【合格体験記】東北大学大学院理学研究科物理学専攻



1.はじめに


初めまして。私は東北大学大学院・理学研究科・物理学専攻のとある研究室に所属しています。受験期は別の大学からの受験で情報が不足しており、院試対策が非常に大変でした。自分の外部受験の経験が一人でも多くの人の参考になればと思います。

2.志望動機


高校生の時まで遡るのですが、高2の時に現在の研究室の教授の講演を聞く機会があり、研究内容に関心を持ち東北大学を受験しました。しかし結果は不合格。院では絶対にこの研究室に入りたいと思い、無事リベンジを果たせました。

3.スケジュール


学部3年9月:研究室訪問を始める
3月:院試勉強を始める
5月上旬:説明会および研究室見学会
7月上旬:出願
8月下旬:試験・面接・合格発表
*一般受験の日程を書いています。自己推薦は5月中旬〜出願、7月上旬に面接と早めの日程となっています。

受験に関する日程はホームページを見てみてください。

ちなみに私は自己推薦を受けられるなら受けたかったのですが、行きたい研究室が受け付けていないと聞いたので一般一本にしました。
説明会ではぜひ受けてください!と勧められますが実際は受け付けていない研究室もそこそこ存在するので、早めに研究室訪問に行くかメールで確かめるのが良いと思います。

4.研究室訪問


先輩に3年で行くのはまだ早いと言われていましたが、早く決めないと院試対策ができないと思って3年の夏から行き始めました。私としては早めに研究室を決められて、絶対にここに入るんだという勉強のモチベが上がったので良かったです。しかし3年はまだ研究室に配属されておらず研究の具体的な話などはできないことも多いので、4年になってからでもいいと思います。ちなみに3年の夏に訪問したときは、どこの研究室からも早いねと驚かれました。意欲的な学生だと印象付けるには良いかもしれません。

私は筑波大学で3つ、東北大学で1つの合計4つの研究室に訪問しました。3月〜4月は先生方が忙しいと思うので避けた方が良いと思います。メールは訪問したい月の2ヶ月前くらいに送りました。直前すぎる(1ヶ月以内など)と先生の日程が合わないほか、あまり良い印象を与えないかもしれません。
また合格が決まってから10月頃にもう一度訪問し、研究や進路の話などを詳しく聞きました。

研究室訪問では教授、学生それぞれに話を聞きました。学生には教授に聞きづらいことを聞けるので、学生の多い平日に訪問に行くと良いと思います。
質問したことは

【教授】
・研究テーマは選べるか
・学会発表する機会は多いか
・海外に行く機会はあるか
・研究費は多いか
・コアタイムはあるか
・バイトやインターンに行く学生は多いか
・奨学金は取りやすいか
・研究室の学年別人数(博士課程が多いと研究室の満足度が高い)
・外部生の割合
・ゼミの頻度、内容
・卒業生の就職先
・入試の合格ボーダーライン(聞ける範囲で)
・推薦はどのような人が受けたら良いか
・オーバードクターはあるか

【学生】
・教授の人柄
・研究室の普段の滞在時間
・研究室の雰囲気
・過去問の答案貰えたら貰う
・参考書、勉強法など
・面接の内容
・相談したいことがあれば連絡先交換

また挨拶の意味を込めて合格後にも訪問をした方がいいと思います。上記の内容を深めつつ、研究や修論と博論のテーマを聞いたり、入学後の生活の感じやアパートの場所、奨学金の情報、入学までに何をすればいいかなどを聞きました。
私は大学から修士で理論→実験に移動したので新しい研究になりましたが、引き継ぐ場合は卒業研究の相談もした方が良いと思います。

5.院試対策


物理

私は3年まであまり勉強せず過ごしていたため、院試を受けると決めた頃には基礎がほとんど頭から抜け落ちていました。一から復習することに決めたのですが、初歩から学び直したい人に勧めたいのが「演習しよう」シリーズです。古臭くて難しい言葉が多いのが物理の参考書の難点ですが、このシリーズは現代的なわかりやすい言葉で書かれており、図解、解説が豊富です。難易度も低いので一冊目としてとても優秀です。

基本的にこのシリーズの物理数学、力学、電磁気学、量子力学、熱・統計力学を間違いがなくなるまで周回していました。ただし時間が足りなく一周で終わってしまう教科もありました。
量子力学は「演習量子力学」も併せてやっていました。このシリーズは薄くて気軽に始められると思うので、自分に合う教科を手に取って探してみてください。

他にも理論的な話は授業で用いた教科書で復習しましたが、演習系はこのように基本的な参考書しか手を付けていません。私の研究室の合格ラインが5割と言われていたので、この演習量でも合格できたのかなと思います。もっとレベルの高い研究室を目指す人は(特に素・核理論など)2冊目が必須かもしれません。
一周して大体基本が身についたなと思ったら過去問を解き始めました。二、三日に一年分のペースでじっくり10年分ほど解きました。こちらも間違いがなくなるまで解き直しした後、残しておいた過去問で時間を測って解く練習をしました。ラインが5割なので7割くらいが取れていれば安心かなという気持ちで取り組みました。解答は公表されていないので研究室訪問で貰った解答とメルカリで買った解答(!?)を参考にしていました。試験は過去問と似た問題が出ることもしばしばあるので、繰り返し解いてインプットすると良いと思います。

私が後悔していることは、参考書を3周して2冊目に入るという目標でしたが全然達成できず、勉強を始めるタイミングが遅かったということです。せめてこの一冊だけでも完璧だと胸を張って言えるくらい演習したかったです。
また過去問で本番を想定した練習があまりできておらず、本番のプレッシャーの中で思考が停止してしまったりもしたので、時間を測って解く+自分に緊張状態を与える環境で解く練習もしたら良かったと思います。

英語

ほぼ何もしていません。でも難しくないので大丈夫です。英作文の定型文を少し勉強して、自分が将来どんな研究をしたいかなどを英語で書く練習だけしました。

面接

こちらもあまり対策してないのですが、研究に関わる本、特に研究室の先生が出版されている本があったのでそれを読んでいました。ちなみに当日は勉強したことが全く聞かれなかったので拍子抜けしました。質問する先生によって聞かれることは大きく異なります。試験で解けなかった問題を聞かれる場合もあるのである程度復習しておくと良いと思います。

6.試験当日


一次試験(筆記)のタイムスケジュールはこんな感じです。

9:00 – 10:00 基礎数学
10:30 – 12:30 力学及び電磁気学
13:30 – 15:30 量子力学及び熱・統計力学
16:00 – 16:30 英語

そして驚く速さで集計が終わり、一次試験を通過した人のみが翌日の二次試験(面接)に呼ばれます。
オンラインで一人ずつ受験番号が呼ばれ、志望分野別のグループで全物理系の先生に囲まれながら面接をしていきます。
そしてその数日後に合否がわかる、という流れです。

7.伝えたいこと


就活や内部院進をする人が大学最後の時間を謳歌する中、なんで自分はこんなに勉強しているんだと辛くなることが多々ありました。試験直前1ヶ月は徹夜を繰り返し、たまに不安で泣きながら勉強していました。けれども、合格した瞬間、自分の受験番号があった瞬間に本当に頑張って良かったと心から思いました。今までの辛い思いや努力が合格という喜びに変わって、一つの成功体験として自分に自信がつきました。仮に落ちていたとしても内部院進する人よりは圧倒的に勉強しているはずなので、研究の基盤がしっかりして良い研究のスタートダッシュが切れたと思います。なので受験しないメリットはほぼないと思っています。
これから院試を受けようか迷っている人はぜひ、無駄にならないのでチャレンジしてみてください!院試勉強真っ只中の皆さんは不安になることも多いと思いますが、自分を貫き通して試験当日に実力を出し切れるよう願っています。



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