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Inside Sales Conference 2019 winter まとめ

インサイドセールスしげのです。
営業アドベントカレンダー 12/16は私が担当させていただきます。

今日は何の日かご存知ですか?そうです、そろそろ国民の祝日に設定されるともっぱらの噂である"電話の日"です。そんな電話の日に先日のインサイドセールスカンファレンスについてのまとめをお届けしたいと思います。

Inside Sales Conference 2019 winter (以下、#iscon2019w )

自己紹介

約8年ほど前からずっとインサイドセールスに関連したことやってます。
※詳細はTwitterをご覧ください! しげの_インサイドセールス

インサイドセールス市場の拡大

この数年でインサイドセールス市場は拡大し続けています。
検索数は5年で10倍、キャリトレの求人数は3年で18倍になっています。

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アンケートでも明らかなになった通り、60%が2年以内に立ち上げられた組織であり、5年以内に広げると80%を越えることからもここ数年がインサイドセールス市場の拡大期であることがわかります。

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一方で半数近くが成果が出ていないと回答していることからも、まだまだ最適解が見つかっていない組織が多いのではないかと思います。これはこのあとに書いてありますが"自社に最適な形に構成できていない"ことが大きな原因であると考えています。

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それでもインサイドセールス関連ビジネスやツールも日を追うごとに増加し、カオスマップが作成できるまでになりました。
SFA/CRMは当然のことながらMAと同時に伸びてきている市場であり、最近ではアウトソーソングやコンサルも増加傾向。経験者が個人でコンサルとして独立する動きも活発になってきました。
※詳細はインサイドセールス業界レポート by BOXIL をご覧ください。

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#iscon2019w に込めた思い

上記の通りインサイドセールス市場は大きくなっていますが、一方であまりの急拡大に追いついていない部分も多く"このままでは一過性のブームで終わってしまう”、”もっと本質的な価値を追求したい”と考えていました。
だからこそテーマに"あなたの"というキーワードを加えることで皆さんに"前提を疑い、考え、自社に最適な形に再構成してほしい"という思いを込めました。

そしてそれを実現するためにAセッションはすべて"Disrupt(創造的破壊)"を共通テーマに据えて構成しました。
今日はそのセッションのまとめを皆さんにシェアさせていただきたいと思います。

A-1 <フレームワーク先行の間違った認識を徹底討論> インサイドセールスはテレアポなのか?

「インサイドセールスがテレアポと呼ばれる理由はThe Modelにあるのではないか?」
「リードも商談もリサイクルすることが一般的なのにそれがファネルに表現されていないのはおかしいのではないか?」

こんな問いかけからスタートしました。
しかしこれはSFDC社やThe Modelの著者である福田さんへの言及ではなく、
The Modelをそのまま運用している方々への問いでした。実際どうですか?そのまま取り入れて終わっていませんか?
The Modelをよく布教しているSFDC社でもエンタープライズ向けには別のフレームで業務プロセスを形成し、運用しています。※Twitterより抜粋

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また、Hubspot社では2016年にCEOが「ファネルは死んだ」という発言と共に新しいFly wheelという概念を提唱しており、ビジネスを構成するサークルの中心には顧客が存在し、2つの円が動く際に生じる摩擦(フリクション)を減らすことが重要と説いています。

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Marketo社ではインサイドセールスがSEO対策やホワイトペーパーの作成を行なっており、ただ架電に終始する部門ではないとのことです。
これには正直驚きました。本筋の話からはズレますがそれで架電量は減らないのか?という問いに対しては「徹底的にテクノロジーを活用しているから下がらない。むしろMAを提案していてそのノウハウを持っていないことの方が問題だし、商談獲得にも寄与する」とのことでした。

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各社が共通して話していたこと、そしてThe Modelの著者である福田さんも文中で同じことを言及しています。
"あなたのThe Model"を見つけてほしい
成功しているフレームワークを取り入れるのは正しいことだと思いますが、すべてがそのまま運用できるものではありません。重要なのはビジネスモデル、そして現在の課題に対して最適なモノに変えながら運用していくことです。
もしなにかを参考に組織や業務フローを作られているのであれば、ぜひこのタイミングで自組織の構成を疑ってください。そしてDisruptにチャレンジし、必要性が低ければ施策を止める、インサイドセールスを解体することも視野に入れて考えていただきたいと思っています。

参考:THE MODELの著者福田さんが執筆したnote↓
THE MODELをそのまま実装してほしいと上司から言われた人に

また、インサイドセールスとテレアポの違いについては以下のようにまとめました。これは参考までにご覧ください。

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A-2 <ABMの徹底討論>手段ではなく経営戦略。問いただす、これから不可欠なアカウントベースドマーケティングの本質

「ABMとアウトバウンドでのアプローチは何が違うのか?」
「アウトバウンドを格好よく言っているだけでは?」

この問いに一体どれだけの方が正確に回答できるでしょうか?このセッションではそんなABMについて言及していきました。
まずはABMの浸透度や状況についてのアンケートをご覧ください。

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私も意外だったのですが、アンケート対象企業の半数以上の企業がABMに取り組んでいると回答しています。しかし...

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なんと70%以上が成果が出ていないと回答しています。
このギャップはどこから生まれるのか?もちろん成果が出るまでは一定の時間が必要だとは思いますが、根底にはABMという言葉が先行し、社内に誰も正解を持っていない状態が引き起こしたのだと考えています。
そこでABMを実践している2社にこの質問をストレートにぶつけました。

茂野「ABMとアウトバウンドでのアプローチは何が違うのか?」

・ABMは事業戦略、アウトバウンドは1つの戦術でしかない
・定量定性のデータから導いた精度の高いターゲティング
・各ターゲットに最適なマーケティングコンテンツやセミナー
・個人へのアプローチだけではなく会った人数(面の広さ)も重要指標

アウトバウンドはアポがゴールであり、アポが取れるか断られればそれでプロセスは完了となりますが、ABMはそうではありません。
ターゲット企業へのアプローチが完了するまで複数回、そして様々な手法でアプローチとナーチャリングを繰り返し、場合によっては成約後の売上最大化のために継続的にコミュニケーションを取り続けることもあります。
一見ただのしつこい営業のように見えるかもしれませんがそうではありません。むしろ限られた市場を焼畑にしないためにも細かく設計されたアプローチフローによって顧客の体験を毀損しない動きが求められるです。

茂野「ABMを運用するために必要なことは?」

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ABMを運用するにはまずはデータ。そしてそれをもとにしたターゲティングからアナライズまでのプロセスを回し続けていくこと。
FORCAS社では四半期に一度このサイクルを回しターゲットの選定から打ち手の検証を行なっているとのこと。
「ただツールを入れただけでは絶対に成功しない。そこには明確な戦略と効果検証のサイクルが必要不可欠」とFORCAS酒居氏、そしてsansan久永氏が口を揃えて発言しているのが印象的でした。

A-2セッションでも同様になにかを導入すればそれで終わり、というわけにはいかず、課題の特定から打ち手の検討、実践、改善のサイクルが必要だという結論に至りました。

A-3 <“インサイドセールスの人”の価値を徹底討論>注目企業に学ぶインサイドセールスの価値とこれから必要なこと

このセッションに入る前にベルフェイス社のユニークな人事評価制度に触れておく必要があります。
ベルフェイス社では本人が提出したキャリアシートをもとに転職エージェント3社が市場価格を算出、そこに社内の評価を合わせて給与を確定させる仕組みを導入しています。

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この内容をベースにこのセッションでは「インサイドセールスの市場価値」について議論していきました。
冒頭から大きな問いを投げかけさせていただきました。

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それは"電話しかできないインサイドセールスの市場価値は上がらない"ということです。求人は増加の一途を辿るインサイドセールスですが、実際にベルフェイス社の査定でも電話単独のインサイドセールスの給与が大幅に上がることなかったそうです。

ではどうすれば市場価値の高いインサイドセールスになれるのか?
それは特技の掛け算です。

例)
インサイドセールス × MAの設定、設計
インサイドセールス × オンライン商談
インサイドセールス × マーケティング

SATORI社ではすべてのインサイドセールスがMAを使いこなしています。
当たり前といえば当たり前なのですが、こういった環境が個人の市場価値を高めていきます。
そしてそれを実践している人こそHENNGEの水谷さんです。

水谷さんはマーケティング、インサイドセールス、セールスイネーブルメント、ビジネスディベロップメントなどいくつもの部門を経験し、唯一無二のキャリアを形成されています。
そんな水谷さんが提唱するこれから価値の高まる人物は以下の通り。

・様々な部門を経験する。勉強だけ身に付くものは少ない。
・とにかく新しいものに興味を持つ、使ってみる。
・外に出て情報収集する、つながりを大切にしていく。

つまりこういった経験ができる企業が必然的に選ばれていく可能性がこれからは非常に高まるのです。
裏を返せば、ツールへの投資が少ない、ツールの使用、利用に柔軟性がない。インサイドセールスの役割が限定されている環境ではインサイドセールスの採用が難しくなる、ということです。

こちらは先日公開されたマネーフォワード社のnoteです。

SFA/CRM、MAは当然のこととしてそれ以外にも複数のツールと仕掛けが詰め込まれています。
インサイドセールスが電話とメールだけしている時代は終わりました。
これはインサイドセールス個人にも、雇用する経営側にも大きな変革です。
価値をあげたければ、価値の高い人を採用したければぜひ体制と役割の見直しを行うことをおすすめします。

A-4 <インサイドセールスを徹底討論>本当に必要か?いま考えるべきインサイドセールスの本質的な意義とは

最後のセッションではインサイドセールスの必要性そのものについてです。
インサイドセールスは数ある機能の中のひとつに過ぎません。
特にSaaSビジネスにおいてはCustomer successが非常に重要な役割であり、継続は新規の獲得工数のおそよ1/6-7言われています。

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※出所
こういった現実をSaaS企業を運営する経営者3名にぶつけてみました。

SaaSの経営においてISとCSはどちらが重要か?
トレタ中村さん「Customer success」
マツリカ黒佐さん
「Customer success」
レブコム会田さん「Customer success」


既存顧客が大きくなればなるほどチャーンレートの1%が重くなってくる為、これは当然といえば当然の結果です。
そこでこんな図を出してみました。インサイドセールスを新規の獲得だけではなく既存顧客のアップセルや顧客紹介を促す役割として設置することで新規の顧客開拓を円滑に行うことができるのです。

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すでに欧米では"CSQL (Customer Success Qualified Lead)"をCSの役割や評価に加える企業が登場しはじめています。
こういったことからも今後はISの役割がより一層拡大していく可能性があると考えています。

また組織論を語る上でThe Modelの是非について話が及びました。
ここでの結論は"The Model はHorizontal × SMB"ではじめて効果を発揮するものであり、特にVertical SaaSにはフィットしないというものでした。

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登壇各社をマッピングするとこのようなになります。

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トレタ社はVertical SaaSですからThe Model式の組織体制からチームで開拓からCSまでを構成し、顧客密着度を高める組織に改変しています。

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また、トレタ中村さんにISかCSか、どんなチームが最適化と質問したところ以下の素敵な回答をいただきました。

企業は成長や時間の経過でボトルネックが動き続ける。
そのボトルネックを追いかけ続けて、改善し続けるだけ。
こうすればうまくいくなんてモノは存在しない。

まとめ

The Modelをはじめとするフレームワークは見本であり回答ではない。
ABMについてもツールを導入したからといってうまく行く訳ではない。
電話とメールだけのインサイドセールスの時代は終わった。
ISとCSはどちらも重要だが役割は一定ではないし、変わっていくもの。

長くなりましたが、お読みいただきましてありがとうございました。
いつの時代も答えはなく、常に考えて考えて行動することでしか正解にはたどり着くことができないのだと自分自身も再認識しました。
だからこそこれからも情報交換や成功事例の共有を通して競争から協奏へ。そして私自身が創造的破壊を続けていきたいと思います。

言葉やフレームだけに頼る時代はもう終わりです。

そしてぜひ"あなたのインサイドセールス"を見つけてください。

2019/12/16 しげの

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