『月経随伴症状などの女性の健康トラブルを理解すれば、ゲーム業界の未来はもっと明るい!男性にも知ってほしい“フェムテック”』(Gamer 2023年8月26日掲載)へのコメント



「女性の社会での活躍が増えたことを受け、近年取り上げられるようになった“フェムテック”という概念。」

↑この書き出しの時点でもうダメでしょうよ。日本で ”女性の社会での活躍が増え” なければフェムテックが必要とされるような女性の心身的苦痛が存在しなかったとでも思ってるんですか?

 企業で「生産性」とやらを発揮しているわけでもない女性の心身にとっても(月経に代表される)苦痛への対処は切実な問題であり、それを日常性のレベルにおいて和らげるために現在フェムテックと呼ばれるような技術は開発されたはずです。しかしこの記事においては、”金額にして約4,900億円にものぼる” という ”女性の月経随伴症状による労働損失” を補填するための技術であるがごとき扱いがなされており、 “フェムテック市場に参画していた484社” がもたらす ”2025年までに5兆円規模になるとの見込み” という実数の強調からも明らかなように、“女性の社会での活躍が増えたこと” にまつわる「経済効果」ばかりが重要視されています。これは女性を単なる「労働力」または「経済を回してくれる消費者」の位置に固定するものであり、女性が生きるうえでの心身的苦痛を可能な限り和らげる理想から最も遠く隔たった態度です。

 本来ならば、この記事の内容は女性が対処せざるを得ない日常レベルでの苦痛とその(周囲の理解を含めた)対処法を周知させる役割を果たしたはずであり、私もタイトルを見てそのような内容になっているのだろうなと思って開きましたが、いざ読んでみると女性の当事者性など脇に置かれた「経済効果」のご高説と「商品見本」の羅列ばかりが長々と書かれていて、愕然としました。ここで展開されているような内容は ”女性特有の悩み” を金銭的実数値にのみ還元する思考が前提とされたものであり、そのような無料で提供されるわけでもない道具に頼る金銭的余裕を持たない女性(私はまさにそのような母子家庭で育ちましたが)の心身的苦痛の軽減は視野にも入れられていない以上、この記事では女性が単なる「働いて得た金銭を使って経済を回してくれる道具」として扱われている、と結論せざるを得ません。

 まさか西暦2023年にもなってここまで愚劣な記事が書かれるとは思いもしませんでしたし、この記事を執筆したライターも含め、日本においてこのような態度が取られ続けている限り女性にとって真の意味での ”社会での活躍” の機会は奪われ続けるのだということを理解できるだけの知性が宿っていることを切に願います。


以上

田畑佑樹

integralverse@gmail.com




↑この記事の執筆を担当したライターへ。以上の内容をすべて読んでそれでもなお言い訳が残っているならメールで直接送ってこい、聞いてやるから。
 もし一言も返せないようなら、結局のところ人間を銭勘定でしか考えない「ギョーカイ」の提灯記事ばかり書いてる限りお前はフェミニストでもジェンダーイコーリティに配慮した男性でもないという事実にいい加減気付け、女衒が。



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