米国雇用統計から景気後退シグナルを感知する
米国雇用統計では、①非農業部門雇用者数の変化、②失業率、がヘッドラインで伝えられます。インフレが激しかった昨今は、ここに平均賃金の変化率(前年比と前月比)も加わることもあります。ニュースを見ているだけでもそこまでは分かりますが、米国労働統計局が公表する資料を見ればもっと詳しい情報が引き出せます。以下の記事に詳細があります。
この記事では、失業率の推移から米国がリセッション(景気後退)入りしたかどうかを判断する手法を紹介します。
その手法は、サーム・ルールと言います。
サームというのは人の名前です。元FRBエコノミストのクローディア・サーム氏が編み出したもので、
という経験則です。
上の式(※)の左辺にある Un ― Umin をSahm Rule Recession Indicator と呼ぶのですが、この値の推移を、セントルイス連邦準備銀行のWebページで確認することができます。
2024年8月3日(土)、つまり24年7月の雇用統計が公表された翌日に上のWebページを訪ねてみたら、なんと Un ― Umin = 0.53 となっていました。0.5 を超えています。先月はまだ0.5を下回っていた(Excelを使った私の計算では0.4だった)ので、先月、アメリカは景気後退入りしてしちゃったということになります。
なお、2024年7月の雇用統計は、
と、かなり労働市場が弱くなっていることを示唆していました。
労働市場が弱くならないとインフレがなかなか収まらないので、いい面もあるんですが、一方で失業が増える、お金に困る人が増えると、社会が軋みますから。お金が原因の無用なトラブルも増える。会社勤めしてても、会社の業績が悪いと、なんかギスギスしたり、対策のための話し合いが建設的なモノではなくて非難合戦になってしまったり、みたいなこと起きますしね。コドモのケンカじゃ済まない。それはそれで困る。難しいところです😥。
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