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【新しく、そして、再び】セリエA21−22 第1節インテルvsジェノア レビュー

こんにちは!TORAです🐯

ついにセリエA開幕!
オープニングゲームのひとつとなったインテル-ジェノアのマッチレビューです。

今シーズンもよろしくお願いいたします。

●まえおき

昨季スクデットを獲得したのにも関わらず、コンテ政権が終焉し、ルカクとハキミという戦術のキーマンを放出せざるを得なかったインテル。

えげつない状況下で、新シーズンはどのようなサッカーをするのか。できるのか。

まずは全体像を掴みたいので、本レビューはインテルにフォーカスを当てて、試合展開を追うのではなく、試合の大枠を取り上げます

PSM(プレシーズンマッチ)での考察記事を書いているので、未読の方は是非!
本記事はこの考察記事ありきで進行いたします。

●選手配置

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・インテル選手交代
69分センシ→ヴィダル
69分ペリシッチ→ディマルコ
77分チャルハノール→サトリアーノ
77分バレッラ→ヴェシーノ
84分バストーニ→ダンフリース
・ジェノア選手交代
46分カンビアーゾ→サベッリ
46分エルナニ→ビアンキ
46分ビラスキ→セルぺ
54分カロン→ファヴィッリ
71分ストゥラーロ→メレゴーニ

●流動性と復元性のボール保持

開幕戦となった対ジェノア戦はストレートにPSMの内容を仕上げてきた印象です。

システムも直前のディナモ・キエフ戦で採用された3-5-1-1。センシを1.5列目に配置し、選手の動的な入れ替えでポジショナルに崩すスタイルです。

本節目立ったのはIHが膨らみ、前線が降りるパターン。

ジェノアは明らかに四苦八苦してました。特にチャルハノールセンシはめっちゃくちゃ効いてましたね。

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✔︎右サイドでのスローイン
✔︎膨らんで大外に逃げ道を作るチャルハノール
✔︎ロヴェッラが付いていく
✔︎空いたスペースにセンシが降りてボールを引き出す

このシーンではジェノアCBビラスキがセンシに付いていって、ファールで潰して対応しましたが、その後のリスタートで似たような展開からチャルハノールがチーム2点目を決めます。

誰がどう見てもゴラッソでネットを揺らしたのは個人由来が強いですが、下地となったのはチームの再現性。早くも『秩序』を感じられる点はシモーネ監督に拍手を送りたくなります。

『秩序』と言えば、繰り返し言及したくなるのが選手配置。フォーメーションです。

選手という中身は超フレキシブルに動くけど、フォーメーションという大枠はカチッとしている。流動性と復元性の高さはコンテ政権よりも色濃いと考えます。

なんだかんだで、こんな配置になることも。

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✔︎運ぶドリブルからのインナーラップで前線に陣取るバストーニ
✔︎チャルハノールはやや低めでビルドアップと被カウンターの保険に
✔︎バレッラがアウトレーンでボールホルダーに
✔︎インサイドはダルミアンが埋める
✔︎結果、保持時の3−2−5はしっかり保たれている

バストーニの前線化は目立ちましたね。笑

コンテ時代もありましたから「シモーネ体制でここまで上がるようになった!」というわけではありませんが、積極性に少なくない差異を感じます。

この組織化が意外性をもたらし、相手に混乱を与えますが、ここで重要なのは「その上でパスがしっかり繋がっている」という点。

・本節と昨季シーズン平均のパス回数比較
本節563回(試行630回): 昨季平均487回(試行568回)
試行回数は個人的に500回が多いor少ないの基準値と捉えています。
ちなみに630回だとリーグで3本の指に入る多さと思って頂いて大丈夫です。
FBrefを参照。
超フレキシブルに選手を入れ替えてもパスが出せる、繋がる。

これは復元性の質の高さを示すひとつの微証になりそうです。

とはいえ、結論に導くには強豪やハイプレスに長けたチームとの戦いで通用するかどうかを証明する必要はありますけど。

ちなみに余談ではありますが、昨季序盤インテル(3−4−1−2時代)も600回を越えるパス回数と高い成功率を誇っていました。トラウマ払拭なるか…!?

●懸念は「頑張り度」と被カウンター

選手配置が巧みであるということは、それだけ身体も頭もフル回転しているということの裏返しでもあります。

考察記事の通り、シーモ体制では左右CBが膨らんで、上がるのでWBが押し上げられ高い位置を取ることが多い。

その分のビルドアップは「中盤が頑張る!」度が増したことで賄っています。

特にブロゾヴィッチは後述しますが、物理的な走行距離が嵩張るのも避けられず、かなりブラックな職場環境です。19-20シーズンもだったけれども。

本節は中盤だけでなく、ジェコも中盤に降りてボールを引き出し、選手入れ替えを促進させるシーンも散見。時には底まで降りることも。

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・本節の走行距離に関するデータ
ブロゾヴィッチは本節約13kmの走行距離。昨季の1試合平均は11.9kmでリーグ1位だったので、相対的に「走った!」と言える試合ですね。
しかし、真に着目すべきはジェコの走行距離だと考えます。スプリントもしっかりしてますしね…!
セリエA公式HPから引用。

WBが高めのアウトレーンにいることで、相手のWBを低めに位置させたり、引っ張れる

これが中盤の入れ替え活性化にも繋がっているので、問題はなく、むしろ至極正しい設計なのですが、素人目で見ても、明らかに昨季よりも消耗が激しいであろう中盤に一抹の不安を感じます。

インテルは昨季5人交代制が特に優位に働いたチームだと思っていますが、今季もしゃぶり尽くす必要がありそう。

続いて、なんと言っても『被カウンター』
多くのインテリスタが心配する通りだと思います。

両WBが高い位置を取るということはそれだけ被カウンターのピンチを招きやすい。それに加えて、インテルは選手が本来のポジションにいないケースも多いわけですから尚更です。

バストーニやシュクリニアルが上がった際、
その同上レーンを狙われるリスクの高さ

まぁこんなことシモーネ監督が、チームが気づいていないはずはありませんので、どう折衷するかが非常に楽しみです。

3バックシステムが流行ったEURO2020で例えてみましょう。

ⅰ)ドイツのように割り切る。

ⅱ)オランダやベルギーのように片側に攻撃的な選手。逆側に守備や安定を計算できる選手を配置してタスクのバランスを取る。

ⅲ)デンマークのようにWBの『つるべ式』で物理的な配置のバランスを取る。

現状のインテルはⅱですね。

保持時に擬似的WGタスクで自身の攻撃ポテンシャルを最大発揮できるペリシッチを左に、オフザボールに長け、”空気が読める”ダルミアンでタスクのバランスを取っています。

が、これはダンフリースの加入タイミングによる消去法感があるでしょう。

ダンフリースは間違いなく右WBのファーストチョイス目的で獲得していますから(フィットする、しないは別問題)、完成形にシモーネ監督が何を描いているかは要注目です。

●ハイプレスの肝は強度

さて、前項の”ブロゾヴィッチが物理的に走行距離が嵩張る”の理由ですが、答えはシンプルで「前からプレス時にブロゾヴィッチが上がるシーンが増えたから」です。

PSMディナモ・キエフ戦は傾向少なめでしたが、本節はPSMパルマ戦よろしく、積極的でした。

ジェノアは立ち上がりが4バック風味。14分の2失点目からは3バックに回帰。大半の時間を3バックで戦ったので、3バックに対するインテルのアプローチを見ていきましょう。

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✔︎3バックにはバレッラが上がることで、それぞれマークにつく
✔︎バレッラのスペースはブロゾヴィッチが上がることでケア

バレッラが上がり、3バック全員にマークが行き届くことで、左右CBの時間と選択肢を奪います。

設計自体はコンテ政権から続くお馴染みのやり方ですが、ブロゾヴィッチが位置する高さとボールの奪いどころに変造を感じます。

加えて、ジェコの位置取りや誘導も印象的でした。ぶっちゃけルカクよりもいい気が。当然、1試合では判断できっこないですが。

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✔︎バレッラの位置にブロゾヴィッチが上がることで、サイドに追いやった際に『面』で守れる
✔︎ジェコの位置取りやサイドへの誘導もGOOD

”クリティカルを許した”時を除くと封殺と呼んでいいレベルでジェノアを困らせましたが、それを支えたのは論理的で堅苦しい『設計』以上に、素直に『強度』の面だと考えます。ここは穿って見る必要はないかと。

後半の特に頭にジェノアがボールを持てたのもインテルが明らかに強度を下げたのが要因ですしね。

スタッツ的なところで言えば、走行距離が示すようにブロゾヴィッチとジェコは走りましたし、実際のプレー面から窺える強度はやっぱりバレッラ、そして途中交代のヴィダルの名前を挙げたいです。もう十分理解しているんですけど、このトピックスだと取り上げざるを得ない。

特に目立ったのは2次的なプレス

パスを捌かれてもすぐにセカンドプレスをかけて、とにかく「1+1」の状態を保つ

シモーネ政権では特にサイド→インサイドへのパスに対して、厳しく行く傾向が見られたので、バレッラとヴィダルの献身性と強度は光っていました。バレッラなんかは時には逆サイドまで付いていっていましたからね。笑

と、ベタ褒めしていますが”クリティカルを許した”要反省なケースもありました。

具体的に言えば、ジェノアのファーストチャンス(カロンのシュート)はブロゾヴィッチがロヴェッラからのボール奪回に失敗して、入れ替わってしまったことが原因ですし、MF-DFのライン間を狙われて綺麗にパスを通されたシーンもありました。

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✔︎最終ラインに降りたパデリから、膨らんで浮いたビラスキにロブが通る
✔︎チャルハノールとセンシが詰めるもパンデフがレーンを横断して、ライン間でパスコースを創造
✔︎尚、ブロゾヴィッチはチャルハノールの裏を取ったロヴェッラに対応したので、パスコースを切れなかった。

この後は逆サイドに展開され、インナーラップしたクリーシトがカロンにスルーパスを送りますが、デ・フライが冷静に抑えたのでラインを割りましたが、めちゃくちゃ綺麗に崩されました。

このシーンに限らず、斜めの楔が綺麗に入るシーンは何度かあったので練度を高めていきたいですね。

●雑感

勝って兜の尾を締める的な構成にしましたが、白状するとニヤニヤが未だ収まりません!

シモーネ・インザーギ新監督の元、シモーネ流で既存選手はもちろん、新規加入選手が超プレゼンスを発揮する。

ジェコはルカクのそれとはまた違うスキルフルなポストプレーで流動性を底上げしてくれましたし、チャルハノールは個人的にMOMです。
彼は本当にチャンスメイクの鬼ですね。使う技術だけでなく使われる技術も高品質だからたまらない。

両者とも記憶だけでなく、記録に残った点も見逃せません。

サポーターの方にお叱りを頂戴するのは覚悟の上ですが、本節のジェノアは正直、点差通りのクオリティでした。

正直、本レビューがインテル目線に偏重なのはジェノアのサッカーがまだ形になっておらず扱いにくかったという側面も。

ですが、それを加味したとしても、インテルの素晴らしい過程と結果は、変に謙遜せず受け止めていいと思っています。

ようやく後ろを振り返らずに胸を張って進んでいける

新しく、そして、再び

周囲の声もなんのその。インテルは「新しい形で再びスクデットを狙う」

そんなメッセージが聞こえてくるかのような本節に、期待が生まれ、応援しようという気持ちがさらに強くなりますね!

FORZA INTER!!⚫️🔵



・・・とはいえ、まだまだまだまだ期待値を無理に上げませんけどねwww

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯


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