテルvs徹底撤退守備で耐え忍び蜂の一刺しを狙うシェリフ、だった訳ですが、要所要所でこんな仕掛けが見られました。

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✔︎ブロゾヴィッチを中盤高めに
✔︎その分、バレッラorヴィダルが低めに
✔︎中盤の縦の入れ替わり

ブロゾヴィッチを高い位置に押し上げることで崩しのオーガナイザーになってもらうと共に、プレー強度が高いバレッラ・ヴィダルが被カウンターの担保に。

シェリフ戦のようにリトリートからの高速カウンターがメインのチームには実に理に叶っていると考えます。

ちょっとまだ効果が薄いというか”絵に描いた餅”感はありますが、この面でもヴィダルがハマってくるとなるといよいよチャルハノールは結果を出さないとヤバい気がしますね。

●グループステージ第3節

色々書きましたが、この試合の何が良かったかってインテルもシェリフも『チャンピオンズリーグのグループステージの第3節っぽい戦い方』だった点です。

2勝で勝点6を積み上げたシェリフはさらにリアリスティックな戦い方で臨みました。第3節のテーマは白星よりも黒星回避に重きがあったでしょう。

対してインテルはシェリフがその姿勢で来ることを想定し、大混雑の相手陣内を攻略する手段を用意してきた。

前線を呼び水に2列目の攻め上がりで縦にレーンを攻略。

もちろん従来もアタッキングパターンのひとつとして内包されていますが、手札を切る回数に相違がある

環境要因も鑑みたアプローチ

これぞ、チャンピオンズリーグ!

これぞ、グループステージ!

そんな一戦でした。

さぁ、この勝利でインテルは崖っぷちからようやく片足を脱することができましたが、シェリフが勝点6を積んでる以上、次節も勝利がマストです。

試合の基本線は十中八九変わらないでしょうから、両者ディテールをどう詰めるかが勝負の分かれ道でしょうね。

レビューを書く時間と気力があったらここに焦点を当てたいと思います。

FORZA INTER!!⚫️🔵

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