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日刊「赤旗」休刊近し⁉ 6月から減ページ、週刊「日曜版」は値上げ…「党財政の根幹」だったはずが赤字拡大のお荷物へ~苦悶の日本共産党


【画像① 日刊「赤旗」は通常14ページ(日曜付、月曜付、祝日翌日付は12ページ)が14ページと減ページとなる。バラ売り価格と月購読料は”据え置き”と言うが、事実上のステルス値上げである。原因はエネルギー料金高騰の影響を受けやすい新聞用紙代の値上がりなど、発行維持コストの上昇だ。ちなみに日刊紙だけで見ると月1億円の赤字を出しているのだと言う。】





◆「弱者の味方」日本共産党も背に腹は代えられなくて…




日本共産党が6月、党機関紙「しんぶん赤旗」日刊紙について減ページし、週刊の日曜版の購読料値上げに踏み切ることにしたという。「弱者の味方」を標榜してきた日本共産党も、昨今のエネルギー料金高騰を始めとした物価上昇によるコスト増で、これまでの党勢の減退もあいまっての”赤字垂れ流し”に耐えられず、背に腹は代えられない事情で今回の措置を決めたようだ。


実は、日刊紙の減ページは昨年1月にも行われており、通常16ページだったものが14ページに減らされていた。来月はさらに2ページ減らして12ページになるのだという。ちなみに、昨年9月には日刊紙購読料は過去最高の500円値上げにより、月3497円になっている。これは”据え置き”だというが、減ページは実質上のステルス値上げというべきものだ。


実は、日刊「赤旗」は相当以前から”赤字体質”だった。筆者(篠原)が「赤旗」の拡大や配達・集金の最前線に近い党地区委員会で勤務していた頃(1980年代半ば)でも、当時40万部前後(週刊の日曜版は200万部以上)あったにも関わらず、上級機関からの指導の際に訓令的に通達されていたのは、「日刊『赤旗』が毎日読者のに宅配する新聞として採算がとれるようにするには、100万部前後の部数になる必要がある」ということだった。



【画像② 日本共産党指導部はさかんに末端の支部、党員に至るまで「赤旗」購読の拡大の尻たたきをし、幹部も自らその”最前線”に出て鼓舞してきた。しかし、そもそも紙媒体そのものが世間的に衰退し、一般新聞も軒並み購読・発行部数を大幅に減らしている中、「赤旗」だけが増えるなどということはない。”長期低落”傾向は免れず、1980年代に300万部代だった購読数も現在では90万部を切るところまで落ちている(日刊、週刊合計)。写真は、「赤旗」に掲載された”購読拡大の先頭に立つ”小池晃書記局長。】





◆共産党組織の大半の活動が「赤旗」の配達・集金基軸




一方、かつてのカリスマ的指導者・故宮本顕治氏(1950年後半から書記長⇒委員長⇒議長⇒名誉議長として約半世紀にわたり党最高権力者として君臨)が考案して最盛時は200~300万部近くの発行数だった「赤旗」日曜版は、週刊としても日本有数の部数で党財政への貢献度は高かった。そして、日刊の赤字分を日曜版が上げる収益で補うことがずっと行われてきたのだ。


しかし、共産党の都道府県委員会から地区委員会に至るまでの党の活動(業務)の大半は、日刊「赤旗」の集配・配達に手を取られているのが実態だ。例えば、地区委員会(全国で300くらい、ほぼ衆院小選挙区と同数で配置されている。実質上、他党の総支部にあたる規模で、事務所を独立採算で維持する)は、新聞休刊日以外の毎日、早朝3時~4時に担当地域分の日刊紙が届くので、それを更に宅配の配達担当支部毎に仕分けして地域に分散配置された集配ポストに自動車などで届けて回る。各支部の配達担当者(党員が専任か交代でやる)は、そこから朝5時~7時までの間に自分の担当部数を受け取って読者に宅配するのである。


昔は地区委員会では勤務員が複数体制で、早朝の日刊紙受け入れや集配ポスト届けも交代体制がとれたが、現在は1人体制のところが多いと聞く。そうなると、たった一人の党勤務員が早朝から動きまわり、午前中には仮眠をとらざるを得なくなるので共産党地区委員会はほとんど仕事が出来ないことになる。しかも、その後も配達漏れの苦情受付で、新聞届けや点検活動、月の下旬には集金のための領収書発行とその仕分け、そして支部がやりきれない分の戸別配達や集金もある。


おまけに水曜から木曜には、日刊紙よりもはるかに部数の多い日曜版が事務所に届き、これも配達担当支部に仕分けして届けることになる。都道府県委員会では、各地区委員会に対してこれだけの業務が毎日、滞りなく出来ているかどうかを確認し、さらに読者の購読中止状況の把握と、それを上回る数の購読拡大が実施されるよう、地区委員会や各地の地方議員の”尻たたき”をすることに忙殺される。実質、他の党活動や住民運動への関わりは、「赤旗」に関わる業務の隙間でやっているというのが実情なのだ。


それくらい重みを占めている「赤旗」を軸とした活動が、部数減で財政的に”柱”どころか赤字の膨張で”重荷”になってきたのだから、共産党にとって死活問題であることは間違いない。



【画像③ 日刊「赤旗」の配達活動に参加したことを誇示して自らのSNSにしばしば写真を掲載している穀田恵二衆院議員。すでに70代の穀田氏だが、共産党の末端支部では80代、90代の党員が日刊「赤旗」の配達に従事している例も珍しくはない。】

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