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【リバーシゲーム】チャンピオンズリーグ21-22GS第1節 インテル-レアル・マドリード レビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はついに開幕した21−22シーズン!チャンピオンズリーグGS第1節インテル-レアル・マドリード(以下、レアルと記載)のレビューです。

●選手起用

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・インテル選手交代
55分ダルミアン▶︎ドゥンフリース
55分ペリシッチ▶︎ディマルコ
65分ラウタロ▶︎コレア
65分チャルハノール▶︎ヴィダル
84分バレッラ▶︎ヴェシーノ
・レアル選手交代
65分バスケス▶︎ロドリゴ
80分モドリッチ▶︎カマヴィンカ
90+1分ヴィニシウス▶︎アセンシオ

●前半-配置とタスクを重んじる保持

CL初戦。相手はあのレアル。

観戦にも気合が入って事前に予習をしていたんですが…

前半は全く参考になりませんでした!

では、どうだったのか。まずはビルドアップから見ていきましょう。

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✔︎4バック+アンカーのカゼミーロのW型で押し上げる
✔︎そこにモドリッチ、バルベルデが絡み多角形を形成

中盤がCB横に降りて、SBを上げるようなことはしません。

ポジションチェンジも消極的です(モドリッチ⇄バルベルデはちょこっとあった)。

「話が違うんですけど!!!」

予習記事を見てこう思われた方、本当にすみません!
でもでもでも僕だって同じようツッコミましたよ!こうなるとは思ってませんでしたから!笑

で、前半は「なぜそうなったのか?」に焦点を当てたいと思います。

まず押さえておきたいのはアラバがCBナチョがSB起用だったこと。

ナチョがSBもできることはマドリディスタの方以外でも認知されていると思います。そして、攻撃性能が高い選手じゃないことも同様に知られていますよね。

・読まなくていい蛇足
ちなみにナチョの「スタッツ傾向が似ている選手」はサミール(ウディネーゼ)、シュクリニアル、トロイなどだそうです。
まさかのシュクリニアル
FBrefを参照。

ということで、はじめからレアルは左SBを押し出すつもりはなかったんでしょうね。

その分、ヴィニシウスを高めに固定して崩しの局面に専念して欲しかった。

ビルドアップの中心であるモドリッチがCB横に落ちる必要なし

これがダウンスリーもポジションチェンジも少なかった、つまり動的配置が少なかった理由でしょう。

一方で、右サイドはまた趣が異なります

ナチョと違い、SBのスペシャリストであるカルバハルは相対的に高めでした。
いや、高め配置というか「ハーフライン超えたら積極的に上がってね!」って感じ。

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なので、ミリトンとバスケスはリスク管理意識が高いように見えました。特にバスケスは黒子役でカルバハルの攻め上がりを促すポジションやムーブが目立ちましたね。

まとめると、フォーメーションという配置と選手特性によるタスクを追求したようなボール保持。

左右のディテールをしっかりと感じられた点にアンチェロッティ監督の采配を感じます。

この辺は選手の平均的な立ち位置を表すデータにもしっかり反映されていました。

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・選手の平均的な立ち位置
ヴィニシウス(20番)高め、バスケス(17番)低め、ミリトン(3番)低めの傾向がはっきりと現れています。
sofasocreを引用

●前半-前からプレスを諦め、カウンターに移行するも

この保持に対するインテルのプランも確認しておきましょう。
まずは前からプレス。

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✔︎ジェコとラウタロはレアル中盤のパスコースを切りながらCBを睨む
✔︎ブロゾヴィッチは上がりカゼミーロを捕まえる
✔︎MF陣がスライドして、対面マークと『+1』ができるような立ち位置に
✔︎ダルミアンはヴィニシウスを警戒する指示が入っていた?

3−5−2と4−3−3はシステム上、DH(中盤底)以外はガッチリ噛み合いますが、インテルはブロゾヴィッチが上がって中盤底のカゼミーロを捕まえに行ったのでかなりマンツーマン風味でした。

でもどこかでリスクマネジメントは必要。
それがどこかと言うと、ツートップとMF陣のスライドでした。

ジェコとラウタロはレアルCBがボールを持つのは許容する代わりに背後の中盤のパスコースを切りに注力し中盤の負担減を図りました。

また、図解を例にすると、チャルハノールとペリシッチがスライドして対面の選手たちをマークすると共に、局面で『+1』ができるような配置を取ります。

マンツーマン(風味)プレスにおいて、ボールホルダー逆サイドの選手を浮かせるマネジメントは定石中の定石。
特別なことではありませんが、だからこそ良き。

ただし、ダルミアンのところに気づきがありました。

ダルミアンだけ優先順位がヴィニシウスだったように見えたんです。シュクリニアルと一緒に彼を見る

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もちろん上がってナチョに圧をかけるシーンもありましたが、バレッラに受け渡したり、まるっと放置しちゃったりする場面も散見。

ただしこれはダルミアンを責めるポイントではありません

十中八九、「ヴィニシウスへの警戒+SBがナチョなのである程度の許容があった」ことに起因するでしょう。

実際、昨季は右WBハキミがSBに猛烈プレスを仕掛け、後方の数的優位を崩したところで失点したシーンもあったので管理したい気持ちは痛いほど分かります。

むしろダルミアンは繊細なタスクをしっかりこなしていた。

しかし、インテルのリスク管理は、レアル目線に置き換えれば『設計の緩み』とも取れる。

ナチョをしっかり活用し、インテルの前からプレスを削ぎ落としていきました。
ここは単純にレアルが凄かったです。

よって、徐々に前からプレスの強度や頻度はデクレッシェンドに。

5−3ブロック→カウンター

『昨季最大の武器』を非保持のメインに据える

完全に前任っぽいサッカーでしたが監督が変わっても発動できる点はポジティブに捉えていいでしょう。

個人的にこのプラン変更に意見は微塵もないのですが、こうなると今夏去った戦術破壊兵器が頭をよぎっちゃうんですよね。。

そして、これは後半にフラグを回収することとなりました。

●前半-定まらないレアルの前からプレス

話はかわり、今度はレアルの前からプレスに着目します。

振り返ってみても、ここがちょっとクエスチョンが拭えないんですよね。
なんでこんな設計にしたんだろうか。とりあえず確認してみましょう。

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✔︎前線3枚は3CBにそれぞれ付く
✔︎アンカーのカゼミーロが前に上がることは少ない
✔︎イコール、ブロゾヴィッチ番はなし

前項でも少し触れましたが、3−5−2と4−3−3は中盤底だけ噛み合わないんですよね。

インテルはブロゾヴィッチを物理的に上げてマークを付けましたが、レアルはその選択をしませんでした

誤解がないように申しておくと、これ自体は悪い選択ではありません

ブロゾヴィッチが上がれば、最終ラインとの間にスペースが生まれますしね。開幕戦では不調のジェノアに何度か良い形で通されましたし。

ただ、そうであればIHなど他の誰かが受け持つべきなのですが、前半途中までのレアルはここがなんとも曖昧。

なので、ベンゼマがブロゾヴィッチへのパスコースを切れなかっただけでボールが渡ります。
おかげでインテルの心臓はここぞとばかりに仕事をして、血液を身体全体にポンプ。

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・ブロゾヴィッチのパス成功数
なんとジャスト100回で両チーム1位。1試合で100回パス成功させるって相当な値です。しかも、これだけ蹴って成功率も91.7%と高精度。
尚、全体の2位はモドリッチ73回、3位はデ・フライ、カルバハルの64回。
FBrefを参照

特にヴィニシウスの裏というか、モドリッチの脇というか。右のハーフ&アウトレーンは明確な狙いどころでした。

当初は『昨季お馴染み、今季アクセント』の中盤L字型を最初からやってる?と思いましたが、単に狙いどころだったので自然とこの配置になったと考え直し。

さて、いくつかの決定機があったように、①5−3ブロック→カウンター、②右ハーフ&アウトレーン攻略は非常に功を奏していました。

完全に優位だった前半にネットを揺らせなかったことがインテリスタ最大の『唇噛みポイント』、昨季のCLがフラッシュバックされますね。。

少し巻き戻しますが、前半35分くらいからはレアルも修正。

バルベルデがモドリッチと左右を入れ替え、ブロゾヴィッチ番に就任しました。
が、前半はまだ全体のソリューションが整理されていないのかそんなに効果はなかったかなと。

前半は。

●後半-ギアチェンジのレアル

立ち上がりからレアルは”らしい”ハイプレスを敢行。
明らかにギアを入れ替えてきました。

引き続き、バルベルデ(左に戻ってた)がブロゾヴィッチ番。モドリッチはバレッラ、カゼミーロはチャルハノールをそれぞれ捕まえてインテルの選択肢を削ぐ。

ここで「そりゃズルくない!?」と思ってしまうのがヴィニシウス

前項のようにダルミアンのアプローチのように特別対策が取られる破壊力を持つ選手なのに、守備も献身的なんですよね。

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・ヴィニシウスのプレス回数
両チームトップとなる30回を記録。FBref基準で1試合30回のプレス回数って滅多に見ない値です。
FBrefを参照

いや、チート過ぎませんか!?

閑話休題。

ハイプレスに絶賛苦戦中のインテルは明らかに旗色が悪くなります。

この流れを受けてか、公式戦4試合にして『選手交代が早い』と浸透した感のあるシモーネ監督は後半開始わずか10分で動きました。

両WBをチェンジ。

さらに、ヴィダルとコレアを投入して『中盤L字型』を発動。

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✔︎ヴィダルがブロゾヴィッチに並ぶような位置に降りる
✔︎バレッラは少しだけ高めに
✔︎中盤がL字に

ヴィダルが降りることでカゼミーロに「どこまで付いていってどうマークを引き渡すのか」の再設定を迫るのと、DF-MF間のトラフィックを減らすが理想だと考察しています。

代償として後ろに重くなるので、前を向いて運べる・決定的なパスを出せるコレアの投入も理にかなっている。

実際、セリエA2節ヴェローナ戦ではこのシステム変更が機能し、終盤に逆転弾とダメ押し弾をコレアが決めました。

なんですが。

現実はこうでした。

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深くまで押し込まれてるし、前重心でガッツリ来られているのでカウンターの加速器となる前線がいとも簡単に潰される。

予習記事で

「インテルの右WBにドゥンフリースがいかにフィットするかが今後の分かりやすい伸びしろ」

と記載しましたが、理由はここにあります。

結局、インテルが重心重めのブロック守備で守るなら、フィジカル的な質的優位でブースター役になれる存在や、それを受けてのカウンターの先鋒となるべき存在がいないと厳しい。

自陣深くで構えて奪るので、その怖さがないと前重心で思いっきり来られますからね。

「では、レアルほどの質を持ったチームが思いっきり来るとどうなるのか?」

その答えが後半のピッチで生まれた事象でしたね。悔しいぜ。

●後半-『3−2−5』で殴り続ける強さとエッセンスの注入

後半のレアルはもう押し込んだ際の配置である『3−2−5』を保ったままで殴り続けていた感があります。

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✔︎右SBカルバハルが高めに位置
✔︎中盤も1名上がり(モドリッチが主)5レーンを占有

あくまで机上の表記ですので場面ごとに3−3−4だったり、4−3−3にも戻ります。

が、ベースはこの3−2−5のままの保持でしたし、トランジションが起きても保持の数的同数を活かした即時奪回を行っていました。

これもまた、インテルが自陣回復できなかった証明

この時間帯に目を惹いたのはバルベルデ

カウンタープレスは凄いわ、プレスバックは凄いわ、球際は強いわ。
かと思ったら狭いエリアでも的確にパス捌くし、挙句一人でボールを運んじゃう推進力も。

詳細は省略しますけど、終盤はベンゼマと組んで最終ラインへの前プレ係もやってたし。

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彼の存在は、前重心を続けられる、3−2−5を保ち続けられる。
その理由の大きなウェイトを占めている印象を受けました。

そして試合を決定付けたのが途中交代で投入されたロドリゴとカマヴィンガ。

個人的にはロドリゴにまたもやられた!とは思ってなくて、カマヴィンガにやられたと思っています。

あのスペース侵入と「はい、ボレーしてね!」と言わんばかりの優しいラストパスは才能しか感じませんね。

終盤のあのタイミングでモドリッチと違うタイプの選手でエッセンスを注入して結果を出す。アンチェロッティ監督とそれに応えた若武者、天晴れ。

この一連の流れをインテル目線で見てみると気がつくことがあります。

真逆の事象

前半は課題だらけ→後半に修正→交代選手が結果を残す。

これってインテルからすると180度の展開ですよね。
まるでリバーシ(オセロ)のよう。

前半は優勢→後半に課題→修正できず交代選手も結果を残せず。

その中でインテルはネットを揺らせず、レアルは揺らした。
そんなゲーム。

それにしても有望若手選手に一発を浴びるのはインテルの伝統芸ですねぇ。

・スコア
インテル0−1レアル・マドリード
(89分ロドリゴ)

●雑感-下地が違う

昨季も思いましたが、インテルとレアルではチームとしての下地が違いますね。
いや、ボーダーラインが違うって言ったらいいのかな?うまく言語化できません。

レアルは元々の土台が強固なので試合中のアジャスト力が高い。ゆえ、アンチェロッティ監督のプランをしっかりと体現できる。

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この辺は監督とか選手という”点”を超えて、チームとしての総合力という”面”のお話だと思っています。

話を戻しますが、我が軍もスクデットを獲得して自信をつけましたが、まだ足りなかったようですね。

とは言っても、こちらにも弁解があります。

スクデットを取ったのに、なぜか優勝監督も大エースも右サイドの破壊兵器もいないんですから!

というわけで、ここは諦めて、シモーネ監督と共に少しずつ積み直すしかありませんね。

●雑感-ドゥンフリースが鍵と考察

良い機会なので、後に言い逃れができないように繰り返しで残しておきます。

いかにドゥンフリースがフィットするか

僕はこれが今のインテルに最も効き目のある即効薬と睨んでいます。

上述の通り、ダルミアンは繊細なタスクを堅実にこなしてくれるいぶし銀ですが、逆を言えばスペシャルなところがありません。

いや分かってはいるんですが、レアルのようなチームと対戦すると強調されるんですよね。

26分頃にラウタロのスルーパスにダルミアンが裏抜けできそうなシーンがあったと思いますが、あれも「ドゥンフリースだったら先に回収できたのでは…!」と思ってしまいました。

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ダルミアンのいぶし銀なところはWBでNo.1だと思っているので、現状外せないのは十分理解しているんですけどね。

ただ、ドゥンフリースは戦術破壊兵器になり得ますし、逆サイドからのクロスターゲットにもなれるオンリーな存在(後半にいいのがありましたね、ファールだったけど)。

いち早く計算できるようになって欲しいです。

以上!

いやぁ、久しぶりにレビュー書くのがしんどかったです。本当レアルには勝てませんね…今日はやけ酒します。

リーグもCLも次は絶対勝利でお願いしますよ!!!
FORZA INTER!!!⚫️🔵

尚、セリエA第4節ボローニャ戦のレビューですが、諸事情によりお休み予定です。
楽しみにしてくださる方が万が一いらっしゃったら申し訳ございません。

もしかしたら、簡易スタッツレビューをするかも!最近スタッツを放置しがちですし笑

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯

●マドリディスタの方のレビューをご紹介

マドリディスタ目線のレビューです。

個人的に新しい気づきが多々ございまして、非常に学ばせて頂きました!

インテリスタのみなさんも是非!ご覧くださいませ。

もしサポートを頂戴した場合はサッカーのインプットに使用し、アウトプットでお返しできるよう尽力いたします。