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自転車事故に要注意!個人賠償責任保険か自転車保険で準備OK


ほとんどの都道府県において、自転車事故で発生した賠償責任に備える為の自転車保険の加入が義務化されています。
自転車事故は賠償金が数千万から数億円まで膨れ上がるケースもあり、自転車事故による損害賠償は侮れません。
自転車保険と個人賠償責任保険の補償内容と違い、必要性を解説します。

自転車事故が増えている!

警視庁によると、東京都内の交通事故全体の発生件数は5年前と比較して減少したものの、自転車に関する事故のみでみると、毎年増加傾向です。
2023年には交通事故全体のうち46.3%が自転車事故で占めていました。

出典:警視庁 「都内自転車の交通事故発生状況」より

自転車保険加入が義務化?!

自転車事故が増えていることからも、2024年8月時点において32の都道府県が加入の義務化、10の道県で努力義務化する条例が制定されています。

出典:国土交通省 「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」より

個人賠償責任保険とは?

個人賠償責任保険とは、被保険者が日常生活における偶然の事故により他人をケガさせたり、またはその他人の財物を壊したために、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害をカバーする保険です。

「日常生活」とは、通常の生活のほとんどであり住居を中心とした家庭生活だけでなく、旅行中や運動競技中に発生した賠償責任も対象となります。

したがって、自転車運転中に故意または過失によって他人に損害を加えた場合でも、保険金の支払い対象となります。

自転車保険とは?

自転車保険は一般的に、自分のケガへの備えである傷害保険と、相手の損害賠償に備える個人賠償責任保険の2つの補償から成り立っています。

つまり、自転車保険では自転車事故における自分のケガと相手に対する損害賠償に備えることができます。保険商品によっては、保険料を抑えた個人賠償責任保険のみのプランや、自転車に起因する事故のみならずその他交通事故によるケガや、日常生活上の損害賠償まで幅広く補償する内容など保険商品によって様々です。

自転車保険と個人賠償責任保険との違い

「自分のケガへの備え」があるかないかです。

そもそも個人賠償責任保険は、相手方に対して法律上の賠償責任が生じた場合にその損害に対して補償するものです。
したがって、個人賠償責任保険の補償の範囲は、相手に対する損害賠償のみであり、自分のケガや損害については、賠償責任があるわけではないので、補償されません。

なお、加入が義務付けられている保険は、個人賠償責任保険のみです。
したがって、義務化されている地域にお住まいの方は、どちらかの保険に加入しておけば問題ないです。

個人賠償責任保険の支払対象となる自転車事故例

自転車事故によって故意または過失によって他人に損害を加えた場合には不法行為責任(民法709条)が成立し、それによって生じた損害を賠償しなければいけません。
この賠償責任をカバーするのが、個人賠償責任保険です。

事故発生時に回避する措置を怠ったり、事故発生を予見できたのにもかかわらず不注意により回避しなかった場合には「過失」が認められてしまい、事故により発生した損害を賠償しなければなりません。

反対に、予見することが不可能だったり、可能であっても結果の回避が出来なかった場合は、「過失」は認められることはなく賠償責任は生じません。

自転車保険や個人賠償責任保険は必要?!

もし、自分や自分の子供が自転車事故を起こして数千万円から数億円の賠償金の支払いを命じられた場合、すぐ支払いに対応できますか?

自転車事故で相手にケガをさせて後遺障害が残ってしまった場合には、賠償金額は高額になりやすく賠償金額が数千万円から数億円となるケースもあります。

重篤な後遺障害が残ってしまうと、治療費、休業損害、慰謝料、だけでなく、将来の逸失利益、将来の介護費用などが損害として加わる為、被害者が亡くなるよりも損害賠償金が膨れ上がることがあります

お母さんに賠償金額9,520万円?!
2013年7月に小学生の男の子が自転車運転中に歩行中の女性(62歳)と正面衝突した事例があります。男子は距離10mになるまで女性に気付かず、時速20〜30キロで衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負いそのまま意識が戻らず植物状態となりました。この被害女性への賠償金額は9,520万円です。
当時加害者は未成年であった為、お母さんに賠償金の支払いが命じられました。

もしも、高額賠償の判決を言い渡された加害者に支払能力がなかった場合、重大な「損害」を被った被害者は支払を受けることが難しくなります。そうなると、加害者はもちろん被害者にとっても個人賠償責任保険は重要になるのではないでしょうか。

賠償金額が数千万円?!高額賠償事故例を紹介

上記で紹介した事故の他に数千万の賠償金が発生した自転車事故例を紹介します。

賠償金額:9,330万円
男子高校生が、夜間にイヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、パトカーの 追跡を受けて逃走し、職務質問中の警察官(25歳)と衝突。警察官は、頭蓋骨骨折等で約 2か月後に死亡。
(高松高等裁判所、2020年7月22日判決)

賠償金:9,266万円
自転車運転中の男子高校生が車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員男性と衝突。会社員は言語機能の喪失等重大な障害が残った。(東京地方裁判所、2008年6月5日判決)

個人賠償責任保険の限度額は1億円と設定されているのがほとんどであるため、多くの場合は、賠償しなければならない範囲内全額カバーすることができます。

自転車による死亡事故

自転車は免許なしで誰でも利用できる身近な交通乗用具ですが、ルールを守らなかったり油断していたりすると、ときには人を殺めてしまうことがあります。そんな悲しい事態となってしまったケースを紹介します。

自転車のながら運転で相手死亡
男子学生が千葉市内の路上でイヤホンで音楽を聞きながら自転車を時速約25キロで運転していて、横断歩道を歩いていた77歳の女性はねて死亡させた事件がありました。男子学生には禁錮2年6月、執行猶予3年(求刑禁錮2年6月)の有罪判決が言い渡されました。

「自転車スマホ」で相手死亡
神奈川県川崎市で、イヤホンをして左手にスマホ右手には飲料カップを持ちながら電動式自転車に乗っていた20歳の女子大生が、歩行中の77歳の女性と衝突。被害女性は2日後に死亡が確認され、女子大生に対して禁錮2年、執行猶予4年(求刑禁錮2年)の判決が言い渡されました。

中3男子が自転車事故で相手を死亡させる
秋田県鹿角市で中学3年の男子生徒が歩道を自転車で走っていたところ、前をよく見ていなかったため、79歳の女性と衝突。女性は12日後に死亡、鹿角署が重過失致死の疑いで男子生徒を書類送検した。生徒は自転車保険に加入していたため、保険会社と遺族の間で交渉がされたそうです。

自動車には自動運転や事故を防ぐ機能などがありますが、自転車にはありません。自分の操作で全て決まってしまいます。
被害者はもちろんですが、自分自身のためにも個人賠償責任保険もしくは自転車保険に加入して、万が一の事態に備えておきましょう。



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