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「女性天皇をなぜ議論の俎上に載せない?」~全体会議について、福島みずほ社民党党首に聞く②


【画像① 6月4日、インタビューに答えていただいた社民党党首・参院議員の福島みずほさんと筆者(篠原常一郎)】





◆「『全体会議』には女性議員は3人しかいなかった」(福島党首)




前号に引き続き、5月17日と同23日の2回にわたり衆議院議長公邸で国会内の各党各会派代表者を集めて開かれた「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」(以下、「全体会議」)に出席し、「女性天皇」について議論すべきと主張された社会民主党党首の福島みずほ参院議員へのインタビューの内容をお届けする。


あらかじめ、福島党首には以下の質問を送ってインタビューに応じていただいたのだが、今回は3問目、4問目についての内容となる。


<福島みずほ党首への質問>




1.4月に公表された共同通信世論調査で、女性天皇容認90%、女系天皇容認84%、男系男子継承に反対が74%だったのに、衆院議長公邸で5月17日に開催された全体会議では、自民党、公明党、日本維新の会などから出された見解は「男系男子継承」維持前提で、世論と大きくズレていますが、現状をどう考えますか?


2.「全体会議」の意義と進め方について、適切であるとお考えですか?国会の正規の会議とは別の場所で、議事録も公開されない形で今後、議論が進められることは望ましくないのではないでしょうか?


3.ジェンダー平等が進められ、LGBTQ理解促進法が成立したのに、国民の範であるべき皇室で、皇族が男に生まれるか女に生まれるかで皇位継承の可否が異なったり、結婚にあたっても自身と配偶者の身分扱いに差が設けられる状況は望ましくありません。せいぜい明治20年に制定された旧皇室典範以降のルールに過ぎない「男系男子継承」ではなく男女問わず天皇の直系長子が皇位継承で優先されるあり方に改められるべきではないでしょうか?


4.通常国会の冒頭で岸田文雄首相が「126代にわたり男系」と述べたことは、歴史学の研究の到達からは乖離した虚偽というべき内容ではないでしょうか?
歴史学、考古学をあわせた研究では例えば第26代継体天皇より前の皇位継承実態は天皇そのものの実在を含めて不明な点が多く、それとは別に祭祀は女性、具体的な執政は男性という形で男女が分担した双系という形での大王が存在したという説も研究側で提起されてます。「すべてが男系継承」という前提で政治の場で決着をつけるのは誤った道に陥るのではないでしょうか?



…前号を御覧いただいてお分かりと思うが、「全体会議」では始めから「女性天皇」が論点から外されていた。このことに関連して、福島党首が「そういえば『全体会議』に出席した女性議員は、私と日本共産党の岩渕友参院議員、それにれいわ新選組の大石あきこ衆院議員の3人だけだった」と言われたことに、筆者は思わず「そういうことか!」と感じた。「男系男子継承が前提の皇統の問題に女は口を出すな」とあからさまに思っているわけじゃないだろうが、やっぱりこのあたりにも国会ですら男女平等とか、ジェンダーに関わる問題というものへの意識が低いことが痛感される思いだった(言われるまで気づかない筆者も含む話だが…)。



【画像② 「全体会議」に「各党・各会派代表者」として出席した衆参両院の議員リスト。「全体会議」で配布された。】





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