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AndroidでのDTMにオススメDAWアプリ8選+2

電子楽器InstaChord(インスタコード)開発者のゆーいちです。

インスタコードはMIDI出力機能を備えているので、PC、スマホ、タブレットなどと接続すると色んなことができます。

その事例として、iPadのGarageBandとインスタコードを接続する方法をYoutubeで紹介したことがあります。

すると
「Androidではできないんですか!」
というメッセージをいただくことがありました。

Androidは音楽制作には向かない?

結論から言いますと、Androidでも高度な音楽制作ができます。

・USB-MIDIに対応する端末
・USB-MIDIに対応するアプリ
を使えば、当然インスタコードなどのMIDI機器を接続して演奏や入力ができます。

しかし昔から「Androidは音楽制作に不向き」と言われていました。

Androidの方が音楽制作に向いていない理由

1.レイテンシーがある

Android操作をして音が鳴るまでの間にタイムラグ(遅延/レイテンシー)が発生するので、演奏や録音には不向きでした。
しかしOSの進化と、端末の性能アップにより徐々に改善されつつあります。
また、PCのように外部オーディオインターフェイスを接続すればレイテンシーの問題を解消できるようなので、レコーディングなどリアルタイム性が求められるときだけオーディオインターフェイスを使って、編集やミックスは内蔵音源で行なうという手もあります。

2.端末によって動作が異なる

AndroidはオープンソースOSなので、メーカーによってハードの仕様が様々です。ある機種ではできるのに、ある機種ではできない…といったことが頻繁に発生します。

3.音源やエフェクトの拡張に制限がある

これが一番大きな問題です。
パソコン用のDAWは、VSTやAUと呼ばれるプラグインソフトで音色やエフェクトなど様々な機能を拡張できます。
iOSには同じような機能を実現するため Audio Units という規格があり、DAWアプリから他の音源アプリやエフェクトアプリを読み込むことができます。
しかしAndroidはアプリ間の連携や、機能拡張をサポートしていないので、音楽制作は1つのアプリの機能に頼らざるを得ません。

Androidの方が音楽制作に向いてる理由

しかし楽曲のプロットを作成したり、個人で楽しむレベルではAndroidにも高機能な音楽ソフトが多数あります。
またiOSには無い、Androidならではの良さもあります。

1.ファイルの扱いが自由

AndroidはiOSと違い、PCのように自由にファイルを扱えます
ウェブからダウンロードしたファイル、メールに添付されたファイルなどを作品に貼り付けたり、完成した音源をSDカードや宅ふぁいる便で他のPCに送るなど、iOSでは難しい様々なファイル操作を特別なソフトやクラウドを使わなくてもできます。
Loopやショットの素材、SoundFontなどをやり取りする人にはAndroidの方が便利です。

2.イヤホン端子がある

また、DAWでリアルタイムに打ち込みやレコーディングする場合Bluetoothイヤホンは遅延が生じるので、基本的にはケーブル付きのイヤホンやヘッドフォンが必要になります。iPhoneにはイヤホン端子が付いていないので、外部のMIDI入力装置を使うとイヤホンを使えないというデメリットがありますが、Androidの場合はイヤホンとUSBを同時に使える機種もあるので、音楽制作に適していると言えるかも知れません。

3.マウスが使える

iPadは最近やっと対応しましたが、iPhoneはマウスが使えないですよね。
音楽制作アプリでピアノロールの操作はやっぱり指よりもマウスのほうが使いやすいと思う人も多いハズ。
Androidならスマホでもタブレットでも面倒な設定なしにマウスが使えるので便利です。

4.直接MIDIキーボードを接続できる

Lightning端子のiOS端末は、USBカメラアダプタを使わないとUSB機器を接続できません。USB-C端子のAndroid端末は、USBケーブル1本で直接MIDIキーボードやオーディオインターフェイスと接続できる場合も多いので便利です。

この記事で紹介していること

この記事ではAndroid用 音楽アプリの中で外部MIDI接続に対応するものを実際に使ってみて、私が個人的に実用的だと思ったものをいくつか紹介しています。

ここまでの記事の内容を理解できなかった人には向いていません。

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テストには、インスタコードの試作機を使用していますが、USB接続のMIDIキーボードなら同じように使えるはずです。ただし、USB給電が必要なキーボードの場合は電力不足で動作しない場合もあります。ご注意下さい。

低スペックのスマホでテストしました

なお、テスト環境は、私の所有する ZenFone 4 Selfie Pro という2017年発売のミドルクラスの端末です。

~スペック~
CPU: Snapdragon 625
RAM: 3GB
OS: Android 7.0

このようなスペックなので、ほとんどのアプリは遅延が大きくて、演奏には不向きでした。Snapdragon 700番台以上のハイスペックな端末なら問題なく動作するのかも知れません。

AndroidでMIDI機器を使う前提条件

AndroidはiOSと比較すると、音楽制作における環境整備がかなり遅れたため、音楽アプリの数も、ユーザーの数も、情報量も圧倒的に少ないです。

ですから、Androidで音楽制作をするには、中級者以上の知識と経験が必要だと感じました。

■条件1:端末が USB-OTGに対応している

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外部MIDI機器を使うにはUSBケーブルで接続する必要がありますが、端末をUSBホストとして機能させるためのOTG(On The Go)に対応している必要があり、micro USB Type-B端子を搭載する機種の場合は上の写真のようなOTG変換ケーブルが必要になります。

■条件2:DAWやシンセを使ったことがある

モバイル音楽アプリの解説書はほとんどありませんし、基礎から説明しているチュートリアルも非常に少ないです。DAWやシンセの基礎を知らない人には、かなり敷居が高いと思われます。

■条件3:英語が読める

日本語に翻訳されたアプリはほとんどありません。
YoutubeやWEBの解説も英語の情報が圧倒的に多いので、日本語だけでアプリを使いこなすのは難しいと思います。

■条件4:1000円程度の出費はできる

実用的な音楽アプリはたいてい有料です。
30年前には数十万円した機材が、1000円程度でスマートフォンの中に組み込むことができるので、感謝して支払いましょう。

・・・以上の条件を満たしていれば、Android端末でも音楽制作を楽しめると思います。

■1■ Roland Zenbeats

アメリカのベンチャー企業が開発したStagelightというアプリを、Rolandが買収して2019年にリリースした高機能な音楽制作アプリです。
Windows, Mac, iOS, Android どの端末でも同じインターフェイスで編集できクラウドでファイルを共有できるので、外出先ではスマホでフレーズを作り、スタジオではMacでボーカルを加えて、自宅ではWindowsで編集する・・・といったシームレスな制作が可能です。

アプリもかなり日本語化されてますし、Youtubeには日本語のチュートリアルも比較的多いので英語が苦手な方にもオススメです。

なにより低スペックなAndroid端末でも遅延がほとんど感じられないのは驚きました。

▼ ものすごく分かりやすい解説 ▼
Zenbeats 入門講座(DAW LESSON)

▼ Roland Zenbeats 製品ページ ▼

■2■ FL Studio Mobile

Androidの音楽制作アプリといえば、FL Studio 一択という時代が長く続きました。
Windows版との連携も可能で、最近シェアを広げているChromebookにも正式に対応しているようです。

ダンス・クラブミュージックの制作では歴史が長く、世界的にもシェアが大きなアプリなので情報も豊富です。

▼ FL Studio Mobile 製品ページ ▼

▼ 日本語レビュー(DTMステーション) ▼

■3■ Walk Band

中国のRevontulet Soft社が開発した老舗の音楽アプリで、iOSのGaragebandっぽいAndroid専用DAWです。

機能も限られているので初心者の方でも比較的扱いやすいと思います。

ギターやピアノの音色は、インスタコードの内蔵音源よりは少し良いので、単純に演奏用としても楽しめますし、音楽制作にも活用できます。

▼ 日本語解説 ▼

▼ アプリのダウンロード ▼

■番外編1■ Rockrelay Synth FM

上記の3つは「音楽制作」のためのDAWアプリでしたが、こちらは「演奏」のためのシンセアプリ
YAMAHAのシンセサイザー「DX7」をエミュレートしており、手持ちのMIDIキーボードが、スマホに接続するだけでDX7になるという、シンセ好きにとっては夢のようなアプリです。

しかも私の端末では遅延をほとんど感じませんでした。

もちろんインスタコードを接続しても、様々なシンセ音源を楽しむことができますので、ライブでも活用できるんじゃないでしょうか?

▼ Rockrelay Synth FM 製品ページ ▼

■番外編2■ AmpliTube UA

こちらはMIDIアプリではなく、オーディオエフェクタです。
しかも専用のインターフェイスが必要になります。

このアプリを使うと、インスタコードにディレイやディストーションなど様々なエフェクターで音色を加工することが "一応" できます。

本来は、エレキギターを接続するアプリですが、インスタコードのイヤホン端子から接続しても "一応" それっぽい加工ができるようです。
もし試される場合は自己責任でお願いします。

Androidに接続できるインターフェイスは、USB接続の iRig UA と、イヤホン端子に接続する iRig2 がありますが、私は iOS 用の iRigProで動作を確認しました。

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写真のように「インスタコード」 → 「3.5mm - 6.3mm 変換アダプタ(モノ)」 → 「ギター用シールド」 → 「インターフェイス」 → 「モバイルデバイス」という接続になります。

私の環境では使えなかったけど良さそうなアプリ

■4■ Cubasis 3

おそらく日本で最もシェアの高い、ドイツSteinberg社のDAW「Cubase」のモバイル版です。iOS版の発売から遅れること8年、2020年にようやくAndroid版が発売されました。

しかし、Android 8 以上に対応しているので、私の環境ではテストできませんでした。

ホームページには下記のような注意書きがあるので、インスタコードをちゃんと使えるかどうか分かりませんが、このアプリをお使いの方はぜひ試してみて下さい。

Cubasis for Android のオーディオ / MIDI ハードウェア対応は限定的であり、Steinberg は現時点でハードウェアとの互換性保証はいたしかねます。なにとぞご了承ください。

▼ Cubasis ホームページ ▼

■5■ BandLab

全ての機能を無料で使える画期的な高機能DAW。

Cakewalkをギブソン社から買収してフリーソフトとして公開していることでも知られるシンガポールのBandLab社が運営しています。

とてもいいソフトだと思うのですが、私の環境ではインスタコードをUSB接続した場合すぐに接続が切れてしまい、正常に動作しませんでした。

▼ BandLab ホームページ ▼

■6■ n-Track Studio

オーディオ編集機能に優れた、かなり高機能なマルチプラットフォームDAWです。Androidだけでなく、PC、Mac、iOS版もあります。

私の環境でも動作するのですが、遅延が大きくてMIDI入力には使えませんでした。

■7■ Audio Evolution

こちらも非常に高機能でモバイルでの作業に最適化したDAWです。
Android版とiOS版があり、iOS版はボーカルのピッチ修正にも対応しているようですね。

私のAndroidでも動作しますが、MIDI入力では遅延が発生してしまいました。

■8■ Music Studio

古くからある、定番のモバイル用DAWです。
一通りの機能は搭載していますし、わりと良い音源を搭載していますが、他の高機能アプリと比べるとエフェクトも音源も種類が少ないのであまり作り込みは出来ない印象です。
私の環境だと遅延が生じたのでリアルタイム入力には使えませんでした。

▼ Music Studio ホームページ ▼

Androidでも音楽できる!

いかがでしたでしょうか?

私は、Android 2.3 の時代からAndroid端末を使っていて、折に触れて音楽アプリを試してみてては、残念な思いをしてきました。

しかし数年ぶりに見てみるととても進化しており、ようやくiOSに追い付いてきた印象を受けました。

Androidユーザーの皆さんもぜひ音楽制作を楽しんでみてください。

そして、簡単にコード入力をしたい場合は、ぜひインスタコードを使ってみて下さい。


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